劇場公開日 2025年3月28日

「インド的忍者アクション」デーヴァラ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5インド的忍者アクション

2025年3月28日
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鑑賞方法:映画館

「RRR」でおなじみのNTRJr.主演、海洋バトルアクション「デーヴァラ」。なぜか勝手に「NTRがサメと闘う映画」と思っていたのだが、サメとは闘わなかった。
それはともかく、歌あり、ダンスあり、常識を覆すアクションありの大満足3時間を確約する、まさに民の求めるインド映画である。

主人公・デーヴァラは海の戦士の村に生まれ、先祖は侵略者たちを文字通り瀬戸際で退け続けた誇り高い戦闘集団。だが、時代の移り変わりを受けてデーヴァラたちの時代では見向きもされず、むしろ犯罪組織に海路からの密輸に利用される集団に成り下がっていた。
それが、あるテロ事件をきっかけにデーヴァラは自分たちの行いを改めるべきだと考え、他の村の戦士と対立し、4つの村の新たな掟を体現する存在となる…。
というのが本作のあらまし。村の戦士たちが協力して密輸を行うシーンはスパイ映画のような緊迫感だし、4つの村を代表する仲間たち・特にバイラとのバディ感が良い。
特殊技能を持ち、先祖に誇りを持ち、闘うことに価値を見いだしてはいるものの、現実では自分たちの活路を見いだせないデーヴァラの複雑な心境も描かれる。

密輸をやめることを決意し、沖に出ることを禁じたデーヴァラを排除する為、結婚式の夜に海岸でデーヴァラに襲いかかるシーンは、仲間との亀裂が決定的になるシーンでもある。
本来は仲間で家族だったはずなのに、デーヴァラが容赦なさすぎるのが気になるところではあるが、この海岸の戦闘シーンは光も構図も素晴らしく、絵画的な美しさもあって最高だった。
奇襲の為に海岸に潜んでいたバイラ配下の戦士たち約50人(もっといたように見えるけど)、砂に埋まったり、海藻に擬態したり、泥の中から現れたり、岩と同化していたりして、それがウジャウジャと蠢くだけでも圧巻の迫力。

その時思ったのだ。これ、忍者の物語だなぁって。
擬態した戦闘員が飛び出すシーンからインスピレーションをもらったのは確かだが、その他にも共通する部分がある。
戦国時代は活躍の機会があったけど、世の中の争いごとが新たなフェーズに移行して、昔ほど重宝されなくなった忍者だって肩身の狭い思いをしたり、忍者であることをやめて領民の暮らしに馴染もうとしたり、山賊になったりしたのかなって。
で、そこが大体インターミッション。

後半はデーヴァラの息子ヴァラ(NTRJr.の一人二役)が中心に移って、デーヴァラの息子とは思えないヘタレなヴァラと村の恋愛事情、村を縛る恐怖と化したデーヴァラを倒そうとするバイラの執念なんかが入り混じって進行する。
そこで「それは気づかなかった〜!」な展開が来るのだが、それは観てのお楽しみである。
インド映画あるあるなのだが、主人公が伝説の男過ぎて、彼を語るには到底映画一本では足りない。
というわけで、最後に思いっきりデカデカと「デーヴァラ2」の文字が現れる。

最近のインド映画は2部構成(もしくは3部)やシリーズ前提の作品が増えたような気がするけど、日本でガンガン公開するようになったのは最近のことだから、元々そういうもんなのかちょっと判断がつかない。
「しびれる〜!!」っていうほど面白かったとは言わないが、ダンスのキレキレ度も素晴らしく、「デーヴァラ2」は間違いなく劇場に観に行くだろうな、と確信したよ。

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つとみ