「日髙さん宮本さん◎ ×は展開をになう掲載俳句がひどすぎる」美晴に傘を メガメガさんの映画レビュー(感想・評価)
日髙さん宮本さん◎ ×は展開をになう掲載俳句がひどすぎる
まず、美晴役の日髙麻鈴さん、妹、凛役の宮本凛音さん、お二人の演技は素晴らしかったです。
特に日髙さんは発達障害を持つ女性のちょっと風変わりな感じを、実に上手に演じておられました。最初は「やりすぎじゃないか」とも思ったのですが、演技が一面的ではなく、そのエキセントリックな表現の中から、その時々の喜怒哀楽を見事に表現されていて舌を巻きました。そして時々に見せてくれる日髙さんの美しさに目を見張りました。
宮本さんもぶっきら棒でありながらも素直な演技が、周りの俳優さんの個性を引き立てる良い演技で、わかっていて役割に徹していた感じがして感心しました。
気になった部分は、升さん役の祖父は、そんなに狷介じゃないし悪い人でもなかったですよ。友人も多いし。ただちょっと自分の考えにこだわりすぎてる頑固な爺さんってだけです。世の中そんな人一杯います。だから熱くなりすぎることも、冷たくなることもなく、全体的にぬるいです。でも日本人はそういうホームドラマとか好きですので、大した問題ではありません。
ひどいのは、祖父が心を開くきっかけとなる自作の俳句で、これは俳句雑誌にのる優秀なものという設定です。
「たらればや冷酒(さけ)で飲み込むあの言葉」
これ俳句ではないです。
季語は? なんで「たられば」に「や」をつけるの? 「や」がついたら俳句になるとおもってるの? あの言葉って、安っぽい演歌の歌詞ですよ。下手すぎるんです。
日髙さんとか宮本さんすごく細かなシーンまで考えて演技してたと思うんですが、この俳句のぞろっぺえこととんでもないです。だって言葉がテーマの映画なんでしょ。
言葉にすることで思いを伝えて、再生するんでしょ。それが「たらればや」だもん。伏線までいれてアピールしてるのがこれなもんで、映画見ながら頭が痛くなるくらい「これで全部だめになった」と思いました。
シナリオを書いた方が、自分で書いた「詩」や「俳句」を素晴らしいって自分で判断して良い作品ということにしちゃったの?
脇の俳優さんたちも演技が一面的であったとしても、それは一つの手法かもしれないし、一生懸命なのは伝わるんですよ。でもあの詩と俳句で柱がゆがんでしまった感じです。それでもう天井が落ちてきた。
採点は、若手二人の演技☆5、シナリオ☆1 、他☆3でその合計です。