ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女のレビュー・感想・評価
全2件を表示
究極の二択
第二次世界大戦中にゲシュタポの密告者として働いたドイツ系ユダヤ人、
ステラ・ゴールドシュラーク(1922年~1994年) の史実に基づいたフィクション作品。
最初がジャズの楽しい演奏シーンから始まり、ゲシュタポに追われる生活、密告者としてのターンと、戦後のシーンと雰囲気が変わり、最初から最後まで目が離せません。
ドイツ人が理想とする“アーリア人”的容姿である金髪碧眼を備えた(しかも美しい)ステラは、強制労働のあと、こっそりユダヤ人のダビデの星を外し、街を歩き、クラブで遊び、同胞であるユダヤ人とか、ドイツ人将校とも付き合ったりも…
ただ、時代はそれほど甘くない。彼女の生き方は、ナチスの独裁政権下のユダヤ人迫害には通用しなかった…
タイトル通り、ステラは密告者を選ぶ。
でもね。
ゲシュタポに捕まり拷問を受けたのが奇しくも21歳の誕生日。そんな若さで身勝手、自己中な行動をしても責められないよね…
夫が連行された時、ゲシュタポに捕まった時、両親の元で、周りに咎められるほど大泣きする甘えん坊。
そんな彼女に突き付けられた究極の選択
死が待つ強制収容所へ行くか、同胞を売って密告者になって生き延びるか?
実話ベースなだけに考えさせられる作品でした。
"金髪の毒婦" より質問です... 時期が悪すぎた?
映画も始まり間もなく、主人公の女性の自己愛の強さが分かるシーンが出てくる。
稚拙な私は知らなかった... ステラ・ゴルトシュラークが実在し、世紀末近くまで生きていたことを。
その彼女の半生の始まりは...
1940年、ナチスがフランスを陥落させた年から物語が始まる。躍動感のあるステラの絶頂期である動的なミュージック・シーンから一転して、3年後のユダヤ人たちの働く暗くて、フィルムスコアを寄せ付けない彼女の容姿を一変させた単調な工場で働くシーンへと...
もし、仮にあなたが何かになりたいと思うなら...
自分なら次の条件ならどうのようにするかを想像してみてください。
ステラ彼女自身はブロードウェイでの華やかなジャズ シンガーになるという大きな夢を持っています。その武器は青い目にブロンドに染めた髪、まだ二十歳ソコソコの若い美しい女性です。でもドイツ占領下の
"あなたはユダヤ人です。"
「自分はまだ若い」との思いと同時に「アウシュヴィッツへ行くのは次はあたしの番ね!?」、というジレンマが自分のことしか考えれなくさせています。
そして第二のジレンマが究極の選択
「他人の命」か? それとも
「自分の命」か?
その選択こそが、同胞を裏切る行為となり自分自身のアイデンティティの分断に繋がり、魂を揺さぶる証明であり検証でもある。それを目の当たりにすることこそが、他人を犠牲にまでしても構わない、何も恐れることのない揺るぎない確固たる "自己愛" が極端な状態となっているナルシストを... "自己愛" こそが過去のユダヤ人のホロコーストを描いた映画とは趣が違い、身近に感じられることで、低レベルな利己的な者への讃美歌となっていく。
執拗に悪の最も邪悪さが極限状況にある普通の人間を怪物に変えてしまうのか?
ゲシュタポによるステラへの拷問とも呼べる尋問は、優雅さと残酷さへのリアリズムであり、また、こころにははっきりとしない綿雲のような恐怖をアクションであり、サスペンス、そして性的衝動が波状的に現れ、芸術的演出と撮影により、ツマビラカに展開されます。
この万華鏡のような作品は、今までにないユダヤ人を身近に感じられ、共感を呼び、そしてまた新しいニッチな作品となっているのかもしれません。しかしながら...?
全2件を表示