「去年九龍城で」九龍ジェネリックロマンス シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
去年九龍城で
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ご贔屓の吉岡里帆が主演の九龍城を舞台にしたSF風のラブストーリーで、公開初日にいそいそと観にいきましたが、なんかすごい勿体無い出来でした。九龍城内の日系不動産屋で働く男女の不思議な関係がテーマなんだけど、上っ面だけを綺麗に映像にしているだけで物語の核心をついていないのが残念。忘れたいけど忘れられない過去に毎日対面しなければならない男の苦悩、他人の記憶と自分の記憶が混在し自分のアイデンティティについて思い悩む女、この二人の感情のすれ違いと触れ合いをうまくドラマ化したら、『去年マリエンバードで』みたいに時空が混在した内省的で異色のラブストーリーが出来たのかもしれないけどね。そもそも、クローンを作った経緯や九龍城が幻影だったオチなど、ストーリーの根幹に関わる重要なポイントをまともに説明していないので、登場人物達が何をしたいのかさっぱりわからず、エンドロール後のエピローグも不可解です。とは言え、台湾でロケした九龍城のセットや内装の美術、小道具などは細部に至るまでよく出来ています。役者では、主役の吉岡里帆の美しさが際立っていました。ファッションも、事務員の制服からチャイナドレス風のカットソーやワンピースなど次々と出てきて楽しませてくれるし、ハッとするような美しさにやられました。レビュー評価は彼女のポイントです。
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