「社会的なメッセージも強く、単なるエンタメで終わらない深みがある。」ショウタイムセブン おけんさんの映画レビュー(感想・評価)
社会的なメッセージも強く、単なるエンタメで終わらない深みがある。
物語は事件発生から一気に加速。
序盤は爆破事件の謎を追うサスペンスかと思いきや、中盤で主軸がガラッと変わる意外性のある展開。ただ、そこに戸惑う部分もあった。
謎解き要素よりも「実はこの人はこうでした」という種明かしの連続で、次々に加害・被害の矢印が変わっていくタイプ。
一緒に考察しながら観るというより、展開の波に飲み込まれていく感覚だった。
阿部寛さんの迫真の演技はやっぱりすごくて、緊迫感が増していく場面では特に圧倒された。吉田鋼太郎さんの存在感も絶妙なアクセントになっていて、単なるシリアスに終わらないバランス感が良かった。映像面では、手持ちカメラのブレを多用してリアルな臨場感を演出。爆発やスタジオの緊迫感がダイレクトに伝わってきた。
映画のテーマとしては、メディアと視聴者、企業と労働者、テレビ局と広告主といった、あらゆる上下関係の中にある忖度や闇を描いている印象。どんな大事件が起きようと、メディアは何事もなかったかのように次のニュースを流し続ける。それが皮肉なのか、ある種の覚悟として描かれているのか、観る人によって受け取り方は違いそう。
中盤で明かされる大きなトリックは割と気づきやすく、予想が当たったときはちょっと嬉しかった。
正直、展開に少し戸惑う部分もあったけど、全体的には緊迫感もあり、最後まで引き込まれた。
社会的なメッセージも強く、単なるエンタメで終わらない深みがある。期待していた謎解きサスペンスとは少し違ったけど、ラストまで緊張感が途切れず、一気に観られる作品だった。