「猫好きなら是非。ドキュメンタリー映画。」ねこしま yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
猫好きなら是非。ドキュメンタリー映画。
今年10本目(合計1,552本目/今月(2025年1月度)10本目)。
これまた珍しいマルタを舞台にした猫映画です。猫映画(ドキュメンタリー映画)自体は時々みますが、マルタが舞台というのは超レアではないかな…といったところです。
映画館で放映されているので「映画」なのでしょうが、ドキュメンタリー映画という要素も薄く(後述)、ただ単に猫を見て癒される映画というように解釈したほうが良いかなと思います。ストーリーというストーリーを見出すことが難しいですし。
ただ気になったのが、どうしても「人間視点からの猫の在り方」を論じる映画であるため、猫の去勢手術を是とし、去勢手術をしないことを非とする「人間上位の考え方」が全体にいきわたって描かれており、一方で動物愛護法(に相当する、各国の法律)の観点からは、猫にも猫の権利の概念を観念することができ、その考え方でいった場合、去勢手術を進めるというのは人間側の都合にすぎず、そこを深く取り上げなかったのはちょっとこの手の映画としては残念といったところです(もちろん、人間上位の概念で作ることは理解しうるし、衛生的な観点からもそうしたほうが良いといった点は理解しうる)。
※ これが人間になると、先の日本の最高裁判例(いわゆる強制不妊手術)にもあたるような事案になるのですが、そこで線を引いて「猫には何らの権利も観念できない」というような両極端な考え方には当然ならないので、折衷案的な考え方になるのではと思います。
一方で映画として明確に気になった点は下記に述べておきます。
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(減点0.2/誰が誰かわからないところが一部ある)
登場人物は、マルタに住んでいる当事者が大半ですが、日本でもそうであるように猫には名前がついているところ、先行する類似の作品として「猫と、とうさん」では猫の名前にまで字幕がついていたところ、こちらはそうではなく、海外では人名と同じように名づけをするようで(例えば、中盤に出てくる猫のエリカなど。名前からおそらくメス猫。日本では女児の人名で用いられるほか、ドイツでは国花)、「誰が誰かわからない」シーンがいくつか存在します。ここは配慮が欲しかったです。
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(減点なし/参考/迷い猫等を動物病院に連れて行った場合どうなるか)
迷い猫等を発見して怪我を確認したとき、その猫(や、犬)を動物病院に連れて行ってとりあえずの治療を受けさせる行為は、日本では管理者(飼っている人)に対する事務管理(697)の扱いになります。
>> 1/13 (15時13分)修正 703条→697条 ※ 703条は不当利得
ところが、猫も民法上は「物」(「ぶつ」と読む)であるため、事務管理において支払った病院代を管理者(飼っている人)に対して請求でき、支払われない場合、物である以上、それに対して留置権を主張可能です。
ただ、民法の規定とは別に動物愛護法もあるので、留置権を盾にとって費用を返すまで返還しないというのも酷な部分もあるし(同じ「物」でも、生き物である猫犬と、生き物ではない「普通の意味での」物とは、民法上の規定は同じでも道徳的な観念が別になる)、ここは日本ではしばしばトラブルになるところです。