「ふと 絆-きづな- という言葉を思い出し 涙が止まらなくなる ロックダウン下で生活する人たちの姿に虚実を超えた「真実」を見た」未完成の映画 Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)
ふと 絆-きづな- という言葉を思い出し 涙が止まらなくなる ロックダウン下で生活する人たちの姿に虚実を超えた「真実」を見た
文字で書いて小説という形式にすれば記録文学ということになるのでしょうか。ロウ•イエ監督はそれを映画の形にして見事に結実させました。冷静になって見れば、ちゃんとした脚本があり、プロの俳優さんやそれに準ずる人たち(スタッフが本人役で出ている例もあるとのこと)が役を演じているということが分かりますが(なぜなら、都合よくそれを撮影しているカメラが常にそこにあるわけですから)、実録か再現劇か、そんなことはどうでもよくなるくらい、圧倒的な映像の力を感じました(一部は実際の当時の映像を使っているようですが)。それは、たとえそれが再現劇であるにせよ、あの時そこにあった「真実」を伝えることに成功したということに他なりません。
特に、登場人物それぞれがホテルの部屋に缶詰め状態になり、人との直接の交流を遮断され、孤独な生活を余儀なくされた後の描写は圧巻でした。結局は家族や仲間たちとオンラインで交流してゆくしかないんですね。オンライン飲み会で仲間たちそれぞれが自分は大丈夫、元気だからと示し、かつ、自分の元気な姿で皆を元気づけようといろいろと工夫しているのを見て私は目頭が熱くなりました。ふと、あの東日本大震災の後に流行した 絆-きづな-という言葉を思い出し、涙が止まらなくなりました。やはり、人は人との関わり合いの中から希望を見い出してゆくんですね。
あのパンデミック突入から5年ほどたち、嵐は去ったとの感がありますが、突入から約3年、いわゆるコロナ禍の緊張感のもとで暮らしたことはこの先も忘れずにいようと思います。幸いにして私の周囲にはコロナ禍で命を落とした者はおりませんでしたが、不幸にもこの世を去ることになった世界中の人たちのご冥福をお祈りいたします。