ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうたのレビュー・感想・評価
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無上の家族愛
ギフトを与えられたドニー、ドニーを愛する父親・兄を中心に描いた人間ドラマ。
実話をベースにしているというのがすごい。
30年前のアルバムが現在ヒットを飛ばすという、実に胸熱な設定(実話)だ。
ドニーは完璧を求めるがゆえ、兄ジョーの一定のリズムを刻めないドラムへのあたりが強いのだが、
ラスト近くになって、完璧な自分の演奏×兄のゆらぎのあるリズムが、自分たちの音楽の魅力であり
それがリスナーに刺さったことに気づくドニー。
それまでけちょんけちょんに兄のことを罵ったりしたことを恥じいるドニー。
兄は一切ドニーに文句を言わないし、むしろずっと応援する愛情溢れる言葉をかけ続けた。
これは父親も同様で、ドニーの成功のために、自分の仕事を犠牲にしてまで投資し続けた。
そこに後ろめたさがあったドニーだが、終盤になって父の思いを知る。
ドニーが15歳のときにつくったアルバムが30年後の今注目されることで、
父と兄の真の愛情を理解したドニー。
この父と兄の無上の愛に猛烈に感動を覚えた。
自分の家族を信じ支援し続ける一貫性。
尋常ではない愛情だ。
あまり観るモチベーションが上がらない作品だったが、
映画との出会いはまさに、縁と運とタイミングだと思った。
タイトルなし(ネタバレ)
静かでしみじみとした良い映画だった。
小学校の同級生がバンドマンやってる(地元でしか売れていないが)
のでその子と重ねて観てしまった。
そんな事情もあり身近な話として観た。
ただ邦題が気に入らない。
商業路線に乗ろうが乗るまいが、息子が初めて作った曲は父親にとって最高の
名曲なんだし、知名度やレーベルなんてその人にとっての名曲かどうかには関係ないと思うから
父の言葉に胸を打つ! お前の歌声が聴きたかった もっと!だから後悔は無いんだよ。
或る日 映画館で予告が流れて、
見事な歌声に聴き惚れた。
それが 今回見た「ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた」ですね。
実在する米国の音楽デュオ、ドニー&ジョー・エマーソンの実話で
その伝記映画です。
10代の頃、兄弟でデュオ結成してアルバムを製作していた。でも陽の目を見ることは無く30年の時が過ぎて~
そして今、再評価されたきっかけで注目が集まり成功の道を歩み始めるのだが、
ずっと家族を犠牲にしてきたと思っていたドニー、目を背けてきた自身の過去と向き合う。
家族が居てこその歌である事に気づいて行く~。
----作品スペック----
監督:ビル・ポーラッド氏
上映時間:111分
ドニ-(弟):ケイシー・アフレックさん
ジョ-(兄)ウォルトン・ゴギンズ
ドン(父):ボー・ブリッジスさん
ナンシ-(妻):ズーイー・デシャネルさん
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妻役がズーイー・デシャネルさん”(500)日のサマー”の頃がとっても懐かしいですが。今でも美しいですね。
30年経て、今更注目浴びても?? 今からスタ-かよ オレ??
そんなドニ-の焦りや気持ちも分からないでもない。
ずっと 弟を支えてきた家族。
父はドニ-の成功への借金の為に農場土地を売り、
兄は音楽を諦め農場の仕事を継ぎ。
その想いは複雑。
30年後 初めてのコンサ-トで
終えてから楽屋で醜態をさらすドニ-。
目指したプロはこんなのでは無いと 勝手に思い込んでいた。
心の何処かに 成功しなきゃ、とか
プロへの厳しい想いと、今まで無視されてきた失敗の念が先に
出てしまっての事であったのでしょう。
昔、何もない農場で思いっきり歌を愛していた~
あの頃の自分を やがて取り戻す。
そして 父との何気ない会話。
お前の為にしたとか そう言うのは無いんだよ。
全ての農場の土地を金に換えてしまっても後悔なんてないよ。
俺はお前の歌声をずっと聴いていたいんだ。
この暖かい家族の後押しが 彼をスタ-へと復活させる。
ラストのコンサ-ト場面でケイシーから ドニ-本人に代わって
流れます。
素晴らしく、とっても優しい歌声に魅了されますね。
~「Dreamin’ Wild」~
ご興味あります方は
是非 今の内に劇場へ!
いつでもお前の味方だ
こないだ鑑賞してきました🎬
ドニーとジョーの兄弟は10代の頃、アルバムを出すが、評価は得られなかった。
しかし30年後に、コレクターの手によって発掘されたアルバムが再評価される。
家族は思いがけない成功に喜ぶが、ドニーは…。
ドニーを演じるのはケイシー・アフレック🙂
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
の時もそうでしたが、彼は少しやさぐれた役が似合いますね🤔
自分たちのアルバムが再評価されるという思ってもみない事態に、手放しでは喜べない複雑な男の心情。
しっかり表現していました😀
兄ジョーにはウォルトン・ゴギンズ🙂
音楽活動を細々と続けていたドニーとは違い、伐採やらの仕事をしている彼。
アルバム再評価をきっかけに、また兄弟デュオをやろうとドニーに持ちかけますが…。
後半の彼なりの苦労がにじみ出る演技は良かったです。
ドニーの妻ナンシーにはズーイー・デシャネル🙂
共に音楽活動をしながら、ちょっと気難しい彼を支えます🤔
ここぞという時に、存在感を発揮していますよ😀
ラストにプチサプライズもあり、無難な作りの音楽ヒューマンドラマとして、おすすめです👍
彼らに贈られたギフトは、家族の息遣いの中で生まれる特別なものだった
2025.2.3 字幕 イオンシネマ近江八幡
2022年のアメリカ映画(110分、G)
実在のデュオ「Donnie& Joe Emerson」が制作した『Dreamin‘ Wild』が発掘される様子を描いた音楽映画
監督&脚本はビル・ポーラッド
原題の『Dreamin‘ Wild』はエマーソン兄弟が制作したアルバムのタイトルのこと
物語の舞台は、2011年のアメリカ・ワシントン州スポーカン
スタジオ「マルタレコード」を経営しているミュージシャンのドニー・エマーソン(ケーシー・アフレック、少年期:ノア・ジュプ)は、妻ナンシー(ズーイー・デシャネル)やディオン(ドギー・ドーソン)、カルロス(カルロス・L・フォックス)とともにバンドを組んでイベントに参加したりもしていた
彼には娘のアヴェア(Claire Yarber)と息子チャンス(Charles Charlebois)がいて、幼い彼らを小学校に送り届けた後に、スタジオの仕事などを行っていた
ある日のこと、フルーツランドで農場を営んでいる兄ジョー(ウォルトン・ゴギンズ、少年期:ジャック・ディラン・グレイザー)から電話が掛かってきた
その内容は、30年前に自主制作したアルバム「Dreamin‘ Wild」がコレクターによって発掘されたというもので、その話を聴いた音楽プロデューサーが「再販」したいというものだった
プロデューサーのマット・サリヴァン(クリス・メッシーナ)は、ようやく二人を見つけられたと喜び、コレクターの間で流行っていて、今ではネット界隈でバズっているという
にわかに信じがたい話だったが、二人はその話に乗ることになった
ジョー17歳、ドニー15歳の時に作ったアルバムは、父ドン・シニア(ボー・ブリッジス)と母サリーナ(バーバラ・ディーリング)の助力によるもので、自家製のスタジオで録音されたものだった
アルバムは2000枚ほど作ったものの、全く話題にされることもなく、30年の時が過ぎていた
ジョーは音楽を辞めて、今では父の農場の手伝いをしていて、ドニーもソロの話が来てお金を注ぎ込むものの、騙されて痛い目に遭っていた
それゆえにマットの話に懐疑的だったが、今回は思いもよらぬ滑り出しを見せることになった
物語は、再販の反響によって、ステージに立たないかというオファーが来るところから動き出す
出演の条件は、あの時の楽曲を演奏することで、参加するのはジョーとドニーだけだった
ドニーは今ではナンシーと組んで音楽活動を続けていて、今更音楽を離れた兄とセッションすることに違和感を感じていた
何度か音合わせをするものの、ジョンはプロレベルとは言えず、そこでマットに相談してナンシーとディオン、カルロスをサポートメンバにすることになった
そこでもジョーの演奏はテンポをキープできず、ドニーの苛立ちが募るばかりだったのである
家族はドニーが複雑な内面を抱えていることも知っていて、才能があることも認めている
父は農地のほとんどを手放してドニーに投資をしてきたが、結果は散々なものだった
その負い目がドニーには残っていて、このセカンドチャンスで恩返しができると感じていた
それゆえに復帰のライブを完璧なものにしたいと考えていたのである
映画は、知る人ぞ知るというアーティストの30年越しの成功を描いていて、実質的には家族の再生を描いている作品だった
30年の月日がそれぞれに日常を与えてきて、それゆえに言えなかった本音というものが露見している
ドニーはプロとして成功したかったが、世間の反応は家族愛に溢れたデュオを見たかったという
この乖離がドニーの今を否定しているように思えるのだが、実際のところ、ドニーを献身的にサポートする家族がいてこそ、あの音源が生まれたとも言える
ドニーには才能があるのだが、それを見つける人と支える人が必要で、ナンシーにその役割はできない
それは彼女もプロのミュージシャンであり、家族であるものの、血縁がないからかもしれない
同じようにドニーを支えているつもりでも、微妙な違いがそこにあって、ナンシー自身はジョーだからできるサポートというものをわかっているし、彼らが紡ぐ音楽が大衆に支持されている理由もわかっている
30年の時がドニーに与えたものは、30年前に消えてしまったもののように思えて、ある時を境にドニー自身を苦しめることになっていたのだろう
ドニー自身がジョーに強く当たるシーンでも、テンポがキープできていないなどの技術面の部分が大きいのだが、ナンシーはそれを「味」だと理解していて、ドニーは自分の音楽の再現の阻害だと感じていた
この違いがリスナーとの距離感にも繋がっていて、才能の開花というものはとても難しいものなのだなと考えさせてくれるのである
いずれにせよ、音楽の魔法は理論通りに作れば生まれるものではなく、人と人が演奏して初めて生まれるものなのかな、と思った
音源にらしさが残っているのは、完璧な空間で作られていないからであり、日常の延長にある非日常だから生まれるものもあるのだろう
ラストでは、ドニー&ジョーがショーを行うのだが、その後に本人たちが登場する演出はとても良かった
席には両親もいて、元気そうで何よりだったが、彼らは息子たちが楽しく音楽をやっている姿をずっと見たかったんだろうなあと思った
一時は才能の飛躍を夢見たけど、そう言ったアメリカンドリームで弾ける人生ではなかった
だが、再結成された2011年から動き出す今があることは、全員に与えられたギフトがうまく融合しているからなんだろうなあと感じた
【”When The Dream is Beautiful.”今作は或る家族の実話であり、過去に囚われた男の哀しみと後悔と、男を優しく許す家族愛を過去、現在を織り交ぜて描いた音楽映画なのである。】
ー 個人的な見解であるが、ケイシー・アフレックは哀しみや取り戻せない後悔を背負った男を演じると、抜群に巧いと思う俳優である。
その理由は、間違いなく傑作「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で、”乗り越えられない。辛すぎるんだ。”と血を吐くように呟き、世捨て人の様な生活を送る主人公を演じる様を見たからに他ならない。
今作でも、ケイシー・アフレックは音楽的な才能が溢れていた10代で兄と共にアルバムを出しつつも、そのアルバムが売れずに父親の農場の大半を失ってしまった辛い過去を持つしがないミュージシャンを演じている。
そして、彼の抑制した演技と共に、彼が劇中にあの独特の掠れた声で歌う”Baby"を始めとした美しい歌声にヤラレルのである。
<今作は、過去の夢と挫折に悩む男の前に現れた、過去に一枚だけ出したアルバムの再評価により、”夢をもう一度”と願う男とその家族の姿と、男が抱える家族に対する後悔や後ろめたさを、男の家族が優しく受け入れる姿を、過去と現在を織り交ぜて描いた作品なのである。>
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