「ロウ・イエ監督の思いは伝わるが、暗澹たる気分になる覚悟は必要」未完成の映画 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)
ロウ・イエ監督の思いは伝わるが、暗澹たる気分になる覚悟は必要
2020年1月22~25日を中心に、
コロナ・パンデミックの中国における最初の封鎖を、
実際の映像を交え、ドキュメンタリー風に撮ったドラマ。
ここで「未完成の映画」とされる題材は、同性愛を描いた2009年の同監督作品『スプリング・フィーバー』。
これを「10年ぶりに完成させようとする」際にコロナ禍に遭遇する、というストーリー。
ロウ・イエ監督は、
天安門事件を描いた2006年の『天安門、恋人たち』は中国で上映禁止となり、当局に今後5年間の国内での映画製作禁止を命じられている(Wikipedia)
それだけに――つまり検閲があるから――
語り口は、明快率直というわけにはいかない。
「事実をもって語らせる」しかない。
そういう監督の思いが、
画面の向こう側から伝わってくる。
ただ、
日本は中国ほど苛酷ではなかったにせよ、
コロナ蔓延期の鬱屈がよみがえって暗澹たる気分になる覚悟は必要。
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