「唐突な転調が多くイマイチ盛り上がらず」ショウタイムセブン 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
唐突な転調が多くイマイチ盛り上がらず
本作は、元人気ニュースキャスターとテロ犯が生放送で対決するという中々面白い着想のお話でした。
3か月前まで「ショウタイムセブン」という人気ニュース番組でキャスターを務めていた折本眞之輔(阿部寛)。特ダネを連発し人気を博していた彼は、突然番組を降板させられ、現在は同じ時間帯のラジオ番組を担当している。
そんな折本のラジオ番組に、一人のリスナーを装った男から電話がかかってくる。彼は「大和電力」の社長に対し、6年前に発生した発電所事故の謝罪を求め、応じなければ発電所を爆破すると脅迫する。いたずらかと思い無視していたが、直後に本当に発電所で爆破事件が発生。以降、折本とテロ犯の電話越しの攻防は、なんと「ショウタイムセブン」の生放送へと舞台を移し、視聴者を巻き込んだ対決が繰り広げられるというスリリングな前半の展開。後半への期待はいやが上にも高まりましたが・・・
テロ犯とキャスターが番組を通じて対決するという発想は面白く、特に折本がテロ犯との対決中に世論調査を仕掛けるシーンは、緊張感に満ちた展開で見応えがありました。しかし、途中からテロ犯の要求が「首相の謝罪」へと変化し、さらには折本自身の疑惑追及へとシフトしていく。これにより、観客としては徐々に話の焦点を見失い、置いてけぼりにされたような感覚に陥ってしまいました。
さらに、テロの動機となった6年前の発電所事故についても、実は折本が取材していたことが後半になって明かされました。この事実が物語の序盤ではまったく触れられておらず、伏線らしきものも感じられなかったため、ミステリー作品としてはややフェアではない印象を受けました。
最終的にテロ犯は逮捕されるものの、折本自身の暗部も暴露されることとなります。彼はテレビカメラに向かって”演説”をし、ドラマは幕に。しかし、折本の人物像や人生のドラマが十分に語られてこなかったため、彼の演説がそれほど感動的には映らず、やや消化不良な終わり方となったのが惜しまれるところでした。
また、エンディングテーマを担当したPerfumeが劇中に登場し、歌唱シーンで締めくくられるという演出もありましたが、これも唐突な印象を受けました。ストーリーとの関連性が感じられず、「なぜここでPerfume?」という違和感が残ってしまいました。
そんな訳で、本作の評価は★2.4とします。