劇場公開日 2025年1月17日

「色々と考えさせられる魅力的なサスペンス」満ち足りた家族 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0色々と考えさせられる魅力的なサスペンス

2025年2月6日
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鑑賞方法:映画館

この映画を観て思うのが、人は見かけによらないということ。そして、人は変わってしまうということ。当たり前とも言えることだが、やはり物語として提示されると色々なことを考えてしまう。
冒頭のシーンから人の感情を揺さぶってくる。割り込み運転をした男が注意されても悪態をつく感じも嫌だったが、バットを振り上げて他人の車に殴りかかろうとする男もヤバい。そして金と権力がある人間の親族はかなりの恩恵を受けられるということも嫌な気分になるには十分な要素だ。
クールな現実主義者と熱いヒューマニストの対立という構図に見えた兄弟関係が徐々に変わっていく。また、兄弟それぞれに影響を与える妻も見え方が変わっていくのが面白かった。そしてあの2人の子どもたち。お互いのことを思いやる優しい気持ちは持ち合わせている少年少女なのに。人間は一つの側面だけではできていないということだよな。
後半に4人でテーブルを囲んで食事をとるシーンはとても緊張感があって締まったものになっていた。やはりソル・ギョングとチャン・ドンゴンの存在感は大きかったということ。ただ、ラストは若干中途半端に思えた。あれでは何も解決しないから。それでも、収入も社会的地位も高い兄弟夫婦の家族が綻びを見せて崩れ落ちていくのを観るのはとても苦しくなる。サスペンスとして十分魅力的だった。

kenshuchu