劇場公開日 2025年1月17日

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「悪徳弁護士の翻意」満ち足りた家族 ノーキッキングさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0悪徳弁護士の翻意

2024年12月27日
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鑑賞方法:映画館

欧米で、すでに3回映画化されたベストセラー小説を韓国ならではの人物設定と翻案によって、より深く、重厚に描いた本作。
チャン・ドンゴンは『スーツ』で弁護士のイメージがあるが、今回は医師で、弁護士役はソル・ギョング。二人は兄弟の関係。そしてドラマに不穏な色を為すキム・ヒエがドンゴンの妻役。
兄(ギョング)の娘と弟(ドンゴン)の息子、この高校生二人が世間の注目を集めたホームレス殺害に関わってしまったことで、兄弟それぞれが親として我が子を自首させるか否かの究極の選択を迫られ、その葛藤を描くドラマ。
当初は、隠蔽対応がお得意の悪徳弁護士の兄が“黙って逃げ切る”選択をし、医師の弟は正義感から息子を警察に突き出すと言い張る。しかし、徐々に、その様相が変化してゆく。罪の意識が希薄な娘の姿に動揺するギョング(兄)。幾多の“疚しさ”を抱え込んできた弁護士がやっぱり娘を自首させようと翻意した過程を、丁寧に描いていたのが印象的。それは短い尺の中でも充分納得できるものだった。
一方、警察に突き出すと息巻いたドンゴン(弟)だったが、息子かわいさから、踏ん切りがつかず、今から改心すればいいと赦してしまい、ここで兄弟の立ち位置は逆転する。
“あなたならどうする?”を突きつけるこの後の展開は…………
モラルを問うなど、凡そ韓国ドラマらしくないが、このガキ共の憎たらしさはやっぱり韓国。
財閥のどら息子の罪を金でもみ消す弁護士の兄と相容れない正義感医師の弟、それぞれの美人妻、4人の豪華な食事シーンの冒頭では、よくありがちな韓国ドラマじゃないかと思わせておいて、ラストで彼等の人生すべてが一瞬にして破壊されてしまうという顛末は息を呑む。テンポよくスマートな脚本に好感度は高い。
今後も楽しみな監督である。

ノーキッキング
おひさまマジックさんのコメント
2024年12月30日

コメントありがとうございました!私も同感です。たくさん見たわけではありませんが😅ソウルの春も良かったですね。

おひさまマジック