「テーマや素材は良いのにスケールダウンしてしまった」ショウタイムセブン デビルチックさんの映画レビュー(感想・評価)
テーマや素材は良いのにスケールダウンしてしまった
非常にもったいない作品だなと思いました。
最初にテロの予告があって、火力発電所の爆発、電力会社社長や総理の謝罪を要求というスケールのデカい展開がつづいたのに、それに比べると最後は小ぢんまりしてしまった印象が拭えません。
葛藤がだんだん大きくなっていくように描くのがドラマのセオリー。小さくしていってどうするんだ。
実は素材は悪くないんですよね。
主人公の欲求は明確だし、前半は「番組を優先するか人の命を守るか」、後半には「せっかく掴みかけたメインキャスターの座を守るべきか真実を言うべきか」という葛藤もある。
どんなに大きな事件も、次々と現れる新たな関心事にかき消されていくという現代社会の持つ病理をテーマに据えたのも良い。
しかしだんだんスケールダウンしていくという構成のまずさが台無しにしている。
よくよく考えたら、現在、テレビの求心力が失墜している2025年に、報道番組を舞台に繰り広げられるこのドラマ展開は古臭く感じてしまうんですよね。10年くらい遅いんじゃないかと思いました。
でも構成がうまくいっていたら、力技でそんな古臭さを感じさせずに済んだかもしれない。だからもったいない。
現実のほうが遥かにスリリングで衝撃的だもんなぁ〜。