「先入観なしに映画館で観て欲しい作品」WEST. 10th Anniversary Live “W” Film edition chichiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0先入観なしに映画館で観て欲しい作品

2024年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

WESTꓸと言えば、関西出身で、バラエティでの面白さやトーク、賑やかなお祭りソングでのイメージが強いグループと思われがちだが、実はコンサートにおけるパフォーマンスも音楽性の高さや、歌の世界の表現力の高さで会場を魅了するグループだ。デビューから10周年の年に作られたこの映画を観たら、先入観としてのWESTꓸのイメージをまったく変えてしまうだろう。もちろんWESTꓸらしい賑やかで楽しい曲のセグメントもあるが、ロックを中心、またダンスを駆使した大人っぽい曲のセグメントもある。一見、統一感がないように思われるかもしれないが、これはこの10年間、ありとあらゆるジャンルの曲を多数レコーディングしてきた成果だ。筆者は長年音楽を聴いているが、これほど幅広いジャンルの曲を歌っているにかかわらず、どの楽曲もきちっと歌い上げるWESTꓸには毎回驚かされる。そしてなんと言っても表現力が非常に高い。これは全員が演技の世界でも活躍している事と無関係ではないだろう。一度聞いた人からは「歌が上手いグループ」と言われることも多い。今年に入って「自分たちは歌が得意なグループ」と発言することも増えた。しかしそのうまさは歌唱の上のテクニックだけではなく、歌詞に込められた思いを歌に乗せることのできる圧倒的な表現力にある。WESTꓸの転機とも言える「証拠」を聞いた人達が、歌の歌詞に共感し、ファンになったという人は少なくない。そしてWESTꓸがユニークさと言えるのは、本作品の丹監督が言うところの「7人のボーカルグループ」である点だ。誰かが突出するのではなく、7人のメンバーがリードボーカルとして迫ってくるのだ。そのパワーと熱さを感じるには、実際のライブ会場以外なら、もう映画館の環境くらいしか考えられないだろう。
本作品ではWOWOWで放送された内容にプラスして、2020年のアルバム「WTrouble」に収録された「Special Love」も披露している。ゴスペラーズの手による同曲は「7重奏」と本人達が言うほど歌うことが難しい曲であるが、当時から進化した7人の歌声によって更に素晴らしい仕上がりだ。これはWESTꓸのイメージからは想像できない楽曲の一つではないだろうか。
ファンにとってもこれまでの歩みの総括として楽しめる映画ではあるが、通常であればファンクラブ会員でなければ観るチャンスのないライブを、映画館という音量、音質、画質どれをとっても最高の環境で観るチャンスでもある。一度先入観を忘れて音楽が、歌が好きな人に観て欲しい。そして、WESTꓸという面白いグループを発見して欲しい、発見できる作品である。

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chichi