「ザ・世論調査! あなたはどっち?」ショウタイムセブン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ザ・世論調査! あなたはどっち?
『ショウタイムセブン』。
政治問題や硬派な時事ネタにも大胆に斬り込む国民的情報番組。キャッチコピーは、私たちは公正かつ公平な姿勢で真実に迫ります。
しかし、メインキャスターが若い美男美女ペアになってから面白さが無くなったとの声も。
大胆な斬り込みを持ち味にしていたのが、前任のベテランキャスター・折本。
ところが突然、番組を降板した。今は同局のラジオ番組でMCを務めている。
“ウスバカゲロウ”と名乗るリスナーから電話。折本の質問には答えず、幹事長との癒着問題渦中の電力会社への不満をぶつける。父親が工事中に事故で亡くなり、会社は隠蔽したという。
無視する折本にウスバカゲロウは“電力会社を爆破する”と。狂言ではなく、本当に電力会社で爆発が…!
再び電話が繋がり、ウスバカゲロウは折本を交渉役に指名。
折本は警察には通報せず、『ショウタイムセブン』内で犯人と対応すると因縁あるプロデューサーに話を持ち掛ける。独占大スクープとカムバックを目論む。
折本がキャスターの席に付き、緊迫の生放送がスタート。
犯人の要求はエスカレート。出演料1億円、電力会社社長の謝罪、幹事長の謝罪、そして内閣総理大臣の謝罪。
さらには何故か、突然番組を降板した折本の”罪“を告白しろ、と。
しなければスタジオ内に仕掛けた爆弾を爆破させるという…!
折本はこの大事件にどう斬り込むか、折本の”罪“とは…?
元ネタは2013年の韓国映画『テロ、ライブ』。『22年目の告白 私が殺人犯です』『最後まで行く』に続く韓国サスペンスの日本リメイク。
オリジナルはさすがの面白さ。面白味ある題材を先の2本のように面白く翻案してくれるのを期待したのだが…。
『ショウタイムセブン』という番組がキャスターが変わって面白くなったのを地で行ってるかのよう。オリジナルはあんなに緊迫感溢れるリアルタイムサスペンスだったのに、大袈裟と言うか演出がチープと言うか茶番劇のようと言うか…。
阿部寛は存在感抜群の熱演。これも劇中の折本を地で行ってるかのようなワンマンショーとでも言うべきパフォーマンス。
だが、周りが…。竜星涼も冴えず。めるるなんて気の毒なくらいただのガヤ。シークレット犯人の錦戸亮もパッとせず…。
折本の罪は総理大臣や電力会社社長も絡む事故隠蔽に加担。『ショウタイムセブン』キャスターの座と引き換えに。
クライマックス、折本はその罪を告白する。
権力の闇、報道の在り方、報道マンの在り方、個人の在り方…。それらを熱く訴えるが、何だか説教臭い。って言うか、オリジナルもこんなだったっけ…?
ラストシーン。折本が熱弁奮ってすぐ、海外で大事件。人気アーティストの新曲ニュース。
関心移り変わり易い世論を皮肉っているが、あのPerfumeの歌曲パフォーマンスは何だったの…??
本作こそ世論調査して欲しい。
『ショウタイムセブン』は傑作か、否か。
あなたはどっち?
まあ結果は世論調査しなくとも…。

