劇場公開日 2025年2月7日

「「過ちを繰り返さないで」というメッセージ」ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「過ちを繰り返さないで」というメッセージ

2025年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ステラは被害者であると同時に加害者であり、フィルム(監督・脚本)の視点はステラ個人を非難するものではないように見えました。
原題"STELLA. Ein Leben"を直訳すると「ステラ、その人生」であり、18の少女が70代で自ら命を絶つまでの人生ダイジェストでした(邦題はやや批判に寄りすぎな気もしつつ)。
自分が処刑されるか、仲間を売るかの選択を、一人の市民に迫る世の中(=ナチとそれを支持した国民)が一番悪いのであり、「今を生きる人々に過ちを繰り返さないで欲しい」というメッセージを受け取ったような気がしました。

ありがちなテーマだけど、すごく大事なこと。
EUでは、ここ5~6年、各国でナチ的な極右政党の台頭が著しい。
ガザをはじめとする長期の内戦・紛争で移民が増加し、受け入れた欧州各国ではコロナやインフレで経済悪化したゆえ、移民に仕事が奪われると焦った国民が「元の国民=自分さえよければいい」と既得権益の確保のために排他的な考えへ傾いたからだろう。
特にフランス、ドイツ、ベルギー、オランダ、オーストリア、ギリシアなどで、極右政党が第二党になったり、連立の第一党に入っていたり。
そんな現状に対し、映画を作るような知識人層は危機を感じていることは容易に想像できます。
そんな焦燥感から、この映画を作るに至ったのかもしれないと思いました。
啓蒙意図が先に立っていて、面白いかどうかより、「考えさせられるように作っているな」という感想で終わりました。

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コージィ日本犬