「守るべき、子の『 』」満ち足りた家族 おひさまマジックさんの映画レビュー(感想・評価)
守るべき、子の『 』
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『 』に何を置くのか、それが問題だ。
先行上映で鑑賞。年の瀬にこんな名作に出会えたことに感謝したい。ジノ監督も俳優たちも素晴らしい!
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強かれ弱かれ、我が子が何らかの罪を犯したとするならば、何かの間違いであってほしいと願う気持ちは親なら誰しもが思うこと。
本作に登場する二家族の親たちも同様。そして何らかの形で、我が子の悪事がその本質であったと知ったとき、良心の呵責に苛まれるのは子ではなく親たちであり、その苦しみを重厚に四者四様にすれ違う姿を描いた濃厚なサスペンスドラマだった。
時間軸ごとに良心の呵責の起点が異なる家族たちの判断。それが最後まで交わらないことで、物語は考えうる最も悲劇的な結末に向かっていった。
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ストーリーは映画的といえばとても映画的であるから、ああ面白かったと済ませたい気もするのだが、なぜか見た者の心にじわりと残滓がこびり付く。この気持ち悪さは、グロテスクなそれではなく単なる不快感というわけでもない。「普通の家族」というテーマがゆえか?
子への本当の愛とは?信じる、とは?
鑑賞する心の「普通の」感覚を逆撫でしつつ、ラストで切り裂く。バラバラに散らざるを得ない私の気持ちも劇中同様、冷たい雨に打たれるが、幾つかのかけらは仄かに体温を帯びていた。
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