おんどりの鳴く前にのレビュー・感想・評価
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期待作として観ると・・・
雑誌などの評価が高かったのとルーマニア映画と言う珍しさから期待度を高めて観に行きました。映画館は平日の昼間なのに満席で、観る前からいやが上にも気分は盛り上がっていました。しかし・・・。
この残念感は何だろう?推理ドラマでもなく、政治ドラマでもない。主人公の警察官の買収されそうになる葛藤も、そして、部下の新人警官を好きになれなかったのに、殺されると爆発させる悔しさも、まして、別れた元妻の「あなたは昔から正義感が強い」と言うセリフも、なぜか、響かない。つまり、すべてが中途半端で、ストーリーとしては十分緊張感があるはずなのに、このドラマの最大に重要な緊張感が失われてしまっているとは言いすぎか。
題名は聖書でのイエスが弟子のペテロに言った言葉「あなたは雄鶏が鳴く前に三回嘘をつく」から来ているのは間違いがないのだが、この映画で噓を言ったというか、自分自身に嘘をついたのが主人公ということを言っているのだと思う。だから、彼は、雄鶏を捕まえて、鳴かない様に=(自分に)嘘をつかない様にしたかったのだろうが、そこもピリッと効いていない。良い味わいがないわけではないが、だからこそ、残念な映画と呼ばざるを得ない。最後の銃撃戦は、黒沢清の「Cloud」みたいで、笑える。これは、喜劇だったのか?
君の基盤に…。
自分の果樹園を持つことを夢見る警察官が田舎の村に勤めることになるも、何も起きそうもない一見平和な村である日殺人事件が起きてしまい…といった物語。
なんというか、某人気アニメの主人公ちび◯る子のオヤジのような喋り方の主人公イリエ。
シーツが消えていた…まぁ気持ちは分かるがそんな返答しなくても(笑)
新米警察のヴァリに対するあたりも、まぁ規則は大事ですけどねぇ…。嫌味で皮肉なところもヒロシそっくりw
そんなこんなありながらこの殺人の犯人を探していくのかと思いきや…え!?
成る程、最近観た別の邦画作品にも通づる所があるが…片田舎の闇は世界共通といったところか?
思いの外正義感は強く、辛い過去を持つイリエの気持ちは分からんでもないし、何だかんだヴァリに対する愛情もちゃんとあったのね。
作品の展開としては、まったりというか一歩間違えば退屈にも捉えられなくないが、作品の独特な空気とどことなく陰鬱な雰囲気が常に惹きつける。
そして最後には目の覚めるようなスリリングな展開。この悲痛な叫びよ…。の中に何故一瞬コメディを入れ込んだ(笑)?ずるいぞw
話はわかりやすかったし、片田舎の闇や登場人物達の煮え切らない人間臭さも感じられ、かなり面白い作品だった。
こういう映画、嫌いじゃない
ルーマニアは共産主義体制崩壊後、犯罪や汚職のニュースが絶えない国で、今年ようやくシェンゲン圏に完全加入となったくらい。こういう村もありそうな気がする。ただ、実は程度の差こそあれ、こうしたコミュニティの中の掟や抑圧は世界のあちこちにあるだろう。その意味で、この映画はルーマニアローカルでもあり、普遍的なストーリーも語っている。
いかにも日和見的な弱々しい警察官がどうしても許せないことにぶつかるヒューマンなストーリーでもある。ルーマニアの素朴な風景や暮らしも垣間見ることができる。見た人の評価が低かったので、水曜日に見て予め保険をかけたが、むしろ満足して帰りにパンフレットを買った。映画に出てくるシンプルだが美味そうな料理の解説もあり。
雄鶏かんけいないじゃん。
パンフみたら元題と英題はシンクしてるが邦題はぶっとんでいる。まあ元題とあまりに違うけどずっとこの田舎町に起きた事を見ていた鶏を引っ張ってきてタイトルにした日本の関係者のセンスは悪く無いかも。
監督も実際目撃者として選んでるわけだし。
話はそんなに複雑ではなく最近流行りの閉鎖的田舎らしと自然災害、生き残りと欲望と善と悪の間に挟まって押しつぶされそうになった無学な警察官のはなしです。
キャスト皆んな素敵だがこの主人公がよい。オーディションで「ルックと演技は良いけど知性的な目をしている所が気になってる」と言われたが「本番までに作っておくよ」と答え、見事にダメ警官になってたらしい。
役者っておもろい仕事だね。
悪に走るか善行をなすか、人生の分かれ道の選択条件って似てるなとちょっと思った。みっともなくも切ない良いエンディングであった。
ルーマニアのこの監督、次作も楽しみである。
世界各地で共通のムラ
自然豊かな田舎の村の警察官のイリエは、中年になり仕事に対する熱意も失い、格好もだらしない。果樹園でも買って、のんびり暮らそうかと考えている。そんなある日、新人の警官のヴァリが研修を兼ねて着任した直後に、村で惨殺された死体が見つかる。ヴァリは周囲に聞き込みを始めるが、それを不快に思う村人があり、イリエも余計なことはするなとヴァリを叱責する。しかし、それは、持ちつ持たれつで平和を保ってきた村に大きな亀裂を生み出すことになり……。
「ムラ社会」には自分たちの生活の平和と均衡を保つための暗黙のルールがあり、部外者から見ればどんなに歪(いびつ)なものであったとしても、そのルールは自分たちにとっては当然のことであり、ムラの中で生きていくためには不可侵な慣習となっている。もちろん、それはルーマニアの片田舎に限った話ではなく、世界各地で見受けられる。
もちろんこの国でも、自分たちの住む村や街の有力者にとって都合の悪いことを隠蔽するために住民が口裏を合わせる話として、藤井道人監督の『ヴィレッジ』(2023年)やWOWOWドラマの『誰かがこの街で』(2024年)などが記憶に新しい。まぁ、お偉いさんをかばって検挙もせずに、口をつぐんでさえいれば検察のトップにでもなれる国だから……。
「身内の論理」と「保身」というものから人間は逃れられないのだろうか?そこから目覚める人間が出現するとムラが崩壊するかそいつが潰されるかのどちらかなのだろう。
なお、原題の "OAMENI DE TREABĂ" は(Google翻訳によれば)「善人(good people / honest people)」という意味らしい。
ラストは秀逸
見るのにかなりの理解力を要するので注意。よくあるホラー映画とは違う?
今年42本目(合計1,584本目/今月(2025年2月度)5本目)。
こちらはルーマニアが舞台のホラー映画…かな。ジャンルとしてはそうなると思います。
なお、現地で話されているのは当然ルーマニア語のようなので、ほぼ理解はできません(村や町の看板で外国人向けか、STOP(とまれ)などの看板は出るが)。
この事情が大きく働くのが「ルーマニアの映画自体が稀であり予習が難しい」という難点で、まず舞台は、舞台の大半となるホラーが起きる「村」と、その村に近いのか、カフェやアクセサリーショップ等がある「街」の2つだけであり(とても、都市部というような場所すら出ない。その「街」ですら人口1~2万人かというレベル)、そこに一般的に見聴きしないルーマニアの地名や人名が多く出てくるところ、人名に関しては一部を除いてそもそも男性なのか女性なのかさえ不明な名前が出てくるので(地名も当然かなり独特)、固有名詞がまず「地名か人名か、あるいはほかの何かか」を理解するだけで頭がいっぱいになります。
※ ほぼ唯一の例外が、登場人物の一人「クリスティナ」ですが、字幕上はそう表記されても実際の発音がかなり異なるようで、そう聞き取るのはかなり無理(一般的なアルファベットの読み方とかなり乖離があるものと思います)ので、そこではどうしようもありません。
こうした事情と、主人公や周りが取る行動の突飛さも相まって、ジャンルとしてはホラー(一部、アクションといいうる点はあろうが)だとしても、何度か見ないと…といったところです。これは「村」パートが恐ろしいほど近代化されておらず、真っ暗なシーンもあるし(ただ、なぜかしら、国鉄なのか民間鉄道なのか、踏切らしきものは出るが、電車にのるようなシーンはない。踏切らしきものは背景に映るだけ)、理解にある程度の頭の整理がいるタイプの、典型的な「パンフ買ってね、何度も見てね」系になっているところです(パンフ買えばよかったなぁ。オンデマンドバスを待たせるわけにはいかないのであきらめましたが)。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.7/相当な理解力とパンフ前提の展開になるのが厳しい)
上述のように、固有名詞の「属性」つまり、人名か地名か、それ以外か…といったところ、さらに人名だとしても男性か女性かもよくわからない固有名詞飛ばしで前半ごり押ししてくるのが厳しく、まぁ初回で見て3割か4割の理解率しかないのでは…と思います。結末を知った上で、より深い理解を求めようとすると2度3度見ることになると思います(ただ、大阪市ではテアトル梅田だけで、株主優待があればそれで見ることはできる)。
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(減点なし/参考/さくらんぼ農園の土地の所有権の物権変動について)
映画内で「所有権は俺のものなんだぞ」といいつつ、「契約書がない」などというシーンがあります。この点(不動産の所有権の得喪)は、日本民法では177条(当事者では有効でも第三者に対抗するには登記しろ/フランス型)、韓国民法186条(当事者であっても登記しろ/ドイツ型)という2パターンにわかれますが、そのどちらでもないようです。
※ ただし、さくらんぼ農園の所有権の話はトリックになっていない。ここが論点になると採点幅に考慮される。
you talkin’ to me? 綾波レイも言っていた
「視野が狭い田舎者、一人前の大人になれない」
この主人公の自嘲的なセリフは、
映画全体を、あるいは世界中の問題や、
本作の舞台であるチャウシェスク政権の崩壊も記憶に新しいルーマニア、
または現在のSNS上を貫くテーマを鮮やかに描き出しているのかもしれない。
短絡的で感情的な主人公は、
論理的な思考力に欠け、
周囲からも「一人前の大人」として認められない存在として描かれる。
そんな小さな田舎で発生した事件は、
主人公の内面を揺さぶる。
彼は被害者を悼み、心を寄せ、
そして行動に移す。
その行動には、計算や戦略、
野心や金銭的な目的といったものは見当たらない、
村の腐敗を正したいという思いもない。
もし、主人公が論理的な思考を持っていて、
村の在り方、政治等に興味があれば、
トラビス・ビックルのように、
「you talkin’ to me ?」と言ってたのかもしれない。
戦略的に事態への対応もできない、
ただ部下への悼みと隣人への痛みを共感する心だけが存在する。
悼みを、傷みを、行動に移せること。
それは、一見未熟に見える主人公が、
実は大人であることを証明しているとも言える。
感情に振り回されながらも、
正義感を持って行動する・・・
その一方、主人公は果樹園に興味を示す。
それは、彼の小さな純粋な気持ちが、
果樹園を生き返らせ、
その実が、土が、
チグリス・ユーフラテス川へと注ぐ一滴となるかもしれない。
その様子をじっと見つめるおんどりの姿は、
主人公の未来への希望を象徴しているのだろうか。
そしてこのおんどりが鳴く次の朝には、
この村には何が起きているのだろう・・・。
この映画は、人間関係において、
解決策を探るだけの論理的な思考力だけでなく、
感情や共感の大切さを教えてくれる。
(綾波レイとシンジの関係もそうだった)
主人公の一見短絡的な行動を通して、
私たちは「大人になる」とはどういうことなのか、
改めて考えることができるだろう。
結構滑稽コケッコー
ちゃんとサスペンスなのにどこか滑稽という珍しい空気感の作品。
主人公がこう、うだつが上がらない感じのしょんぼりした警察官なのが最初ちょっとイラつくんだけど、話が進むにつれて、味わい深いというか。
最初、人間の関係性を見せる所が割と冗長でちょっと眠かったけど、事件が起きてからは面白くて、あのどこか抜けた主人公と同じぐらい抜けたワルモノとのやり取りとかw
ヒィー!て悲鳴がやたらにリアル過ぎて笑いそうにwなかなか見ないリアルすぎるリアクションすごい好き。
この映画、ラストの主人公のセリフに全てが込められてる気がする。ちょっと変わった空気感で、最初どうなるかと思ったけど、良かったです。
2/14 北野武監督のbroken rageを見て暴力と笑いがテーマなんだなぁと思ったけど、おんどりは暴力と笑いが完全に重なってる、紙一重所ではなく重なってる。そこがとても良いんだと気が付いた。ので、スコア3.5から4.0に変更した。
微妙にスカッとさせない辺りが上手いというか 最後までもどかしいとい...
果樹園
真っ黒ですけどね。
モルドバ地方の小さな村に住み10年の、果樹園を営むことが目標の警察官が、村で起きた殺人事件により翻弄される話。
元妻と共同で所有するアパートを売り、果樹園を買おうと目論むも期待する額に遠く及ばないことを知った主人公に始まって、村に新人警官が赴任してきた矢先、殺人事件が発生し巻き起こっていく。
犯人探しのサスペンスかと思っていたら、えっ、そういう話し!!?
しかも穏便に済ますつもりまるでなし?
ちょっと、いや、かなり情けなく陰鬱な主人公を軸に、まったりとみせて行く流れからの終盤の展開はなかなか以外で面白かったけれど、赤い包の件からの怨も入ってますかね…。
始まりからぬめ〜っとしていたりとちょっと空気感がだるかったけれど、話し自体は面白かった。
ところで、ラストはめんどりじゃなかったですか?
25-014
期待度◎鑑賞後の満足度○ 『嗤う蟲』の元ネタか?
満席だったけど…
ルーマニアの社会風刺
“まるでタランティーノ”とか“ルーマニア・アカデミー賞6冠”とかポスターに書いてあって、ポスターのデザインも凄い感じを放っていて、
かなり楽しみにしてたんだけど、観たらガッカリ(笑)
何を観せられてるんだろうと思う、どうでもいいようなルーマニアの田舎の日常が、たらたらダラダラ起伏なく続き、眠くなってウトウトしながら鑑賞。
ラスト10分ぐらいは派手で目が覚めた。
そんな感想だったんですが、終わってからユーチューブで町山智浩さんの解説を観たら、まー分かりやすい素晴らしい解説。
そういう事だったのか!と腑に落ちまして、もう1回観たくなった。
興味を持った方は、ネタバレに触れてるので、映画を鑑賞後のチェックをオススメします。
ネタバレしない程度に解説すると…
ルーマニアの田舎の村、表面上は平和そうに見える村、冴えない常駐警察官イリエ、正義感の強い若い警察官ヴァリが来たことで、今までの日常は崩れていく…
ルーマニアの社会風刺が入ってるそうで、村長役はルーマニアの実在した人物に似てるそうです。
僕は、もう1回観てみます。
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