「高校生と大学生だと脳内変換が必要で、かなり女子目線で描かれていたと思います」山田くんとLv999の恋をする Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
高校生と大学生だと脳内変換が必要で、かなり女子目線で描かれていたと思います
2025.4.1 TOHOシネマズ二条
2025年の日本映画(118分、G)
原作はましろ著作の同名漫画(コミック・スマート)
彼氏にフラれたばかりの女子大生がゲームを通じて新しい恋に出会う様子を描いた恋愛映画
監督は有川有果
脚本は河原杏奈
物語の舞台は、都内某所
彼氏のたくま(山下永玖)とデートをしていた女子大生の木之下茜(山下美月)は、気合を入れて手作り弁当などを作るものの、「他に好きな人ができた」と別れを切り出されてしまった
たくまは去り際に「ゲームのアイテムを倉庫番に返しておいて」と言い放ち、茜は最近始めたばかりのゲーム「Forest Of Suvior」を立ち上げた
約束のアイテムを返したあと、茜は近くの狩場で雑魚モンスターをやっつけまくる
するとそこに「狩場を開けてほしい」と言って、山田(作間龍斗)と言うキャラがやってきた
紆余曲折を経て、茜は山田に元カレにフラれた話などをしてしまう
だが山田は「恋愛とか興味ないっすね」と素っ気なく突き放してしまった
物語は、この二人がとあるゲームイベントで再会する様子が描かれ、彼の所属するギルドの面々とのオフ会に参加する流れを描いていく
山田に招待されたギルドには、彼の高校のクラスメイトの佐々木瑛太(NOA)、瑛太の妹で彼の使うキャラのモデルとなった妹の瑠奈(月島琉衣)、苺農園を経営しているおじさん・たけぞう(鈴木もぐら)たちがいた
瑠奈は突然知らない人が入ってきたことに困惑し、排除しようと罠を仕掛けていく
それを知った兄と山田は怒るものの、瑠奈の気持ちを理解できる茜は、彼女と二人きりで話をすることになった
それによって和解することができた二人は、姉妹のように仲良くなっていくのである
映画は、塩対応と恋愛依存症の組み合わせになっていて、感情表現が乏しいゆえに相手の考えが読みづらいと言う感じに描かれている
山田がどの時点で恋に落ちたのかはわかりにくいのものの、おそらくは一晩泊めた夜だろうと推測できる
困っている人を助けずにはいられない山田は、幼少期のトラウマのようなものを抱えているが、実際に生身の大人の女性がそばにいると、昔の感情とは違うものが生まれてしまう
年頃の高校生には刺激の強い夜であり、しかも「高嶺の花」だと思う人がそばにいる
そこに不純なものが生まれても不思議ではないが、彼は女性のめんどくささを知っているので関わりたくないと言う感情が生まれてしまう
そこで芽生えたものを否定するたびに何かしらの欲望のようなものがさらに芽生え流のだが、そこはピュア路線なので隠しているように見せている
実際の男子高校生が酔い潰れた年上の女性と一晩過ごしたら、違う意味での間違いを促進しかねない
特に、そう言った方面に無防備な女性だったゆえに、過去の少女との比較によって、のめり込んでしまったように思えた
いずれにせよ、脳内で「高校生と女子大生だ」と変換しないとおかしくなるタイプの映画で、見た目だと大学生とOLぐらいの距離感に見えてしまう
ゲームで知り合った人々との交流において、コミュ力最強の茜は自分のテリトリーに相手を巻き込むのが上手い
このあたりに戸惑いを見せる妹役はリアルで、そんな茜を見ていくうちに、山田の中にある女性像というものが変化していったのだろう
小学校時代にめんどくさいと思ったことは変わらないけど、あの時に少女が感じていたものというのが茜を通して見えてくる
その過程で、青春期特有の「したい」という感情が溢れ出ていて、それが何気ない行動へと結びついてしまう
自分の感情を受け入れつつも悟られたくないという思考を持つ人物が多いのだが、それはこの瞬間に満足していて、それを永続的にしたいという欲求がある
そこに年相応の行動と見た目の乖離というものが生じるので、それが一番の難題なのかな、と感じた