満ち足りた家族のレビュー・感想・評価
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悪魔の子ダミアンと悪魔の娘エミリー・ローズ‼️
あと4日で上映終了というタイミングでギリギリ鑑賞できました‼️ホントに観てヨカッタ‼️歴代の韓国映画の中でもTOP 10に入る最高傑作の一本‼️道徳よりも利益を優先する弁護士の兄ジェワンは、年下の2人目の妻ジスや10代の娘とともに豪華なマンションに住んでいる。一方、道徳的で良心的な小児科医の弟ジェギュは、年長の妻ヨンギョンと10代の息子とともに認知症の母の介護をしながら暮らしている。正反対の兄弟は月に1回、それぞれ妻を伴って高級レストランでディナーを楽しみ、ぎこちない会話をする。そんなディナーが行われた夜に起こったある事件のために、衝撃の結末へと家族は爆進する・・・‼️最近の韓国映画にありがちな残酷描写を売りにするのではなく、あくまで人間の巧みな心理描写を見せ場とした濃密なエンターテイメント・ドラマ‼️今作は自分たちの息子と娘が、悪魔の子ダミアンと、悪魔の娘エミリー・ローズだった親たちの物語‼️まず冒頭、交通トラブルからの死亡事故。犯人の弁護をするジェワンと被害者である娘の主治医であるジェギュ。ジェワンはジェギュに早期の示談を被害者に受け入れるよう助言を頼む。そしていとこ同士である息子と娘が、遊びの帰り道に酔った勢いでホームレスに暴行、ホームレスは意識不明の重体、隠し撮りされた動画がSNSで拡散される‼️事実を知ったジェワンは世間体を気にした隠蔽、ヨンギョンは息子が可愛すぎる故の隠蔽、ジスは静観、ジェギュは息子に責任を取らせようとする‼️しかしホームレスが亡くなった事で、反省するどころが安心したと訴える娘の態度に、ジェワンは自首させようと決心し、息子の反省したフリの芝居に騙されたジェギュは一転、息子を守ろうとする‼️この辺りの微妙な親心の演技がソル・ギョングとチャン・ドンゴンは絶妙に上手いですね‼️特にソル・ギョングは、冒頭の死亡事故の犯人のまったく反省してない人間性と、知ってしまった娘の本性を重ね合わせた時の表情の演技は見事です‼️そして息子を守るために我を忘れてしまうヨンギョン役キム・ヒエも素晴らしい‼️そして息子と娘を演じる子役たちの悪魔のような存在感‼️ホームレスを殺害した事などまるで気にせず、娘はジェワンに車をねだったり、息子はジェギュに涙がかった芝居で反省のフリをする‼️あぁホントに恐ろしい‼️そして終盤のディナーの席での、冷静に娘を自首させると言い放つジェワン夫妻と、激昂して反対するジェギュ夫妻‼️このシーンでの4人の演技合戦も今作の白眉なのですが、続くジェワンが見せる携帯の動画のカタルシスかと思いきや、ラストのワイルド・スピードなドンデン返し‼️雨に濡れながら泣き崩れるジスのファイナル・カット‼️その凄まじすぎる衝撃‼️ホントに素晴らしい、見事ですね‼️息子を守るためのジェギュの凶行が、息子や娘を含めた家族すべてを崩壊させてしまったラスト‼️その恐ろしさにゾクゾクさせられてしまったエンディングでした‼️
個々人の善悪の併せ持ち
最初の人物設定から段々各々の心境が極限の状況から変化してゆき、驚愕の結末に至った。人間の多面性や置かれた状況によって、如何様にも変わることを改めて思った。韓国の競争社会も反映した描写を感じた。パラサイトを思い出させる洗練されたキレの良い演出だった。レビューや予告画像で面白そうと思っていたが、劇場鑑賞できてよかった。シネクイントは駅から近くて快適なシートだった。
観客は試される
さあ、自分がこんな事態に陥ったら、どうする?と試されているような気がした。
監督にはそんな意図はなく、2組の親の心理描写に注力した作品だとは思うが。
問題の事件は割と早い段階で発生。如何にも現代的な展開で明らかにされる。
そこから、ずっと続く重苦しい2組の親の心理・感情の移り変わり。
終盤にきて態度が逆転する兄と弟。
一貫して冷静な兄嫁と感情的な弟嫁。
罪の意識のない子供達。
それらを俯瞰して観られる立場にある私は、さあ、あなたはどう思いますか?あなたならどうしますか?と問いかけられ続けている気がした。
そう思えば思うほど、更に引いた視点でこの2組の家族の行き着く先を冷めた目で観ている自分がいた。
大人達は振り回されるだけ振り回されて、ズルズルとどん詰まりの自滅の袋小路に勝手に入り込んでいく。「怖い」という感覚ではなく、むしろ滑稽な悲劇の舞台を鑑賞しているかのような感覚に陥った。要するに、冷めた目で観ていた。逆説的に言うと、冷めた目で観られたので、心理描写、心象風景の描写が上手いな、と純粋に役者の演技や演出に目を向けることができた。
認知症、介護、大学受験、ネット、金が物をいう社会という、現代的な問題を散りばめてはいるが、こうしたことは主題ではないと思う。やはり人間の心の揺れ、脆さ、強さ、そういったものを描くことがこの映画の主題だ。
ラストの結末だが、兄夫婦が店を出て、兄嫁が携帯を取りに店に戻った時点で想像がついてしまった(兄が車道に出た時点で、序盤の伏線回収で死亡フラグが立った)。ここがちょっと惜しかった。最後に観客をあっと言わせる演出があれば、「やられた!」と思えたかも。
とはいえ、ホ・ジノ監督の演出と4人の役者の演技を堪能できた。
殺人をしても罪の意識のない子供達をそのままにして、親だけ悲劇の結末というこの胸糞悪さも、この作品の味わいでしょう。
時に並行し時に交錯する“2つ”の物語
利益を優先する弁護士の兄ジェワンと人助けを信念とする医者の弟ジェジュ。
相容れない二人は月に一度、妻を引き連れて食事会を行っていた。
ある交通事故に際して、加害者の弁護を担当するジェワンと被害者の手術を担当するジェギュ。
そんな中で起きた親としての真価が問われる事件に、二つの家族は崩壊していく。
韓流サスペンス要素増し増しのこれぞ韓国映画!な一本。
冒頭と結末が結びつく何とも秀逸なストーリーラインに感動した。
車というキーアイテムを使って、他人事が自分事に置き換わる様を描くのはこれ以上無いんじゃないだろうか。
結局何も解決していないが、「お前らが全部悪い。後のことは知らない。」と言わんばかりに突き放すラストには清々しさすら覚えた。
冒頭からのシバルセッキの応酬には少し笑ってしまったけれど、その言葉通り本当にクソ野郎しか出てこない。
兄弟の二人の印象が逆転するのも見事だが、子供想いに見えるヨンギョンよりも、美を保ついかにもな年下若妻ジスの方がよっぽどまとも、という点が何よりも皮肉。
「正しさ」とは一体何なのかを、見た目の印象で決めつけがちな我々にも問いかけている。
そして、子供たちの存在。
親として、「夜遊びさせないようにすべきだった」とか「すぐに自首させるべきだった」とか色々あるかもしれないが、もうあのモンスターを作り上げてしまった時点で親失格。
利益だとか道徳だとかそんなことの前に、目の前の存在に気づけなかったことこそが最大の問題である。
少し前にあさイチで今作が紹介されていた時に華丸さんが「韓国の作品でワイン飲んでる人は悪いやつで焼酎飲んでる人は良いやつ」と仰っていたのを聞いてなるほどなと思った。
ちなみにこの映画では両者とも、ワイン→焼酎→ワインだった。
善悪揺らいでる感じがあってあながち間違ってない。
あー、つかれた
まず、小6の子を持つ親として、自分の身に置き換えてずっと考えさせられた。
自首させるのは当然として、他人にケガを負わせることがあったらどう振る舞うか、暴力を自制できる子にどう育てるか、万が一、ケガを負わせて平然と正当化・隠蔽するような子になったらどう相対するか…そして、妻と考えが対立したら…。妻と話してみたくなった。
という教育的作用がまずあって、エンタテインメントとしては、娘のイカれっぷりが抜群だった。良質の娯楽作品は観客の心をかき乱す存在がどれだけ違和感なくキャラ立ちしているかが大事。その意味で満点だったろう。どうせバレるのになぜ父親に後輩のこととして相談を?と思いはしたが、あれは弱さだ。弱さと打算が同居する、どこにも居そうなイカれキャラが一貫してて、見てる方は怒りが収まらない。そこへ高学歴兄弟の揺れ方が哀れでもう…。
どのキャラクターにも違和感を抱かない。人物像が深いところまで作り込まれてる。話の展開も、外国作品なのに苦なくついていけた。隣国で、やはり無意識的なところで文化を共有しているということだろうか。
ラストだけは唐突で(予想はしたが)、?と思いはしたが、娯楽作品としてそういうオチにしたのだろう。
どうでもいいが、チャン・ドンゴン老けたなあ。青学大の原監督に見えて仕方なかった。で、兄の後妻が山岸舞彩、チャン・ドンゴンの妻が大塚家具の娘社長。どーでもいいことです。
登場人物の先入観が徐々に崩されていく過程がお見事
冒頭のイカれた金持ちのボンボンが引き起こす、衝動の末の殺人である「事故」、
この「事故」に関わる人物の印象が新たな事実が出てきてコロコロ変わる。
ここからすでに、この映画の仕掛けが示されている。
ドライブレコーダーに殺人(故意または未必の故意)を示唆する明確な記録が残っていながら小さな穴を見つけて顧客の大物のバカ三男を軽い刑に導こうと画策、だが極力大金積んでの示談推し、で進める敏腕弁護士の兄ジェワン。
彼は道徳はさておき物質的な利益が優先、年下のトロフィーワイフ(2人目)を持ち、10代の今風だが良い子の先妻との娘らと豪華なマンションに暮らしている、という敵役のステレオタイプ。
対して小児科医の弟ジェギュは、良心的で熱血の小児科医。年上の妻ユンギョンと10代の息子とそこそこの住まいに暮らし、痴呆の母の介護にも献身的に尽くす、こちらも正義派のステレオタイプ。
まず人物感に強い先入観を植え付けらるが、話が進むにつれ、それぞれの人物像に違和感が出てくる。
ジェギュはそもそも、良い人ぶりがなんだか嘘くさい。チャン・ドンゴンの暑苦しいくらいの濃い二枚目のルックスからも、綺麗事しか言わない自分大好き人間のような空気を感じる。それが決定的に露見するのが、兄弟と妻たちが囲む、月に一度の高級店の個室での食事会。多分兄の奢り。
痴呆の母を高級施設に入れる提案をする兄。費用は自分が多く出すつもりでもある。
世話を丸投げされているユンギョンを気遣っての提案だが、ジェギュは親孝行したいからと拒否する。ユンギョンは提案を受け入れたくてうずうずしているが強く表明できない。自分が面倒見ると言うが実際妻に丸投げでまるで他人事、「親孝行な自分」でいることが大事なのがジェギュ。嘘くさい印象は気の所為ではなかったと知る。
一方兄は、母がユンギョンにお金を取られたと言っている、と聞いても、「ほら、いくら尽くしてもユンギョンさんは報われないじゃないか」と理解が深い。
この食事会以降、人物全員に対する先入観が覆されていく作りなのだろうと確信して見ていくようになる。
娘、息子の悪事が明らかになる辺りでは、あきらかに各人物の「違和感」の成分のほうが多くなり、決定的になるのが、やはり兄弟夫婦4人で囲む、同じ場所での食事会のテーブル。
あのラストは食事会の時点で予想できてしまうが、弟夫婦のあからさまになった人間性が衝撃的。
人物全員の、当初の印象とまるで間逆な実際の人物像が徐々に明らかになる脚本が綿密で上手い。無駄なくテンポよく、最後まで集中力が途切れず一気に見られた。
単純に善悪に分けられないのが人間で、悪人寄りの人たちの言い分にもご尤もなところはあって、ユンギョンに「いつも金で無罪にするくせに、何故自分たちの子供には罪を償わせるのか」と罵られたらその通りで、ジェワンは反論できないですね。
娘・息子の真実が明らかになる設定が上手い。ベビーモニターとは。
全部聞いたところで子どもたちの本性にぞっとする。
特に娘はケンブリッジ大に現役合格するほどの頭脳を持っている分狡猾で恐ろしい。
サイコパスではないか。
これを知ってしまって、親として怪物になる前に矯正したいと思うか、我が子可愛さ、というか自分可愛さから隠蔽しようと思うか。
弟夫婦のどうしようもなさは、最悪の手段に出たところでも分かる。
誰にもいいことがない。
事故と言い張っても、兄の妻ジスはすべてを暴露するだろうし、さらに父親がこんな事件を起こしたとあれば、世間の目も経済的にもどん底に堕ち、庇いまくった息子の将来もあったものではない。
後先考えずに激情に走るラストは、原作にもあるのだろうか。
私にはとても韓国的なものに思えました。
ソル・ギョングとチャン・ドンゴンが、ミスリードする気満々のキャスティング。
兄ジェワン、頭が切れ器が大きく懐が深い。頼りがいがあって、普通に良い男ではないですか。
冒頭の事故の被害者に極力示談を推すのも、裁判より示談にして大金ぶんどる方が彼らの利益になるからだろう。
確かに金大好きで自慢げで嫌味、趣味がハンティングで殺生楽しいのか?なところはあるが、完璧な人間はいません。
痴呆の母が、「面倒見ている」弟ではなく兄のほうが好きなのは、兄弟の人間性を見抜いていたからでは。
実は思慮深く人情も常識も(そして美貌も!)あるジスは金目当てというより、ジェワンの人物に惹かれて結婚したんだろうと思う。
映画のタイトルは、邦題の「満ち足りた家族」が皮肉が効いてて、原題の「A Normal Family」より内容に合っていたと思いました。
怖いな。
ちょっと救いのない辛い映画だった。
お金が大好きな長男と善良で正直な次男。
2人の子供たちはが一緒に罪を犯し,その事実に善良だった次男が少しずつ壊れていく。この映画で親たちは自分の子供を必死に救おうとする。自主するのか改心させればそれでいいのか、親である立場の人が見たら全員突きつけられるだろう。自分ならどうするのかと。
体裁のために隠蔽しようとした長男が先に娘の本性に気がついてしまう。自分のやった罪を罪とも思わず平然と正当化し、反省しているふりで親も欺く。息子と分かり合えたと思っていた次男はそんな息子の真の姿と向き合えなかった。強いと思っていた善良な彼はあっという間に変わってしまう。ここがとても怖いと思った。この壊れていく父親をお久しぶりのチャンドンゴンが見事に演じ切った。
相変わらずイケメンだわぁ。
すごい映画だった。
後味悪め
何の不自由もない満ち足りた家族がどんどん崩壊していく様子は、どこからボタンをかけ間違えたのかと心が痛むシーンが多いが、映画のストーリーとしては面白かった!
ただ最後の後味が悪すぎることと、この先をもう少し描いてから終えて欲しかった。ハッピーエンドにはならないが、せめて悪い結末だとしても、この中途半端な終わり方は本当に後味が悪い。
ストーリーとして盛り上がり、どうなる?自首?隠し通す?いろんな結末を想像し、自首へ方向転換するのかと大詰めのところで殺すという終わり方。
韓国らしいといえばらしいのですが、そこでエンドロールか、、、という残念さ。
結末はご想像にお任せします系が好きな人には良いかもしれないが、ある程度しっかりすっきり終えてくれ系の人にはおすすめできないな。
もやっとしたまま終わる。
交差もした家族
子供に自首をさせるべきと考えていた弟が、最終的に自首には反対し、
自首に反対だった兄が、自首させるべしと考えた家族が、
葛藤の末に交差するようにした作劇は素晴らしかった。
ラストに至る伏線も見事だったと思います。
はじめ、どのような展開になるのか読めず、
事件が次々に起こりそうなので、
記憶力の悪い私は、不安に思いましたが、
最終的に、登場人物が多すぎなかったことも私には幸いしました。
1月に見た映画では一番良かったです。
ただし、
・子供部屋を盗聴する伏線が弱かった(なかった?)のは、残念。
・弟が、子供から自身を軽く見られているのを聞いたら、自自させて罪を償わせるべきとの考えに再転換しててもおかしくなかったと思う。
・子供の自首に反対する弟の子供が受験に受かっていた(ので、自首には反対)方が納得が考えられたと思います。
典型的な韓国映画です
久しぶりのチャン・ドンゴン。相変わらず、カッコ良い。
この兄弟、面白いくらいに意見が合わない。仕事面でも、対立。よく出来たストーリーだと思った。どんどん見入っちゃった。冒頭の事件のシーンは、ドキドキした。
子供たちの二面性、怖いわ。でも、最近の子は、こういう子が多いのかもね。昔は、見るからにヤンキーみたいな、目で見て分かる悪い子ばかりだったのに、見た目では分からない子が多い。関わりたくないと思っちゃう。
それにしても…ラスト、まさか、こんな形で終わるなんて…。まあ!いかにも韓国映画って感じだよね。でも、面白かった。
起こりうる不幸
器を満たすものは喜ばしいものだけでもないようだ。
色んなストレスが撒きちらかされていて、韓国ならではのものもあれば、そうでないものまで。多かれ少なかれ僕らはそんなストレスと共に生きている。
まるで降り積もる雪のようだった。
徐々にゆっくりと蓄積されていく結晶たち。そんなものが日常から降り積もる。
まだ耐えれる。
まだ逃がせる。
まだ流せる。
…そんな呟きを日々、呪文のように唱えてる。
でも限界はくる。いや、きっかけかもしれない。
それが子供の問題ならば尚更捨ておけない。
浮浪者を子供たちが2人がかりで暴行する。
そんな問題が降り掛かってきた日にゃ、それまでどうにかしてやり過ごしてきたストレスは、一気に満たされ溢れ出す。とめどなく土石流の如く。
トドメは子供たちの本心なのだろう。
次世代モンスターが育ってる。
アレらが大人になった世界は救いがない。
自首させる決断をした兄は正解だと思う。
何がどうなってあんなモンスターが育つのか?その土壌にこそ問題があるのだと思われる。
で、弟は兄を轢き殺す。死人に口無し…とはいかない。問題を先送りにしただけだろう。嫁は一部始終を聞いている。そして、腕のいい弁護士を雇って過失致死を勝ち取るのであろう。
兄にとっては因果応報ではある。
とは言え…全く救いのないはなしである。
正直、趣味が悪い。
人と社会のダークサイドの話だ。
たまに出くわすその手の韓国作品…後味が悪い。
とは言え、おそらく万人に関わる話ではあって、些細なキッカケで同じような境遇には陥る。
ハッキリと他人事とは言えない話だ。
考えたくない問題が満載の作品だった。
韓国映画らしい
子供が偉いこっちゃ→親はどうする?
ってテーマ韓国好きですね。そういうのの印象が強いからそう思うのかしら。
善悪入り乱れ正否の区別も付かない、親の在り方を問う。
問題が身内に起きたとき善人は善人のままではいられないし悪人は悪人のままではいられない。
ある程度流れは読めるし衝撃的なシーンや展開はないけど、「おもしれー兄弟」とはなるわね。
冒頭の煽り運転三男坊も含めて全員ブタ箱行きで良いと思う!
子供たちは見逃したらまた「何しても親が何とかしてくれる」って学習しちゃうし、善人は償わない限り一生引きずるし、悪人も乳児の兄弟に悪影響ないかハラハラしちゃうし、ぶちこんどけば全て解決すると思うヨ!!!
とはいえ、これが自分の子供だったら…
屁理屈並べたり先を見越して理路整然と考えたらもっと違う答えもあるだろうけど、後先置いといて感情で突っ走るラストも韓国映画らしくて好感。これを見にきた。
人間は弱く愚かで簡単に壊れる
この映画では動物の命が失われる象徴的な場面が3つある。
意味なく押し潰されるテントウムシとホームレスは息子にとっては同じなのだろうか?
医師にとってイノシシを狩猟するのと弁護士の兄を殺すことは同じなのだろうか?
飛びだしてきた鹿がもし人間だったら彼はどうしたのだろうか?
金で罪を逃れる殺人犯と赤ん坊をあやしながら笑う子供たちと、はたまた殺されたホームレスの母のもとに金を渡す父親に何の違いがあるのだろうか?
難問を完成度高く描き突き付ける映画である。
こういう結末
が一番現実的な気はしますが、捻りは足りないですかね。この後、隠匿は露呈してしまうんでしょうね。
子ども間のいじめ、暴力、息子粘着・・日本じゃあり得ないとは言い切れないですよね。
愉快な要素はイノCG、シGカの違和感。チャンドンゴンのスタイル良すぎな件。ソルギョングが内野聖陽に見えてくる件。
自分を守っていたはずの盾は、いつしか自分を刺し殺す剣に変わり果てていた
2025.1.21 字幕 TOHOシネマズ梅田
2024年の韓国映画(109分、PG12)
原作はヘルマン・コッホの小説『The Dinner(邦題:冷たい晩餐)』
子どもたちの行動によって右往左往する大人を描いたスリラー映画
監督はホ・ジノ
脚本はパク・ウンギョ&パク・ソンジュク
原題は『보통의 가족』、英題は『A Normal Family』で、ともに「普通の家族」と言う意味
物語の舞台は、韓国の京畿道
弁護士として成功している兄・ジェワン(ソル・ギョング)は、金のためなら犯罪者の弁護を買って出て、罪と罰を捻じ曲げることも多かった
彼には前妻との間に高校3年生になる娘・へユン(ホン・イェジ)がいて、後妻・ジス(クローディア・キム)との間にも赤ん坊・サランを授かっていた
また、ジェワンの弟・ジェギュ(チャン・ドンゴン)は小児外科医として働き、多くの命を救ってきた
彼の妻ヨンギョン(キム・ヒエ)もNGOに所属してボランティア活動に専念し、二人の間にはへユンと同じ歳の息子・シホ(キム・ジョンチョル)がいた
へユンは時折シホに勉強を教えるのだが、彼女の影響はそれだけにとどまっていなかった
ある日のこと、相談を目的としたディナーが開かれ、ジェワン夫婦とジェギュ夫婦はともに高級料理店へと足を運んだ
ジェワンの提案は「二人の母(ビョン・ジュンヒ)」を施設に入れるとのことだったが、これまで面倒を見てきたジェワンはその提案を受け入れられなかった
一方その頃、へユンはシホとともに大学生の飲み会に参加していた
へユンの連れジェイデン(パク・サンフン)たちが集う会で、未成年ながらも飲酒を勧めてくるような集まりだった
物語は、この翌朝に「ホームレス(イ・ションシク)殺害事件」が発覚するところから動き出す
目撃者によって暴行の瞬間が撮影され、それが瞬く間に拡散され、メディアでも取り上げられるようになる
ヨンギョンは動画の暴漢がシホと同じ服を着ていたことに気づき、本人に確かめるものの、彼は「違う」とだけ答えた
また、へユンも父に「友人のトラブル」として相談するものの、ジェワンも動画に映っている女の服装から、その人物が娘であると確信し、どうしたら良いかと考え始める
ジェギュは見逃せないと考え、ジェワンは揉み消したいと言う
本人たちは反省しているし、将来のある若者で、ホームレス殺人事件の犯人となるのは酷だと考えていた
だが、それは同時に自分たちが犯罪者の親にならないための保身であり、ジェギュはそれを看過できなかったのである
映画では、この正義と保身の関係が、ある動画の存在によって逆転する様子が描かれていく
それは、へユンとシホの様子をおかしく思ったジスが隠し撮りしたもので、そこでは事件をどのように起こしたかとか、どう立ち振る舞えば親が守ってくれるかなどを赤裸々に話している様子が映っていた
この動画によって、ジェワンは「更生させる必要がある」と考え、ジェギュは自身の患者のトラブルを持ち出して取引を考える
それでも折れないジェワンに対し、ジェギュはある行動に出てしまうのであった
最後まで救いのない話だが、この親にしてこの子ありと言う内容になっていた
正義の執行人でありながら、自分の欲望のために法を悪用するジェワンの娘は、父と同じように「未成年であること」を悪用して開き直っていく
人助けのためと医療現場で働くジェギュもまた、シカを撥ねても隠蔽工作に走り、シホも同じようにホームレスを引きずって隠蔽をしようとしていた
シホは「自分の行動が誰かを守っている」と勘違いしていて、自分以外の人間を見下しているし、善行について歪んだ考えを持っている
これはヨンギョンの影響が強く出ていて、彼女は自分の善行が悪行をチャラにできると考えていて、その歪んだ思想が見透かされていたとも言える
冒頭は煽り運転トラブルから殺人事件に勃発した案件で、人を轢くと言う行為がその後も何度となく「故意か過失か」と言う線引きに引用されていく
ジェワンはヒョンチョル(ユ・スピン)の弁護をする上で「過失」を強調するものの、被害者の妻(チュリ)は納得できずに裁判へともつれ込んでいる
ヒョンチョルは示談のために被害者に会って謝罪をしろと言われるものの、彼は父に示談金を上げさせて、自分の行動を改めようとはしない
この構図がへユンとシホにもあって、自分たちの特別さと言うものを利用しつつ、自らの欲望を満たそうとしているからタチが悪い
この映画に爽快感があるとすれば、へユンとシホが報復を喰らうことだが、映画はその方向には向かわずに、親の行動によって、更なる凶悪な事件へと発展することになった
結局のところ、親を利用しようとした子どもが親を失うことになり、これまでに享受できたものも全て奪われるようになる
へユンとシホの犯罪も明るみになるし、その証拠を握っているジスは二人はおろか、ジェギュもヨンギョンも許さないだろう
そう言った意味において、描かれてはいないものの、因果応報は果たされていくのかな、と感じた
いずれにせよ、かなり凝った構成になっていて、子どもの本性が明確になる部分はなかなか強烈なものがあった
冒頭から子どもたちの異常性は描かれているので、甘やかしたツケを払わされていることになるのだろう
勝ち組だと思える人々も、その過程によって、何かを蔑んでくれば報いを受けるし、数々の善行も一度の悪行で全てが無意味になってしまう
晩年を汚して相応の死に方をできない人を思えば、世の中は意外とまともに動いているように見える
だが、そう言ったところからも距離を置いて安全圏にいられる人がいるのも事実だが、そう言ったものにもメスが入るのが現代なのかなとも思う
現在進行形の様々な現実にも重なっていくものがあるので、人生を一瞬で終わらせるものには注意を払いつつ、その行動を起こさせる思想について深く考える必要があるのかな、と感じた
苦しい……
そうなるだろうな‥とは思ったけど、
やっぱりかい…て、放心状態になった。
救いゼロ、一筋の光も見えず、終わっちゃった。
自分だったらどうするかな…
弟の奥様に一番共感したな、間違ってるけど。
映画でよかった…(夢でよかった…的な)
【今作は二組の裕福な弁護士の兄、医師の弟の家庭が、彼らの子供が犯した或る出来事で良心の呵責と親心との狭間で葛藤する様を描く、シニカルサスペンスであり、物凄く嫌な気持ちになる逸品である。】
ー 主演が、韓国の名優ソル・ギョングとチャン・ドンゴンである。監督は、名匠ホ・ジノである。
更にソル・ギョングは自ら脚本を読み込み気に入った作品しか出演しない方なので、迷わずに鑑賞した。-
■金のためなら、どんな悪人の弁護も引き受けるジェワン(ソル・ギョング)。再婚した若く美しい妻ジス(クローディア・キム)、亡くなった先妻の娘ヘユン(ホン・イェジ)と表面上はリッチな生活をしているが、妻は夕食を作らずラーメンばかり食べ、娘とはスマホを見ながら会話するだけである。
一方、弟のジェギュ(チャン・ドンゴン)は誠実な医者であり、妻ヨンギュン(キム・ヒエ)は義母の介護で疲れているが、一人息子シホ(キム・ジョンチュン)の成長のみが楽しみであり、溺愛している。
だが、ある日ヘユンとシホが路上生活者を虐待している動画がSNSに流れ、二組の家族は徐々に追い詰められて行くのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭、一台の車が猛スピードである車の前に停まる。車内から血相を変えた男が出て来てバットを持って車のボンネットを激しく叩くが、その瞬間その車は、一度少しバックした後に猛スピードで男を撥ね、車に激突し男の娘が挟まれて病院へ搬送される。物凄いイントロであるが、このシーンが後々効いてくるのである。
男を撥ねた髪を染めた若者は金持ちのボンボンで、反省した態度などないがジェワンは弁護士費用につられ、ボンボンの弁護をする。一方、ジェギュは娘を必死に助けようと手を尽くすのである。このシーンで、既に兄弟の表面的な生き方の違いが明瞭に描かれているのである。そして、これがホ・ジノ監督が仕掛けたモノである事が徐々に分かるのである。
・ジェワン夫婦とジェギュ夫婦は屡々、夕食を高級レストランで共にするが、二組の夫婦の冷え切った関係性が見えるのである。ジェギュはジェワンの生き方に、ユンギュンは自分より若い義理の姉ジスに対し、義母の面倒を見ている不満と嫉妬を交えた複雑な気持ちを持っている。
・ヘユンが、相当に甘やかされて育って来た事が分かる父親ジェワンに媚びた声で小遣いをねだるシーン。逆にシホは学校で苛められ、成績もパッとせずに塾通いを強制されている覇気のない少年だが、従妹であるへユンとは仲が良い事も描かれる。
■今作を象徴するシーン幾つか。
1.ジェワンが猪狩りで躊躇なく猪を撃ち殺す姿。
2.運転中のジェギュの前に鹿が飛び出し、フロントガラスに当たりにひびが入るシーン。物凄く驚くとともに、何故このシーンを入れたのか?と思うが再後半にその意味が分かるのである。
3.会食後、道路で送迎車を待つジェギュに向けて、酒を飲んでいる筈のジェワンが運転する車が猛スピードで走って来て直前で止まり、驚くジェギュに言った言葉。”お前は、車道に居た。この状況で轢かれたらどうなる?”
ー いやあ、不穏ですねえ。怖いですねえ。けれども、この作品ではこの3シーンが見事に後半の幾つかのシーンに連動しているのである。ー
・ヘユンとシホが路上生活者を虐待している動画がSNSに流れても、ヘユンは微塵も動揺しない。シホは動揺を隠せないが、その事実を母ヨンギュンに詰問されても認めないのである。
恐ろしいのはこの際のへユンの継母ジスに対する態度である。へユンには良心というモノが明らかに欠如しているのである。一方、親であるジェワンはへユンが事件時に来ていた服を焼却するようにジスに命じ、ヨンギュンは動画に映っているのは息子シホではないと無理やり言い聞かせるのである。
しかし、ジェギュはシホを警察に自首させようと車に乗せるのである。涙を流して止めるヨンギュン。そしてジュギュは親としての子を想う気持ちや社会的な自分の家の事を考えて、直前で止めるのである。
だが、路上生活者は手当ても空しく亡くなり、その情報を聞いたヨンギュンは、ほっとした表情を浮かべるのである。一方、ジェワンは路上生活者の貧しき母親に、雨の日に大金を無言で差し出すのである。
■そして、再び高級レストランでの会食シーン
ジェワンは、ジェギュとヨンギュンに”ヘユンを自首させる。それがあの子にとっても良いと思う。”と突然冷静な顔で言い、スマホを取りだしジスが産んだ赤子の声で自動録音できる機能で撮影したヘユンとシホが、赤子をあやしながらの会話を聞かせるのである。
そこでの二人の明るく話す会話の内容が恐ろし過ぎるのである。
”韓国人の平均寿命は84才なんだって。でも、路上生活者は46才なんだって。””じゃあ、もっと蹴って置けば良かったね。”
驚愕する、ジェギュとヨンギュン。
ジェギュは止めるように激しくジェワンの胸元を締め上げるが、ジェワンは動じない。そして、部屋を出て行くジェギュとヨンギュン。ジェワンは、冷静な顔で”食事を続けるか。”と言うが、ジスに”出ましょう。”と言われて、部屋を出るのである。
<そして、ジェワンとジスは車を待つが、”一歩、路上に出た”ジェワンは猛スピードで走って来たジェギュの車に撥ね飛ばされ、絶命するのである。
今作は二組の裕福な弁護士の兄、医師の弟の家庭が、彼らの子供が犯した或る出来事で良心の呵責と親心との狭間で葛藤する様を描く、シニカルサスペンスであり、物凄く嫌な気持ちになる逸品なのである。
そして、人間の真なる善性とは何かを、観る側に問い掛ける作品ではないかな、と私は思ったのである。>
さすがにこの感情の動きは
起ちあがりが早いね。あっという間に人が亡くなる。
観てる途中で「このあっという間に亡くなった事件、関係ないんじゃ?」と思うんだけど、一応、効いてくるね。
そこから金持ちというか上流階級の嫌なところを描いてくね。
韓国の人は権力者や金持ちが嫌いなんだろうなといつも思う。
そして金持ちの子供二人が浮浪者襲撃事件を起こしちゃうのね。
それが動画に撮られてて公開されちゃうの。
そこから兄、弟、弟嫁の葛藤が始まんの。
ここの感情の動きは、それぞれの事情絡めて考えるとよく分かるね。
そんなに葛藤しない兄嫁だけど、この兄嫁だけが下層階級出身なんだよね。
だから、兄嫁だけが、作中ずっとまともな判断してんの。
それで、襲撃した浮浪者は亡くなっちゃうのね。子供は殺人犯だよ。
自首させるという弟と隠蔽を主張する兄、弟嫁。
弟が食欲なく食事を口に運んでると、兄から電話が来るんだよね。
それで電話が終わると、元気に食べ始めんの。
だから、ここでは「自首させるって決めたんだ」と思ったのね。
そしたら、兄が、亡くなった浮浪者のお母さんに大量のお金を押し付けて、それで終わりにしてんの。なんで? 弟はなんで元気に飯食ったんだ。
そして弟はキャッチボールして子供と語り合います。
このときも二人はたぶん New Era の帽子かぶってんだよね。UNIQLOの1,900円の帽子とかじゃない。6〜7千円するの。金持ちなんだよ。お父さんはNIKEのTシャツだしね。
息子も反省した様子だし、まあいいかって感じ。
しかし、子どもたちは全く反省していませんでした!
ということが分かって、兄は「やっぱり自首させる」に変わるの。
兄は、あっという間に人が亡くなった事件の加害者の弁護をしてんのね。この加害者がエエとこのボンボンでどうしようもないの。
だから兄は「自分がやっていることは、このボンボンみたいのを作ってしまうことでは」と思いつつやってたんだよね、だからここで心変わりは、まあ分かる。
それを弟に告げると、弟は今度は自首に反対すんの。
ここが、分からない。
ずーっと曲がったことが大嫌いでやってきたのに、なんでここで真逆になってんだろ。
なんで元気に飯くったんだ問題だね。
ここが無理に感じたから、ラストも「なんだかなあ」だったな。
でも、そこ以外は面白かったよ。
あと「子供は何を考えてるか分からない」という描写にして徹底的に無表情で描くのね。そこも良かったよ。
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