「梅田修一朗がとにかく素晴らしい」映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
梅田修一朗がとにかく素晴らしい
多様なジェンダーのあり方を描くマンガ作品として、原作は愛読していた。その原作のほんわかした魅力の再現に成功していた作品だと思う。あんまり動きが多くないが、LINEの縦読みマンガの空間性をアニメでいかに表現するのか、苦心しているなという印象。
ただ、そうした技法的なことよりもテーマの素晴らしさが際立つ。女の子のかわいい恰好をするのが好きな男子と、快活な女の子、男らしさにこだわる男の子の三角関係は、ジェンダーが固定的なものではなく揺れ動くのが普通、という描き方がされていて良かった。
キャスティングについては、主人公に梅田修一朗を起用しているのも良い。彼の芝居が作品を一段上に引っ張り上げていると思う。男の子声でありながら可愛い声というのを見事に表現していた。近年、男性声優でも中性的な声で芝居できる人が若手に増えているためか、こういうキャラクターに女性声優ではなく、男性声優を起用できる機会が増えているのだと思う。男の子だって可愛く生きていいという作品のメッセージを体現する芝居をしていた。
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