犬と戦争 ウクライナで私が見たことのレビュー・感想・評価
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ウクライナ戦争下の犬たち
本作の山田あかね監督は、東日本大震災で取り残されたペットたちに関するドキュメンタリー映画『犬に名前をつける日』などを監督してきた方だ。今回はロシア・ウクライナ戦争で取り残されたペットたちを救出しようと奮闘する人々追いかける作品だ。現地まで何度も足を運び、丹念に取材を重ねている。
冒頭に、保健所で置き去りにされた多くの犬たちの犬たちの悲劇が写される。犬好きほど、この映画に関心を寄せると思うのだが、安易にオススメできる映像ではない。非常に痛ましい映像なので、見る時はある程度の覚悟を持っておいてほしい。
後半では、アフガン戦争などでPTSDとなったイギリス人の元軍人が登場する。彼は、今ウクライナやガザでペットの救出作業をやっている。犬に救ってもらった恩を返すためにやっているのだという。命を奪う軍人から命を救う活動に転身した彼のエピソードがハイライトだろう。アニマルセラピーの効果について考える上でも貴重な内容だった。
ウチは猫です。
ウクライナの戦争現場と置き去りにされた動物に興味があってみてみたんだが、、、
衝撃を受けたのは世界のボランティアや動物愛護団体の桁違いの規模と行動力だった。日本の団体、行政の周回遅れ感に打ちのめされた。当然のように動物と避難できる欧米に比べ、避難所にペット持ち込み禁止の日本、どっかの国の人を「民度がー」とか言ってる場合ではない。今時殺処分ゼロ、マイクロチップなど当然で、レベチである。
災害復興もされず、田舎だという理由で人さえ見捨てる政府に犬猫救える訳もなく、、僕らが金か身体使っていくしかないわけです。ロシア軍占領地の犬猫シェルターで起きた悲しい事件を中心に3回のウクライナ行きは監督も中々気合いはいってる。
金が無くても協力できる事も色々あるんだなぁと、気づきもあった。
欧米とのレベル差に犬猫好きの人は見て震えるべき映画です。
正義のために殺すのか
支配欲と名誉欲で人を殺し合うヒトによって命をなくすのは人間だけでなく動物も同じだ。
危険を承知で動物を救おうとする人々の記録。それは彼らにとって生きがいとなり、自分の心を癒してくれたものへの恩返しでもあるという。
一方で小さな命を顧みることもせずに傍若無人にふるまうヒトもいる。破壊されたガレキの中で助けを求める犬たちが「やっと迎えに来てくれたんだね!」という喜びに満ちた顔が忘れられない。そんな犬たちを、戦火の中でさえ引き取り家族として迎えるウクライナの人々の行動にも驚かされる。動物と暮らすということの意識が、日本とは大きく違うのだろう。
戦闘を続ける者、シェルターを放り出した(と言われている)者、もちろんそれぞれの言い分はあるだろう。だが、命に優劣はなく、お互いを大切にする気持ちは、どんな時も忘れずにいたいと強く思う。
劇場内では上映中にすすり泣く声も聞こえ、悲惨な戦争にNOをつきつける。動物愛好家のみならず、多くに人に見てほしい。
【”戦争中だからこそ、小さな命を犠牲にしない。”戦火のウクライナで取り残された、飼い犬たちペットを助けようとする人たちの奮闘する姿を写し取ったドキュメンタリー映画】
ー 序盤は、戦時に犬の命を命を懸けて、助けようとする人たちの姿に感銘を受けるが、観ているうちに、徐々にもっと深い意味合いが分かって来た作品。-
◆感想
・ボランティアで戦時のウクライナで、ペットの犬たちを救う行為をしている人たちが多数映されるが、一番印象に残ったのは、世界各地で戦って来た男性がPTSDになり、半年部屋から出られなくなった時に、飼う事になった犬に癒されてPTSDを乗り越え、戦う人から救う人になったと、彼自身が語るシーンだな。
・他の方々も、それに似た感じがするな。勿論、動物が好きでなければ出来ない、崇高な行為だけれども。
・そして、傷ついたウクライナ兵たちが、犬によって癒され笑顔になるシーンも、印象的だったな。
<後半は、そこから現在のウクライナの状況を映し出して行くのだが、本当に戦争は何物も生み出さない行為だという事を、改めて認識したな。
ロシアを統べる男も、ウクライナを統べる男も、アメリカを統べる男も、話し合いという言葉を知らないのかな、と思ってしまった作品である。>
ヒトを傷つけるヒト、ヒトを救う犬
今日、普通に外出。普通に映画を観ました。それは、普通にミサイルが飛んで来ないからです。
救うこと、戦うこと。
私達は、戦いの矛先を間違えているかも知れません。
孔先生曰く、人徳のある為政者が治める国は、徳が寬く行き渡り、人だけでなく、あらゆる生類に平穏が訪れる…。これを真に受けたのが、生類憐れみの令。その後、何が起きたかは、ご存知の通りです。
今さら何を言っても、時間は戻りません。為政者の政策ミスの結果が、戦争だとしても、割を食うのは、私達。私達には何もできないとしても、何が起きているかを知ることは、無意味ではないはず。犬を苦しめるのも、ヒト。犬を護るのも、ヒト。そして、犬に救われるのも、やはり…。
…何故、戦場に戻るのか?。理解できない者が理由を聞く。そこに仲間がいる。仲間を助けるのに、理由が要るのか?。
「ブラックホーク ダウン」
…子供なら、夢中になれるもの、たくさんあるよな。だがこの歳になると、それはひとつかふたつだ。俺の場合、ひとつだな。
「ハート ロッカー」
…人に発砲するより、犬に銃を向けるほうが、良心が痛む。
「戦場でワルツを」
分かち合うことの 喜びと
分かち合うことの 難しさは
あなた自信で確かめて
あなた自信で確かめて
サンボマスター「手紙」
…救うことは、戦うことより勇気が要る。
他者を傷つける蛮勇より、他者と分かち合う勇気こそ、今の私達に試されているようです。
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