「「ジェネリックではない」のか「ジェネリックですらない」のか」九龍ジェネリックロマンス へねみこさんの映画レビュー(感想・評価)
「ジェネリックではない」のか「ジェネリックですらない」のか
やはり、吉岡里帆さんの美しさ可愛らしさ。チャイナ風やOL服など様々な衣装も素敵(それもエロく見え過ぎない線なのよ)。鯨井レコぽんの美味しそうに食べるところ、次第に工藤に惹かれていくところ、Bの存在と自分の記憶に困惑する表情、感情を吐露するところ…彼女の表現力を堪能させていただきました。
(ただ、原作と違い、伊達メガネをかけなかったのは、こちら側に分かりやすくしたためかな?)
そして、脇を固める俳優さんたちもさすがの演技力。周さんの包容力は「九龍の懐かしさ」が表れていたし、小黒のチャイナ日本語はクセになるw(花瀬琴音ちゃん、どんどん注目されてほしいな) 社長のキャラも明暗くっきり表現できてたねぇ、さすが。
しかしながら…。あの工藤のどこに、惹かれる要素ある?
デリカシーないし、食べ方汚いし(食べながら喋るのは仕方ないけど、観客に口の中見せるな!)、したり顔で喋ってることは死んだ恋人の受け売りだし、レコぽんにひどいこと言う割には金魚あげて街から出ないようにするし…。
そして、まぁ観る前からわかってたけど、対役のカレの演技力なぁ…(ほかの役者さんが達者だから今回は余計に感じたのよ。工藤は難しい役だろうしね)
抑えたセリフは何言ってるんだかわからないこと多かったし、工藤特有のにちゃぁとした笑みもムリに作ってるカタい感じだし(大体、工藤って大袈裟じゃないけど喜怒哀楽しっかりしてるタイプでしょ)。演技プランだけでなく、演出のせいもあるだろうが、工藤のガサツだけどいい意味でいい加減な人間っぽさが全然表現できていなかった。
レコぽんがメガネまったくかけなくなったのと対照的に、(そもそも、工藤が原作にない無精ヒゲなんだけど…アレ、何? 工藤役が設定より若いから、ヒゲでも生やして説得力持たせようってことなん? だったらキャスティング考えて欲しかったわー。演技力ある30代の俳優さん、他にもいるでしょー)
ストーリーとしては、ジェネリックシステム、全体的に分かりにくく感じた。店長の急変とか、観てる側からするといきなり感あって説明もないし。グエンももうちょい描いてあげないと、何がしたいんだこの人ってと思っちゃうよね(最近の映画にありがちな、俳優の演技に頼って人物描写不足してる感じよ)。
あと、舞台の九龍セットがしっかり豪華なのに対し、CGがやけ陳腐に感じたのはおいらだけだろうか。(小黒が消えるとこ、レコぽんとBの対話…)
賛否両論あるだろうエンドロール後のラストは、消えたのに何で?なんて野暮なことは申しません。レコぽん戻って小黒含めてのあのやり取りで終わるってイイじゃないの。
(少なくとも、何て言ってんだアレ、の叫びで終わったら最悪の感想もって帰るところなのよ)