劇場公開日 2025年1月24日

「世界各地で共通のムラ」おんどりの鳴く前に Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0世界各地で共通のムラ

2025年2月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

自然豊かな田舎の村の警察官のイリエは、中年になり仕事に対する熱意も失い、格好もだらしない。果樹園でも買って、のんびり暮らそうかと考えている。そんなある日、新人の警官のヴァリが研修を兼ねて着任した直後に、村で惨殺された死体が見つかる。ヴァリは周囲に聞き込みを始めるが、それを不快に思う村人があり、イリエも余計なことはするなとヴァリを叱責する。しかし、それは、持ちつ持たれつで平和を保ってきた村に大きな亀裂を生み出すことになり……。

「ムラ社会」には自分たちの生活の平和と均衡を保つための暗黙のルールがあり、部外者から見ればどんなに歪(いびつ)なものであったとしても、そのルールは自分たちにとっては当然のことであり、ムラの中で生きていくためには不可侵な慣習となっている。もちろん、それはルーマニアの片田舎に限った話ではなく、世界各地で見受けられる。

もちろんこの国でも、自分たちの住む村や街の有力者にとって都合の悪いことを隠蔽するために住民が口裏を合わせる話として、藤井道人監督の『ヴィレッジ』(2023年)やWOWOWドラマの『誰かがこの街で』(2024年)などが記憶に新しい。まぁ、お偉いさんをかばって検挙もせずに、口をつぐんでさえいれば検察のトップにでもなれる国だから……。

「身内の論理」と「保身」というものから人間は逃れられないのだろうか?そこから目覚める人間が出現するとムラが崩壊するかそいつが潰されるかのどちらかなのだろう。

なお、原題の "OAMENI DE TREABĂ" は(Google翻訳によれば)「善人(good people / honest people)」という意味らしい。

Tofu