劇場公開日 2024年11月22日

「一旦アイドル映画ということを忘れてほしい」WEST. 10th Anniversary Live “W” Film edition あんこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0一旦アイドル映画ということを忘れてほしい

2024年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

これは「ロックとは?」をテーマにした音楽作品だ。音楽に焦点を合わせている作品だけあって、びっくりするほど音質がいい。鑑賞時は是非DolbyAtmosで見ることをお勧めする。しかもとんでも無く細かな音までよく聞こえる。わずかなブレス音や(本人はあまり聞かれたくないであろう)喉が急に閉まってしまい引っ掛けるような僅かな音も聞こえてしまう。とにかくそこにその人が居ることが生々しく感じられ、おそらく監督の思うロックの要素の一つであろう、「ありのままそこに生きる姿」が目からだけでなく耳からもしっかり伝わってくる。
また、声の倍音がちゃんと聞こえるので、圧縮音源(YouTubeなど)で聞くと細く聞こえたり揺らいで聞こえたりする声質の方の歌の良さにびっくりする。潰されてしまいやすい柔らかい音の部分を堪能できる作りも大満足だ。
音楽といえば、バンド隊、特にリズム隊の動きが秀逸だった。歌のテンポが少し走って前につんのめりそうになった時、いい位置に音を入れてグルーブの中に連れ戻している。プロとしてバックバンドに居る以上できて当たり前と言えばそうなのかもしれないが、そうとは思えないくらいの自然な戻し方で、音の出し方だけで言えばパーマネントに近いのではないかと思えた。音楽で少し残念に思えた点とすればコーラスワークが美しいSpecial Love。楽器音と和音の中低音域がぶつかって混ざり合ってしまい、どちらも聞こえにくかった。せっかくの明るい和音の華やかなコーラスなので思い切って楽器無しのアカペラにしてしても良かったように思う。

ライブの切り取り方も面白い。
ピントの合わせ方に画面作りの意思を感じるし、カメラ目線もあまりない。
そして切り取られた顔はどれも「等身大の、意思のある、年齢相応の、大人の男の顔」だ。なので必ずしも整った顔している瞬間が切り取られているわけではなく、総じて暑苦しく、いわゆる可愛らしいアイドルらしい顔している瞬間はあまり無かったように思う。ただ、どの顔もたまらなくセクシーで、酸いも甘いも噛み分けた大人の男の色気なので、男性が見ても格好良く見えるのでは無いだろうか。

で、結論として、ロックとはなんだったんだろう。
答えは沢山あり、色んなシーンに散りばめられていたと思うけれど、この映画で言う答えの1つは「実直さ」なのかなと思った。その答え合わせになるのか分からないけど、Behind The Scenes - WEST. 10th Anniversary Live “W”がWOWOWで放送になるようなので、楽しみに待っている。

あんこ