「やりたい放題」Smile 2 ふぇるさんの映画レビュー(感想・評価)
やりたい放題
トラウマを餌に人から人へと乗り移っていくスマイル君。
中身の方も相変わらずのニッコリスマイルである。
前作では一般人のトラウマを描いていたが、本作はトップスターによるトラウマを描いている。
だが、そのトップスターという設定がうまく活かしきれていないような気もする。
というのもトップスターのツアーに集まった膨大な数の人にトラウマを感染させるという結末ありきの設定のようにも思えてしまう。
前作では現実と幻覚の区別がつかないという所に焦点を置いていたが、本作では区別がしづらくあまり現実と結びついていない。
ステージに立っているシーンからは現実なのだろうが、
それまでに起こっていた事が一部でも現実にあるとすれば、本人を除いてもまともにツアーをする事はできないだろう。
例えばチャリティーイベントでは司会者を突き飛ばすシーンがあるがこれが現実だとするとトップスターであれば社会的に抹消されるのは間違い無いだろう。
ストーリーが進行している最中でも無駄に人が死んだりするのでスマイル君からしてみれば餌となる人を無駄に殺す意味が見当たらないので何故そうするのかが疑問に浮かんでしまう。
実際に面識があったのか分からないような人がトラウマとして登場することもある。
そうした前作では設定したルールが軽視されるたびにノイズになってしまう。
そしてその代わりに取り入れたのが無駄なジャンプスケアやゴア描写である。
幻覚中はいわゆる夢オチに近いもので、これであればどうにでもできるのでは無いかという印象だ。
また幻覚だとしても母親を殺害している時点で取り返しがつかなくなっており、その後の連鎖を止めるための展開には共感ができなくなってしまっている。
感染後はほぼスマイル君が支配をしていて、レッスンなどもこなし、無事にツアーを開催した所で感染拡大というのが現実だとしたら、いささか消化不良では無いだろうか。
トップスターのスター像としても現代と比べると少々古臭いものを感じる。