劇場公開日 2025年1月24日

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ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件のレビュー・感想・評価

全61件中、1~20件目を表示

4.0スコセッシ映画との呼応、ゼメキス風VFX添え

2025年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

知的

まず驚かされるのが、香港市場最大規模の企業犯罪とされる実際に起きた事件が本作のモデルになっていること。また映画ファン的な注目ポイントは、「インファナル・アフェア」で宿敵同士を演じたトニー・レオンとアンディ・ラウが20年ぶりに共演する点と、「インファナル~」3部作で共同脚本を手がけたフェリックス・チョンが監督・脚本を務めている点だろうか。

トニー・レオンが演じる主人公チンのモデルになった陳松青(英名ジョージ・タン)は、シンガポールで破産したのち1970年代後半に香港で起業、わずか数年で数十億ドル規模の企業グループ佳寧集団(キャリアン・グループ)を築き上げる。しかし急成長の裏で、不動産取引がらみの不正会計、インサイダー取引、贈賄といった具合に数多くの犯罪が行われてきた。ただしこの事件について、中国語圏以外では意外なほど情報が少なく、Wikipediaでは中国語版で「陳松青」「佳寧集團」「嘉寧事件」があるのみ(ブラウザの翻訳機能などを使えば概要はつかめる)。日本語メディアでは、Business Insiderの「トーマス・クック、リーマン、パンナム…歴史に残る9つの企業崩壊」と題された翻訳記事で短く紹介されていた。

さて、稀代の詐欺師チンの不正を暴こうと執念を燃やすのが、汚職対策独立委員会(中国語名:廉政公署、英名Independent Commission Against Corruption: ICAC)の捜査官ラウ。このICACは日本の観客の大半に馴染み薄と思われるが、職能としては検察庁に属する特別捜査部と内閣府の下部組織である公正取引委員会を足した感じだろうか。ただしICACの場合は独立した委員会で、責任を負うのは首長(映画の舞台となる時代では香港総督、返還後は香港行政長官)に対してのみ、銃の携行も許可されているので、作中で描かれるように凶悪犯とも直接対決する強い執行力を伴うようだ。

「インファナル・アフェア」での役どころはトニー・レオンがマフィアに潜入した警察官ヤン、アンディ・ラウが警察に送り込まれた構成員ラウだったので、本作での正義漢と悪漢を入れ替えた配役も心憎い。さらに、詐欺の手口により財界で成り上がっていくピカレスク映画のスタイルに、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」との類似点、さらには同作のマーティン・スコセッシ監督との縁に思いを馳せる観客も多そうだ。スコセッシといえば、「インファナル~」をハリウッドでリメイクした「ディパーテッド」を2006年に監督。そして2013年のスコセッシ監督作「ウルフ・オブ~」と似た物語要素を持つ今作「ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件」を、今度はフェリックス・チョン監督が作った。なにやら「インファナル~」キャスト・製作陣とスコセッシ映画との創造的な呼応が続いているようで、映画ファンとして嬉しいポイントだ。

ハリウッド映画との関連でもうひとつ。70年代末から80年代にかけての時代を再現したレトロ感のある映像にキャラクターを合成したり、開発事業を拡大させるチンが“大物”になっていく象徴的な姿をミニチュア風の動く街並みと対比させて表現したりといったVFXの使い方が、ロバート・ゼメキス監督の「フォレスト・ガンプ 一期一会」や「マーウェン」などを想起させ、70億円以上とされる製作費のぜいたくな使いっぷりに驚きつつ羨ましく思った。

ただし、2大スターの再共演という点では、アンディ・ラウが演じた捜査官が相対的にキャラクターが弱く、「インファナル~」の宿敵同士が命懸けで対峙する迫力に比べて対決の見せ場が少々物足りない。

懐かしいポイントとしては、チンの絶頂期のどんちゃん騒ぎでボーイズ・タウン・ギャングのカバーバージョンの「君の瞳に恋してる」(Can't Take My Eyes Off You)が流れるシーン。日本でも1982年頃から大ヒットして、ディスコや街中で、テレビやラジオでしょっちゅう流れていたのを思い出した。あの曲が日本と同様に香港でもバブリーな記憶と結びついているのかと思うと、ちょっと親近感がわいた。

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高森郁哉

4.0レオンとラウの立場が逆転したかのようなキャスティングが心憎い!

2025年1月16日
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鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

幸せ

香港ノワールの傑作「インファナル・アフェア」(2002)、続くシリーズ「インファナル・アフェアII 無間序曲」、(2003)「インファナル・アフェアIII 終極無間」(同)以来20年ぶりにトニー・レオンとアンディ・ラウが共演したというだけでも映画ファンにとっては胸アツな作品ですが、2020年代に入り、香港映画が新たな潮流に入ったことを証明するような象徴的な一本でもあります。

1980年代の香港バブル経済時代を舞台に巨額の金融詐欺事件を描く金融エンタテインメント。「インファナル・アフェア」では警察官役がレオン、マフィア役がラウでしたが、本作では詐欺師役をレオン、捜査官役をラウが演じており、立場が逆転したかのようなキャスティングが心憎いです。

社会の必要悪とは何なのか。はじめは明確に異なる立場であったはずの二人が、やがて正義と悪が曖昧になっていくことで、信じていたものが少しずつ交わっていく。いつしか二人は写し鏡のような関係となり、入れ替わってもおかしくない、一人の人間から分裂したような男の生き様は、「インファナル・アフェア」でも描かれていました。同3部作の脚本を手がけたフェリックス・チョンが本作の脚本と監督を手掛けており、未見の方は是非見比べてください。

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和田隆

3.5たった3年

2025年9月14日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

これだけの詐欺行為、
下手したら殺人教唆まで疑われるのに、
金の力か権力の力か、
たった3年!?

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上みちる

2.5大物詐欺師と捜査官の攻防も、あまりに長期間にわたるため、段々緊迫感...

2025年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

大物詐欺師と捜査官の攻防も、あまりに長期間にわたるため、段々緊迫感が薄れていく。
最後は有罪判決を勝ち取ったにしても、懲役3年て・・・。
虚しい終わり方だった。

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省二

3.5缶詰から缶切りの登場まで80年

2025年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

ドキドキ

詐欺師(トニー・レオン)と捜査官(アンディ・ラウ)の飽くなきいたちごっこ。どこまでいってもエンドレス。
彼らが長年の追いつ追われつの関係の中、ホテル暮らしの詐欺師が定宿にしているホテルで語り合うシーン。
捜査官の積年の想いを語る次のくだりがとても心に残る。

 この十数年数多くの国々と協力し、五十数人の関係者を捕らえた
 言い渡された刑期は計200年以上
 凍結没収された資産は800億を超える
 全員があなたの関与を証言した

結果は別にして積み重ねた数字は、まさに偉業である。徒労に終わった歴史ではない。それを強く感じた瞬間だった。
彼は、1772年に発明された缶詰から、缶切りが登場するまで80年を要したことを切々と語る。少し遅れたがそれでも意味はあったと。
勧善懲悪をあざ笑う詐欺師を完全に黙らせる捜査官の渾身の語り。
このトニー・レオンとアンディ・ラウの奇跡の再会を、自分はいつまでも忘れることはないだろう。

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ジョー

3.0金融無間道

2025年8月7日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

難しい

トニー・レオン×アンディ・ラウ! 『インファナル・アフェア』以来約20年ぶりの共演。
それだけでも激アツなのに、監督は『インファナル・アフェア』で脚本を務めたフェリックス・チョン、スリリングな香港年代史…。
期待されていたようで、本国香港では大ヒット。多くの賞も受賞。
時代設定は『インファナル・アフェア』(1990年代)を遡り…

イギリス植民地時代も終わりを迎えた1980年代の香港。
トニーは、海外でビジネスに失敗し香港に戻り、悪質詐欺でのし上がっていく男。
アンディは、彼を追う捜査官。
15年に及ぶ二人の男の攻防。

『インファナル・アフェア』とは逆にしたキャスティングが難い。
ワルだけどスマートなカッコ良さを併せ持ったトニー。
対するアンディは抑えた演技で信念と正義感を貫く。
初共演から20年余、二人のキャリアはさらにアップ。
特にトニーは、『HERO』『レッドクリフ』などヒット作に出演し、海外進出も果たし、ようやくハリウッドデビューとなったMCU映画『シャン・チー』ではさすがの存在感。
アンディも、ジャンル問わず主演助演問わずの安定ぶり。個人的には黒幕役でサプライズ登場した『唐人街探偵』の新作が早く見たいぞ!
全く衰えぬどころか円熟を増した二人の再共演と演技バトルはやはり本作最大の見所。

フェリックス・チョンの演出は、ノリノリナイスな選曲センスや意外やユーモアやトニー演じる男のユニークな武勇伝で、シリアス&スリリングな中にも緩急を付け、エンタメ性充分。
『インファナル・アフェア』に続くまた新たな名作を生み出した!…と言いたかった所だが、

どうしても点数低めなのは、やはりその金融世界設定。
証券取引場でのお金の動き、何をどうやって罠に嵌めたのか、詐欺の手口…。話がお金の動きにまつわると途端にこんがらがってくる。そこに人間関係も絡み…。
何分昔からお金の動きに疎く、こういう世界の作品は苦手で…。
『インファナル・アフェア』の方が良かった…とは言わないが、分かり易さやドラマチックさはあった。
本作もエンタメ性、80年~90年代の雰囲気、香港二大スターの熱演などは良く見応えあったが、やはり苦手意識は変えられなかった。

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近大

4.0目の保養!

2025年8月3日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

トニー・レオンとアンディー・ラウ好きにはたまらんです。絵も良い!アホっぽいのも最高!

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unpyon

3.0アンディ・ラウはいいのだが、

2025年7月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

なんだか出がらしのお茶みたい。

僕は古くからアンディ・ラウの大ファンだし彼をヒーロー化しているから、わりとなんでも受け入れている。
本作も勿論愉しんだが、やはり、あの香港は昔々の話。
そんな懐かしさにしかならないような、古臭さが現代に
埋もれてしまったような作品だった。

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なかじwithみゆ

2.5プロモーションが逆効果?

2025年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

予告が派手な映像(絢爛豪華)だったことと製作費が邦画とは比べものにならない金額だったこともあって実際に鑑賞すると意外と地味じゃなかったか・・・?と思ってしまった。
どこにそんなにお金をかけたんだろうと本編と関係ないことが気になってしまう程度には。
あとは普通にスタミナ切れしたのな?という後半の失速具合がもったいなかった。
確かに後半も前半くらい作り込もうとすると長くなってしまってダレる可能性があるし観客が疲れてしまうかもしれないけど前半と後半の差がちょっと大きすぎてもう少しバランス考えて上手くできそうなのになと思ってしまう。
トニーレオン×アンディラウという話題性も十分だったので本当に色々ともう少し上手くできたのでは?という「もったいない」が勝ってしまった。
トニーレオンの演技はとても良かった。

余談だけど、基になった事件を知りたくて色々ググったけど日本語で詳細に書かれている情報を見つけることができなかったので色々とモヤモヤしてる。。。

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リバー

1.5見なきゃよかった

2025年2月24日
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鑑賞方法:映画館

難しい

何の取引がにより、利益を得たのか、それが何故犯罪になるのか、詳しく描かれていない。
孤独のグルメと迷ったが、失敗した。

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いつも6

3.0前半は面白かった

2025年2月22日
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前半は面白かった

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jung

3.0上映時間が足らない感じ

2025年2月19日
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鑑賞方法:映画館

2大スターの共演で観所満載なんですが、終盤時間の関係か展開が雑になっていたのが残念な所です

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nami

2.5全体としては少し退屈

2025年2月13日
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鑑賞方法:映画館

実話ベースの話って、多少のアレンジを入れたとしても物語の幅を広げるには限界がある。ベースとなる事実があるからあまりにもかけ離れてしまうことはしづらい。だから実話ベースだと事前にわかってから観た方がいい。今回初めてそう思った。
香港で実際に起こった金融詐欺事件を描いた映画なのだが、どこらへんが詐欺なのかがとてもわかりづらい。時系列が行ったり来たりする脚本もわかりづらさに拍車をかける。そして最後の終わり方もスッキリするわけでない。あれ、こんなもの?と感じてしまった。ここらへんは実話ベースだからこその限界だったのかなとも思う。トニー・レオンとアンディ・ラウの共演ということで少し期待値が高まったことも悪影響した気がする。
2人の名優が絡むシーンは締まったものだったし、香港のバブル期の浮かれた雰囲気もよかった。香港でもバブル期を演出する曲として「君の瞳に恋してる」(ボーイズ・タウン・ギャングの方)を使うんだと。そして急激な成り上がり方は犯罪者なのにカッコよく見えるのだから不思議。会社がどんどん大きくなっていくあたりはとても痛快だった。それでも全体としてはなんか退屈。実話ベースという枠をはずして韓国あたりでリメイクしたらめちゃめちゃ面白くなるんではないかと想像してしまう。

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kenshuchu

4.5あれ?評価低くない?

2025年2月11日
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ふてぶてしいトニー・レオンと、高倉健のように無骨なアンディ。ありきたりかもしれませんが十分面白かった。こうした香港映画が増えてほしい。九龍城址よりも個人的にはこうしたスタイルの方が未来がある気がします。この両俳優もっといろんな作品を観たいです。

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あああ

3.0面白い、けど映画館で観るほどでは。。

2025年2月10日
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鑑賞方法:映画館

恋する惑星、ブエノスアイレス世代ですが
レッドクリフ以降少し遠ざかってたトニー•レオン。
久しぶりのアンディ•ラウとの共演ということで
かなり楽しみにしていきました。

結果、、面白かった!
ですが、、期待しすぎたかな。。
大どんでん返しもなく、なんか軽い。。
もっとヒリヒリした駆け引き見たかったなぁ。
映画館で観るほどではないかな。

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ふじこ

4.0コレは観ないと!

2025年2月9日
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鑑賞方法:映画館

 アンディ・ラウとトニー・レオン、1980年の香港。
あの名作「インファナルアフェア」を思い出さずにいられない。コレは観ないわけにいかない。
 トニー・レオンの成り上がり感はさすが。アンディ・ラウの捜査官もピッタリである。途中チンの誘惑に乗りかけたラウ。悪徳警官になるのか?と思ったらそんなことはなく、普通に話は進んだ。香港のランチキぶりもおかしかったり、見応えもあるにはあったが、、、
 決してつまらなくはないし、それなりに面白かったが、ちょっと期待し過ぎてしまったかな。もう少し、ピリピリ感が欲しかった。でも、2人ともいい歳の取り方をしていて、相変わらずカッコいい。

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アンディぴっと

4.0欲望の時代

2025年2月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」に、無理やり「バリー・シール」と「ウォール街」を詰め込んで「コンフィデンスマンJP」で掻き混ぜた様な一品。現在「トワイライト・ウォリアーズ」が勢い良く伸びをみせているが、是非ともコレと抱き合わせで観て頂きたい。とは言えこっちは終わっちゃうか…。コレの後がアッチですね。そしてこの香港バブルの後が我々のバブル。極東アジアが欲望に脂ぎっていた時代を重厚に時に軽やかに描いている上に、本気であの時代を再現している美術やファッションも必見なので是非とも体感頂きたい作品でした。

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lynx09b

3.0ここは割り切って「トニー・レオン七変化」を愉しむ!

2025年2月7日
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鑑賞方法:映画館

ショートコントのような「トニー・レオン七変化」を満喫する映画でした(笑)。

高級車から降り立つ靴先がまぶしい、白のトニー。小旗を振ってツアコンするトニー。KGBとコサックダンスするトニー。マレーシア国王一家との記念写真にピースサインで収まるトニー。バブリーなメガネフレームを次々とかけ替えるトニー。香港証券取引所で場立ちの連中に胴上げされるトニー。手錠腰鎖で連行されるトニー……(以下略)。
いやはや。

対するアンディ・ラウの方は、家庭も省みず巨悪相手に戦うエリート捜査官。いわば絵に描いたようなキャラ設定のため、一見つかみどころがないトニーの不穏さと比べて魅力が薄く、あきらかに分が悪いですね。

そもそもトニー・レオンとアンディ・ラウがガチンコ勝負した『インファナル・アフェア』の脚本の妙が、ここにはありません。
トニーがワン・イーボーと共演した中国映画『無名』を観た時にも思ったのですが、必要以上に過去と現在を行き来させる話の運び方は、クリストファー・ノーランなどの悪影響じゃないかと。

その結果、両雄対決のワクワクは薄れ、企業犯罪・金融詐欺に次々と手を染め巨万の富を築く男の方が悪目立ちしちゃってます。本作を観てスコセッシ監督の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を連想する人が多いのもうなずけます。さらに、相次いで関係者が口封じされてゆく後半のくだりなど、同監督の『カジノ』『グッドフェローズ』も思い出されます。もっともこの2作の持つ凄みは本作にはありませんが。

ラストにしても十数年にわたる捜査の結末がアレではね。実話に基づくとはいえ、カタルシスがなくて「えっ?」と拍子抜け。「悪党には厳罰を!」「死をもってあがなえ」とつい思っちゃうのも、作品全体に「重み」が足りないからでは。
これがスコセッシ作品なら、同様のオチでもナットクできます(たとえば、悪党が証人保護プログラムに守られ、ぬくぬくと生き延びるとかね)。というのも、スコセッシは「それでも人間か。いや、それが人間なんだ」といわんばかりに、クソみたいな人間の生きざまを冷徹に観察し、人間の不可解さを白日の下に晒してくれるから。こうしたダイナミックな人間観察の妙味が本作には欠けてると思うのです。

またCGをフルに使ったショットをこれみよがしに連発するのもどうかと思いました。
たとえば、海上から一望したバブル全盛期の香港の遠景だとか、1隻まるごと爆破される船舶とか。また香港の裏通りの雑踏は『ALWAYS 三丁目の夕日』のようだし、ホワイトボード一面にびっしり記された金額の中から不正な数字が浮かび上がるさまなど、今さら『ビューティフル・マインド』ですか、と思ってしまいました。

ところで、もはや本作の主題歌といってもいい「Can't Take My Eyes Off You」。本作では1981年リリースのカバー・バージョンが劇中およびエンドロールを飾っていて、ディスコ・ブームに浮かれる80年代香港の空気感をあふれさせていました。
この選曲ですが、同じく近作2本のエンドロールに流れたディスコサウンド——アリ・アッバシ監督作『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』 の「Yes Sir, I Can Boogie」(1977リリース)/ブラディ・コーベット監督作『ブルータリスト』の「One for You, One for Me」(1978リリース)——と、はからずも呼応しているのが面白かったです。

以下、追記を。

映画前半でアンディ・ラウが賄賂の相談を持ちかけられ、心が揺らぐシーンがありましたね。あれって本当に揺らいだわけではなく、誘惑にのったフリをしてトニー・レオンの尻尾をつかもうとしたんじゃないかと。その証拠に、トニーはそれに勘づいたのか、急に賄賂の話を引っ込めてしまいます。このシーンの直後に、薄給でカツカツのアンディ・ラウの家庭描写が続くので紛らわしいけどね。いずれにせよ、アレは互いの腹を探りあう2大スターの「顔芸」が漫喫できる名シーンになっていたと思います。

もう一つ。トニーの秘書役のシャーリーン・チョイって、あんなにボリューミーだったっけ?(笑)

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いたりきたり

2.0主人公のイケオジがなかなか良かった

2025年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

良かったのは主人公のオッサンの見た目ぐらいかな~。有名な人なのかな?
序盤までは理解できたけど、後半何が起こっているかサッパリ。とりあえず裁判してて過去シーンが何度も挿入されているのはわかった。が、面白くなかったわ~。
よくわからんけど、実話なのかな?これ。

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PINO

2.0ん---。期待していのに。。

2025年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

懐かしい2大スター!旧作インファナル・アフェアは、とても楽しめました。期待が大きすぎたのか、とても残念な気持ちになりました。ストーリーもわかりずらいし、アクションシーンがい印象に残らない。この映画は、二人の競演がなければ、すぐに公開の終わる映画ではないかとも思ってしまいました。

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グスタフ
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