劇場公開日 2025年1月4日

「人の死を待つ裁判所」いもうとの時間 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

人の死を待つ裁判所

2025年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 1961年に起きた「名張毒ぶどう酒事件」。犯人とされた奥西勝さんは、裁判では一貫して無罪を訴えるものの死刑が確定する。自白偏重の取り調べには冤罪の可能性が長年指摘され再審請求が繰り返し提出されたが、裁判所が50年以上それを拒絶し続けて来たのは、死刑囚が自然死してくれるのを待っていたとしか思えない。そして2015年に彼が89歳で亡くなると、妹さんが再審を引き継いだ。亡くなった死刑囚の再審を請求できるのは肉親である彼女一人だけである。そして、司法は今度は90歳を超えた妹さんが亡くなるのを待っている。何と残酷。

 この事件を何度もドキュメンタリー映画化して来た東海テレビの執念が何とか実って欲しい。そして、本シリーズでいつもナレーションを務めて来た仲代達也さんにも敬意を。ひ

La Strada