九龍ジェネリックロマンスのレビュー・感想・評価
全106件中、1~20件目を表示
構想と設定のスケール感に反し、小ぢんまりした恋愛奇譚。ポストクレジットシーンあり
池田千尋監督の前作「君は放課後インソムニア」がよかったので、最新作「九龍ジェネリックロマンス」も期待して鑑賞したが、さてどうだったか。
原作は眉月じゅんによる連載中の同名コミックで、単行本は現在11巻。これだけのボリュームの話を2時間弱にまとめるのだから、内容的に相当割愛、凝縮を余儀なくされたものと思われる。
本作において「ジェネリック」という言葉は、本来の「一般的な、包括的な」という語義ではなく、ジェネリック医薬品に日本の一般消費者が抱くイメージ、つまり「特許を取得したブランド品(本物)と成分は同じだが安価な普及品(コピー)」と近いようだ。1990年代に取り壊された香港の九龍城砦にそっくりで、成立過程が謎につつまれた“ジェネリック九龍”が物語の舞台。上空に浮かぶ八面体の物体“ジェネリックテラ”がこの九龍をコピーしたような街の出現に関係しているようだが。
不動産屋勤務の令子(吉岡里帆)は、ほぼ変化のない日々を繰り返しているが、過去の記憶がない。令子の先輩・工藤(水上恒司)は、令子の過去について何か知っているようだ。2人の過去が徐々に明らかになるなか、ジェネリックテラ計画に関わる蛇沼(竜星涼)が、ジェネリック九龍出現の謎と令子の存在に関心を持ち接近してくる。
舞台や主要人物の設定に関する構想がなかなか壮大で興味をそそられるが、話が進むうち、基本軸は意外に小ぢんまりした恋愛奇譚なのかなという気がしてくる。展開次第では、「ブレードランナー」のような自意識・記憶・アイデンティティーをめぐる哲学的な問いかけになったり、「エターナル・サンシャイン」のようにSF設定をからめて記憶と恋愛の関係をエモーショナルに謳いあげたりするような、構想のスケール感とテーマの奥深さが両立する娯楽作となり得たのではないかと、もったいない感じがした。
おそらく物語要素を割愛したせいで、令子、工藤、蛇沼の3人以外はストーリーに有機的にからむというより単なる記号的な存在にとどまっているのも、物足りなさの一因。山中崇、嶋田久作、サヘル・ローズ、梅澤美波ら個性的な共演陣を活かしきれていない。
池田監督が過去に携わった長編映画やテレビドラマをざっと見渡すと、リアルな設定の作品が大部分で、SFやファンタジーの要素が強いフィクションは今回が初挑戦のようだ。脚本の問題もあるかもしれないが、「九龍ジェネリックロマンス」との相性はよくなかったのかもしれない。
そうそう、エンドロールの途中からクレジットに並行して画面左半分で追加シーンが流れ、監督の名前が出た後に画面全体でポストクレジットシーンが約4分、かなりたっぷりめに流れる。これを観ると観ないとでは印象もずいぶん違うはず。暗転してキャスト名が流れ始めてもどうか席を立たず、最後まで見届けていただきたい。
恋してる時の目線よな
なぜ九龍なのか? なぜ日本人なのか?
劇場公開時に観ていたが感想を書いてなかった映画。原作はマンガらしいが未読、というか存在自体知らなかった。なんとなくタイトルとポスターデザインが良かったんで観てみた。
うーん、俳優陣はみんな好演だし、監督の演出もいいのだが……脚本が悪いのかなぁ? それともそもそも原作の問題? あるいは原作と映画化もしくは実写化の相性の問題なのか? とにかく序盤30分くらいは話が飲み込めず、この映画は何を描きたいんだ? 何が言いたいんだ?と首をひねるばかりだった。そもそも状況設定がいまいちよくわからない。SFっぽいところもチラッとは出てくるが、それがSFなのかファンタジーなのかそれとも主人公の妄想なのか判然とせず、なんとなく話が進んでいってしまう。
中盤あたりでようやく話が見えてくるが、そうなるとまた別のところが気になってくる。そもそも九龍(ジェネリック九龍だが要するに九龍)を舞台とする意味というか必然性がほとんど感じられない。別に日本のどこかの街でもいい話のように思える。九龍が舞台なのに主要人物3人は日本人だし、日本映画では昔からだが中国が舞台でも中国人(香港人・台湾人)役を日本人俳優が演じてるため、なんだか安っぽく見えてしまう。マンガやアニメなら絵だから中国人が流暢な日本語をしゃべっていてもさほど不自然に感じないかもしれないが、実写になるとすごく不自然に見える。何より演じてるのが日本人俳優なのは誰が見てもわかるわけだし。まあ日本を舞台にしたら原作の大改変になっちゃうし、タイトルも変えなきゃならないから無理かもしれないが、実写作品としてはそっちのほうがきわめて自然なように思う。逆にあくまで九龍を舞台にするなら全員香港(か中国・台湾)の俳優が演じる香港映画として製作したほうが良かったんではあるまいか? まあ、これもそもそも香港(か中国か台湾)の側から映画化のオファーがなければしょうがないが、九龍を舞台とした実写作品ならやはりそっちのほうが自然に感じる。
主演の吉岡里帆は演技も上手いし何より神がかり的に可愛く、カメラも彼女の魅力を余す所なく映し撮っている。相手役の水上恒司をはじめ竜星涼などの助演陣もみな好演である。監督の池田千尋という人は実写映画『君は放課後インソムニア』を監督した人とのことで、そっちはとても良かっただけあって本作でも演出は問題なく良かったと思う(80年代大林宣彦的ファンタジー映画の風味もそこはかとなく感じられなくもなかった)。でもそれだけじゃ良い映画にはならないんだな。難しいもんですね。
十分に楽しめる作品
私はアニメ全話を観たのだが、まず俳優陣のキャスティングは当たっていたと思う。ビジュアル的にもマッチしていて演技力も優れた俳優をそろえたのは間違いない。セットもとても良くできていて九龍の街の雰囲気を上手く再現できていると感心した。これだけならこの部門の日本アカデミー賞を取れるかもと思った。
全体として十分に良くできていたと思うけれど何かイマイチ感情移入しづらかったのは何故か?
単純な恋愛映画としてはちょっと恋愛部分が盛り上がりに欠けていたと思う。独特で複雑な設定を表現するのに手一杯で物語展開のワクワク感や九龍の奇妙な雰囲気や歪さなど、自分の感覚が侵食される様な恐怖感などが十分に感じられなかった気がした。
予備知識のある人たち向けな脈略を省いたセリフ回しは時間の尺もあるから仕方ないとして。
まあ全ての作品に言えるけれど、この監督なりの正解を描いた作品だと思うけど、鯨井Bの出演シーンをもっと多くして欲しかったし、そのほうが多分この作品らしさをもっと表現できたかなと思う。
お芝居や演技指導は素人の意見だけど、吉岡里帆さんの鯨井Bの演技ももっとわざとらしいくらいAとの違いをハッキリとコントラストを付けて演じて貰った方が良かったのではと思うし、もっと蠱惑的でコケティッシュな雰囲気で演じてもよかったんじゃないかと思いました。
もし自分が監督なら、昔懐かしさにフォーカスし過ぎずにもっと恋愛要素やキャラクターの魅力を十分に表現した方が更に魅力的な作品になったのかなとも思った。
色々文句ばかり書いたけど十分に楽しませて貰いましたのでありがとうございます
世界観に引き込まれる映画作品第1位
不思議な世界観がいい
レモンチキンと赤い靴と「田園」
キュンと切なさ
鯨井(吉岡里帆)はそのまんまの里帆ちゃん、鯨井BはBの里帆ちゃんって感じでよかった。
髭なしがいいけど、髭あり工藤(水上恒司)が思ったより似合ってて鯨井とのシーンや他シーンを見てて楽しめた!
あと蛇沼(竜星涼)も美しい。惚れ惚れでした。
↑個人的な感想まで。
ストーリーと映像、大きいスクリーンでの映画館で見れて嬉しかった。
推しやキャスト方々の美しさで目が離せなかったし、ストーリーも時々分からないことがあったけど最後まで見たら納得で。
あと、支店長が怖かった。一瞬止まって「定時だから〜」でのシーンは今でもトラウマです(笑)
エンディングが流れた時に大体みんな帰るけど、この映画は絶対帰らないでください。止めないでください。
まだ続きがあります!
また見に行きたいなぁと思いました。
吉岡里帆を堪能する
制服のスカート丈はそれでいいのか?
詰め込みすぎてイマイチ
九龍城砦を思わせる“ジェネリック九龍”を舞台に描かれる本作は、ノスタルジックでありながらSF的な恋愛譚として立ち上がる。雑多で退廃的な街並みと、上空に浮かぶ謎の存在「ジェネリックテラ」が交錯し、現実と虚構の境界は徐々に曖昧になっていく。
不動産会社で働く令子(吉岡里帆)は、記憶を失ったまま日常を送るが、先輩の工藤(水上恒司)や街に潜む謎との関わりを通じ、自分の過去と向き合わざるを得なくなる。真実を探し、もがき苦しむ令子の姿は、観る者に“自分は誰なのか”という問いを投げかける。
映像は懐かしさを纏いながらも、幻想的で不安定な質感を持ち、独特の世界観を形成している。美術や空気感は過去の記憶を呼び覚ますようでありながら、同時に未来的で異質な空気を孕み、そのギャップが強烈な印象を残す。吉岡里帆の繊細な演技もまた、この曖昧さと切なさを支えている。
ただ、原作の濃密な設定を凝縮したことで、世界観や背景の説明不足を感じる部分もある。結末も多くを観客に委ねる形で、人によっては消化不良に映るかもしれない。しかしその曖昧さこそが、懐かしさと過去の影を重ね合わせ、言葉では言い尽くせない余韻を生んでいる。
少し期待しすぎました。
下手な原作改造と安っぽいCG演出はやめてほしいです
原作が好きで、発売日の度に買って読んでいます。導入の雰囲気が上手く作られていて期待したのですが、途中から安っぽいCGと、くちゃくちゃいっている食事のシーンが気になりました。その後もチープな演出が続き、飽きてしまいました。
漫藤の工藤さんはあっさり系の顔なので、イメージと違うなあと思いつつ。。他の方も配役は良かったのではと思います。小黒役の方が1番ハマっててよかったです。
“ザ・吉岡里帆”映画!
吉岡里帆さん、スタイルがいいからチャイナ服がメチャクチャ似合ってて、しかもルックも最高に可愛い、眼福の極みでした
内容はとっても退屈でつまらないけど、全編吉岡さんの魅力全開で走り切るエネルギーに感服、それだけで全く飽きさせないのが逆にスゴイ(笑)!
劇中何度も出てくるレモンチキンがメチャ旨そうで最強の飯テロ映画だった
“ザ・吉岡里帆”映画!
吉岡里帆さん、スタイルがいいからチャイナ服がメチャクチャ似合ってて、しかもルックも最高に可愛い、眼福の極みでした
内容はとっても退屈でつまらないけど、全編吉岡さんの魅力全開で走り切るエネルギーに感服、それだけで全く飽きさせないのが逆にスゴイ(笑)!
劇中何度も出てくるレモンチキンがメチャ旨そうで最強の飯テロ映画だった
ポストクレジットの意味が理解できなかったので、モヤモヤの残る終わり方だった
吉岡里帆は大作ばかりにしか出演しないとかしないで、偉いです。 原作...
吉岡里帆は大作ばかりにしか出演しないとかしないで、偉いです。
原作があるようですが、呼んでいないので、以下の感想が映画固有の要因か原作由来の要因かはわかりません。
さて、今年は『九龍城砦』という傑作をすでに見てしまっています。アクション映画として楽しめただけではなく、在りし日の九龍城の怪しさが見事に再現されています(ぎりぎり、壊される前に見れた。)。予算が限られていると言うことは分かりますが、どうしても比べてしまう。雑然とした感じや、密度感、立体感が足りないように感じました。『九龍城砦』はアクション自体が上下の立体感を活かしていますが、本作は平屋で撮影しているように見えます。雑然さと密度の足り無さは、エンドロールで分かります。ロケが台北で行われたようです。ニューヨークが舞台の映画で、撮影しやすい他の都市で撮影されると感じる違和感です。繁体文字の複雑さが足りないし、香港に漂う臭いがしません。
『スワロウテイル』のような国籍不明なアジアの都市の映画は過去にもありますが、中途半端に思えます。日本人でないひとは、広東語で話して字幕の方がよかったかな?設定が(本当は)複雑なのにセリフが聞き取りにくくて、理解できません。そもそも、台湾なので広東語ですら無いかも知れません。
その設定ですが、作品舞台の九龍城の定義がよく分かりませんし、ジェネリックの定義もよく分かりません。正確な論理立てが分からなくても理解できる、良くできた脚本の映画もありますが、本作は分からないと分からない設定なのに、チャンと説明がありません。このため、九龍城の住人とそうでない人たちの関係がわからないので、ときどき登場する人たちの必然性が理解できません。学芸会みたい。空に浮かんでるあれとか、製薬会社のひととかはすべてカットしても、物語の進行には問題ありません。
発が令子Bが好きな理由や令子Aが発を好きな理由がわかりません。見た目が良いのはもちろんですが、普段は何でもないのに突然に悶絶するくらい好きになります。ここを丁寧に描かないので全く感動がありません。見た目で惚れたのなら、一目ぼれのシーンが必要でしょう。このため、ふたりで切なくなるシーンや、ふたりで突然笑うシーンが酷く見えるのです。
このため、ラストシーンがしょぼく、何をしているか、何を思っているのか分かりません。逃げるなら早く逃げるべきだし、引き止めるなら早く確保すべきだし、犠牲をはらっても後悔しないならそういう態度をとるべきだし、後悔することならチャンと躊躇しろよ。
やりたかったのは、ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』なのかも知れません。あれは、説明ないし、撮影場所は少ないけれど、香港をよく描写しているし、恋心を良く分かります。そこに『デデデデ』を混ぜなくても良かったのではないでしょうか。時空的ななぞはそれでも描けます。『スカイ・クロラ』みたいな体温が低そうな描写でも良かったんじゃないかしら。
最後に、たばこは不要です。ショートホープとキャスターが出てくるので、90年代前半までの設定だと思うので、喫煙者は多いでしょうが。複線や、よくある喫煙所で偶然であうなどの効果は全くないし、そもそも、その他の登場人物は吸わないので、違和感がありすぎる。どうせなら、街中もくもくの方がそれらしい。
吉岡里帆の、ショートカットとメガネは素晴らしいので、お勧めです。
九龍城とラブストーリーが好きな人におすすめ
全106件中、1~20件目を表示