映画ドラえもん のび太の絵世界物語のレビュー・感想・評価
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よかった
子供と鑑賞。
子供には難しいかな?と思うシーンもあったけど、コミカルな描写が散りばめられていて、飽きさせない要素がたくさんあった。
敵との戦いの描写は凄くダイナミックでした。大人向けの作品みたいに誰かが死ぬような激しい描写ができない代わりに、色が無くなるという描写を使ってアクションを自由にしているように感じました。
全体的によく練られてるなーと思いました。
ストーリーは、子供向けとしてちょうどいいご都合主義です。しかし子供騙しではなく、大人でも納得な内容でした。
最近の子供向け映画にありがちな感動の押し売りのような感じもなく、くど過ぎないところもよかった。
最後にパパが、発掘されたのび太の絵を褒めるシーンはウルっときました。
3才の息子は大興奮、7才の息子も楽しそうで、私も満足な作品でした。
パパ!!
今回は絵画の中に入るがコンセプトなのもあって絵画の中に入ってる時の作画が絵画そのままなのに動き回るドラえもん達がいても違和感がないのは製作の人の匠の技だろう。
そしてパパがのび太の不器用な絵を見て、この絵は素晴らしい絵から好きな気持ちが溢れてくるって言ってたのがとても良かった。
セリフ自体はありふれてるものだが、私の記憶が正しければパパは画家志望だったのでそのパパがのび太の描いた絵だと知らずに評したあの言葉はきっとのび太だけでなく自己肯定感の低い人を救いになる言葉だったのではないだろうか
絵を描くこと。人間が生きるということ。
子供を連れて映画ドラえもんを観に行くようになり6作目。その中で一番の出来。
正直異世界ものはあんまり個人的な好みではないが、歴史上記録に残らずに火山の噴火によって消えた国という設定で、それならポンペイのような事例もあるし、さもありなんと思わせてくれて、13世紀の暮らしをトリビアを織り交ぜて楽しく伝えてくれて良かった。
ドラえもんとのび太の関係を中心にした大切な人とのつながり、でてくるキャラクターの感情を丁寧に描く。その辺はさすが寺本監督って感じでした。
また歴史上絵を描くということはどういうことか、AIが登場した現代でそれはさらにどういうことになるのか、つまり絵が上手けりゃ良いのか、上手いだけならAIが絵師の仕事は取って代わるはずで、本作の作り手のメッセージはそうじゃないだろ。絵は人間の営みの中で生まれる表現であり、そこに乗せた思い、伝えたいことが大事なんじゃないの、といったことを絵師として、いや人間のプライドを賭けて、ごく自然に伝えてくれる。
(自然にってすごく大事なことで、ここが御涙頂戴な所ですよというシーンや伝えたいメッセージをキャラクターにそのまま語らせたりすると、こっちは興醒めしちゃう。それが今回はスッと入って来た。)
そして、この作品の中でも、大事な思いを乗せた絵が悲しむ誰かを救う。マイロの父が描いたクレアの肖像画が、クレアを失い悲しみに暮れる家族を。のび太が描いたへたっぴドラえもんの絵がこの世界を、救う。そのことに、現代を生きる我々も少し救われる気がした。
へたっぴドラえもんといえば、寺本監督のインタビューにあった「起き上がりポロンちゃん」の逸話は、ドラファン必見なので是非観てない方は記事を見てみてください。
最後に一つだけ苦言を呈するのであれば、パルの声はやはり改善の余地ありだと感じた。この人だけ声を録った環境が違うと思うくらいずっと違和感があった。T.P.ぼんと近い立場で、イケメンでやる時はやるけど、おっちょこちょいな所もあり…でパルのサイドストーリーまだ出来そうな、すごく魅力的なキャラクターなのに、そこは少し残念。(サンドウィッチマンの方が上手いってどうよ。いや、まあ声質とかキャラクターとかその他事情があるのは分かってるけど…)
でも、とにかく全体を通じて良いものを創ってもらって、スタッフの方々全員に感謝したい内容でした。うちの子供(9歳、7歳)も楽んだようで、終わった後ずーっと、興奮して感想を言ってたくらいです。
また明日から、私も人間として、そして自分だからこそ出来る仕事を頑張ろうと思います。
ドラえもんを通しての表現の大切さ
テーマの一つ、絵と色の関係性が希薄に感じた。
何故、色が世界に大事なのか、それがなくなったら、どれだけ悲しいことなのか、
終盤は、バトルものによりすぎていて、少し寂しい。
ドラえもんの良さは、自分にとっては、大切さの説き方、伝え方を大人にも子供にも響くように表現すること。
ドラえもんや、のびた君が強くある必要は、ない。頑張る姿勢に共感を感じるから。
ネタバレだが、娘が、最後に、のびた君が描いたドラえもんが白い世界でかわいそうと泣いていた。
ただ、のび太君は、ドラえもんの周りを鮮やかに描いていた。
何故、白い世界にしたのか、わからない。
一人でも寂しくない世界の色をのび太君、同様に物語でも描けていたらと思う。
最後に、のび太君が描いた、パパもラストに見てみたかった。
なんだかんだ言っても、ドラえもんが好きだからまた来年も見にいくけど!
ドラえもんが大好きだ〜〜〜
ドラえもんが大好きだ〜〜〜って思いが感じられる良作でした。
なによりキャラクターの解像度が高い。アートリア公国での各キャラクターの部屋に置いてある小物がニヤリするラインナップになっていますし、キャラクターの言動が素晴らしい。
どうしても映画になるとキャラクターの言動が「超大作だぞい!」というようなものになってしまいがちです。しかし本作は各キャラクターが伸び伸びと自然に、でも映画のスケール感や奥行きを確保しつつ動いている。
クライマックス後、クレアが帰ってきて、のび太たちが現代に戻る。大団円で、アートリア公国キャラクターは退場して、のび太たちだけのアフターエピソードが描かれるかと思いきや、ちょっとした情報が付け加えられる。この短いエピソードだけで、マイロの優しさや制作陣がクレアを大切に思っていることが伝わってきます。
寺本監督の過去作『ひみつ道具博物館』で描かれたのび太とドラえもんの関係性も素敵なものでしたが、本作でも素敵な関係性が描かれています。
本作ののび太が自分が描いた絵の中のドラえもんと出会うシーン、
絵の中のドラえもんが絵の外に出る、ドラえもんが全部解決してくれるという展開もありえた中で、のび太に道具を渡して頑張れと送り出しています。
このドラえもんは、絵を描いたのび太の想像の中のドラえもん、つまりのび太がドラえもんをそういう存在だと思っているのかがわかります。
ストーリーも理論的に組み立てられ、でも押し付けがましくなっていない。
伏線の張りかたも丁寧で、特にクレアとしずかちゃんの部屋で休んでいるときのシーンが、しずかちゃんらしいちょっとした息抜きの小ネタであると同時に、のちのシーンで使われ、さらにはクライマックスの伏線にもなっていて、力量の高さが感じられました。
オープニング映像も、ここ最近は監督によってあったりなかったり、力の入れ方も様々でしたが、本作は愉快でワクワクするもので月面探査記ぶりにOP映像だけずっと観てたいなと思いました。
寺本監督らしい伸び伸びと、隅々まで明るさに満ちた、観ていて楽しい作品でした。
残念なところを挙げるとすれば、寺本監督の作品に共通して言えるのですが、クライマックスの着地のちょっと無理矢理感や散らがりがちなところがあり、そこは気になりました。
あと、すこし本編から逸れるので書くか悩みましたが、ラストでいい絵だって言い切るのび太のパパに胸を打たれました。
テレビで、評論家が、価値のない絵だと言っているのに対して、悠然といい絵だよと言い切る。
他の人が〇〇って言ってるからと右ならえしたり、誰か自分と同じ意見を言って初めて自分の意見を口に出す。そういう人って多いと思います。
自分で考えて、自分の答えを出す。不安かもしれないけど、それってとても大切で、特に大好きだ〜〜〜って思いを込めてアウトプットするには必要なものです。
それに自分が大好きだ〜〜〜って思って作ったものは、かならず誰かに伝わるんだって、肯定してもらえた気がして、涙腺が緩みました。
ドラえもんで一狩り行こうぜ
絵画の中の世界なので箱庭感があるのですが
それを踏まえたとても今回はガチの冒険だと
思う不思議な感覚。少し不思議をSFと捉え
ている藤子・F・不二雄先生へのリスペクト
でしょうか。そんなに壮大世界にしなくても
面白いものは面白い。笑いもピンチも友情も
かなり一級品にまとまっていたのではないの
でしょうか。童心に帰れてすごくワクワクと
しました。ゲストキャラの女の子はお転婆娘
で凄く愛らしいです。
ただ敵が怖すぎたのか近くにいる周りの子供
らが怖い怖いよと怯えていました。絵画世界
だろうが現実世界だろうが話し合いなど通じ
ない相手も中にはいる。一切情け無用の怪物
とのガチバトルを楽しめる人なら興奮するが
敵であってもこちらに手心を加えて欲しいや
対話を求める人だと合わないかもしれない。
私はどちらとも言えない。
ドラえもんはこういう作品がいいです
去年、一昨年の作品は社会的なテーマがあって少し重かったりして純粋に楽しめなかったので、今年はどうかな…と思っていましたが、
結果、めちゃくちゃ良かったです。
テンポも良くて飽きさせず、
ラストののび太のお父さんの言葉がすごく良かったです。
無理に泣かせにくるような展開もなく、ほっこりこころが温まるような良い作品でした。
温かさにちょっとうるっとしてしまいました笑
ファンタジー満載で、求めていたドラえもん映画でした。
ただ、1人すごく声が浮いていて絶対に声優さんじゃないだろうなと思いつつエンドクレジットを見るとやはり若手俳優さんでした。
小学生の甥も声が気になったと言っていて、ちょっと良くない方に目立っていました…
プロの声優さんにしない理由は何なんでしょう。
大人でも息を飲む展開
ただ泣かせるだけの安いドラえもん映画とはひと味もふた味も違う。
ここ最近のドラえもん映画の中ではかなり良い出来だった!!神ドラといっても過言ではないかも⁉️
と思ったらどおりでおれの好きな、新・鉄人兵団と同じ監督なんだね!
“絵”という題材に対しての魅力を、遺憾無く発揮していて、大人も子供も楽しめる十分楽しめる良作だった🎨🖌
ストーリーは、絵に入りこむというドラえもんならではの発想から丁寧にしっかり描いていて、前半で張った伏線を、後半で上手に回収していたり、熱いバトル展開があったりと、少年漫画を読んでるかのようで楽しかった‼️
今作オリジナルキャラのクレアとマイロも、ただの記号的キャラではなく、ちゃんと魅力的な立ち位置だったし、ラスボスが登場してからの絶望感もハンパなくて、マジどうやって倒すんだよって大人でもちょっと不安になるような笑笑
さらに、映画の軸となっているメッセージ性も、シンプルながらめちゃくちゃ良くて!!
のび太のパパやマイロが言っていた、
“絵は上手く描くことが大事なんじゃない。
大好きなものを大好きだーって思いながら書くこと、相手を思う気持ちと楽しむ気持ちがあれば、気持ちのこもった良い絵になる”
これは絵だけに限った話じゃなくて、色んなことに共通するテーマだったりすると思った。
上手い下手が大事なんじゃない。そんなのは二の次で、楽しむ気持ちと相手を思う気持ちがいちばん大切なんだと。
ちなみにのび太のパパって、昔画家を目指してたらしいね?笑
ただ泣かせるだけの安いドラえもん映画とはひと味もふた味も違う。
今までドラえもん映画を観てこなかった人や、なんなら毛嫌いする人にも1度は観てみてほしい!
🍿是非劇場へ🎥
難しさや怖さのない冒険譚
ドラえもん最高傑作
12年ぶりの寺本監督作品最高
初日初回で鑑賞しました
前の方でわたし以外誰もいなくて、実質スクリーン独占状態で鑑賞
月面探査機以来の「夢をかなえてドラえもん」が流れたのは本当に嬉しかった
始まりのメロディが流れた瞬間「ああこれが聞きたかったんだよずっと」と思い、思わず涙がこぼれた!
物心ついた時からこの曲を聴いてきたので、新恐竜から流れなくなったのは本当悲しかった
けど大人になってまたこの曲を映画館で大画面で聴けたことが本当に嬉しかった
op映像に出てくる絵画は、その作品のタッチそっくりで感心
監督さんはひみ博以来の寺本監督、去年見た時から楽しみにしていた
また私は大学で油彩専攻なので、途中絵の具を作ったりそもそもキャンバスではなく板に描くところなどが興味深かった
ドラえもんと言ったら途中に出てきた道具があとから活躍するということがあったりするが、今回はその伏線の張り方が自然で上手かったと思った
去年は明らかに「あ〜終盤なんかに使われるんだな〜」とわかりやすく、そこがちょっと残念だった
昔から人はその絵の良し悪しを上手い下手で決めたりするが、のび太のパパさんと同じくそれは違うと私も思った
そして私は何を伝えたいかとかが重要だと思う
美大受験していた頃よく講師に言われてたこと
のび太くんが描いたドラえもん、にっこり笑顔でのび太くんはドラえもんのこと大好きなんだなと伝わってくる絵だと感じた
今作のゲストキャラ、パルくん以外は可愛いし愛着が湧いて好きになった
5年前新恐竜に出てきたキューちゃん、その後飼い始めた猫に「きゅう」と名付けるくらい好きだ
今作のキャラも今後長い人生で、また動物を飼うことになったら「マイロちゃん」「クレアちゃん」と名づけたくなるくらい好きになった
パルくんは見た目はかっこいいから好みだけど、声が残念
例えばマイロくん役の種崎さん、クレア役の久野さんなどいろんな作品に出てる売れっ子さんだし、いつものドラメンバーももう20年もキャラ演じてるから浮いてしまっていた
しかし王様王女様、テレビの司会さんなどもゲスト声優枠だったらしいが、ほぼ違和感なく聞けた
終盤の敵を倒すシーンはドキドキハラハラ、久しぶりに心の底から楽しめた作品だった
ゲスト声優がちょっと浮いてた点だけ残念-0.5
笑い、感動、伏線回収すべてが完璧
オープニングやストーリー全体は良かった…
【良かったところ】
名画のパロディを合わせて作られたオープニング。
名画と主要キャラクターのイメージを上手くマッチしていて面白く、一気に映画に引き込まれるような演出だった。
全体的にシリアスなシーンが多めだと感じる中、明るくやんちゃなヒロイン「クレア」がとても際立っている。
所々で笑いを生み出してくれることで映画全体が暗くなりすぎずバランスが取れていた。
のび太の絵に対する考えの変化やマイロやお父さんが教えてくれた絵を描く時に本当に大事なことは何なのかということを通して「愛情」について描かれる場面が多く感動的だった。
また、今回はストーリー全体に多くの伏線が張り巡らされていてあとから「ハッ!」とさせられる展開が多く物語に緩急があった。
【残念だったところ】
1つは「アートリアブルー」について
物語の中で常に背景にある「アートリアブルー」。王国の伝説にも青のコウモリとして描かれ恵みをもたらすものとされていたため、イゼールを倒すためや世界を元に戻すためのカギになるものと予想していたがあくまで1つの色だった事。
当のイゼールとの最終決戦では1度は防がれた大量の水をかけて溶かすという作戦を「水戻しふりかけ」を使った2度目の奇襲の形で倒すというもの。
物語の根幹である「アートリアブルー」にしては作中の意味合いが薄くなってしまっていて、それを補うためにもマイロが「アートリアブルー」で描きかけだったクレアの絵の瞳に色を入れてあげるシーンとかあれば良かったのかなと。
そしてもう1つ
映画を見終わった時は割と綺麗に終わったと感じたがあとから各シーンを思い返すと「あれはどうなった?」や「あれってなんだったんだ?」と思う場面が多々あったこと。
まずソドロの目的とその後
絵を盗むのが目的のタイムハンターのはずだが、アートリア王国転覆を匂わす発言をしたり世界から色を奪うイゼールを召喚したりしてなんだか目的がよく分からなかった挙句イゼールを倒したあとどうなったかも描かれなかった。
また、物語でアートリア王国は失われた文明と言われているためその後滅亡の運命を辿ることになると思うのだがその理由や経緯についてもノータッチ。
そもそもクレアが時空ホールに吸い込まれてしまった理由もよく分からず、全体的に描ききれてない部分が多かった印象。
物語終盤は大どんでん返しからのラッキー展開でハッピーエンドを迎えられる訳だが少し出来すぎてる感は否めなかった。
【総評】
オープニングや導入が良かった分、前半から後半にかけて少しずつクオリティが下がっていると感じてしまう所はあるけれどそこまで細かく掘り下げない限りは十分に面白く良い映画だと思います。
エモさを感じた
芸術×冒険!『のび太の絵世界物語』が描く新たなドラえもん映画
※ネタバレ無しとしていますが、予告映像で匂わせている範囲のネタバレを含みます。
【総評】
ここ数年の映画ドラえもんのオリジナル回の安定感は、本当に素晴らしい。
アニメーションや音楽のクオリティは言うまでもなく、脚本もドラえもんという作品の世界観をしっかりと捉えており、特に舞台設定への理解が成熟していると感じられる内容だった。昨年の「音楽」に続き、今回は「絵画」という芸術分野がテーマとなっており、原作に土台となるエピソードが少なかったにもかかわらず、細かい原作設定や現代的な視点を巧みに取り入れることで、バランスの取れた作品として見事に成立している。
監督は2011年の『新・鉄人兵団』、2013年の『ひみつ道具博物館』を担当した、寺本幸代氏で、感情表現を丁寧に描くことに定評があるとのことで、後述してますが、今作でも存分にその手腕を発揮されていたと感じた。
【脚本】
非日常への導入のキーとなる今作オリジナルのひみつ道具「はいりこみライト」。これを使った、非日常=舞台となるアートリア公国への導線の巧みさに驚かされた。
予告映像にもあった通り、のび太の頭上に突然穴が開き、木の板に描かれた絵が降ってくるという不可思議な現象から導線が始まるのだが、しっかりとドラえもんの世界観に基づいた説明が後からされるので安心してほしい。
また、これはドラえもんに限らず最近の作品全般に言えることかもしれないが、序盤の何気ない出来事を、終盤に重要な伏線として回収する手法がますます増えているように感じた。毎年ある程度は予想しながら観ているものの、今年も「そんなところを拾うの!?」と驚かされる見事な伏線回収があり、楽しませてもらった。予想がつかない綺麗な伏線回収は大好物なので、今後もぜひ続けてほしい要素だ。
【演出】
キャラクターの感情表現がとにかく秀逸で、細かく練られているのを感じた。個人的には、公式で推されているマイロよりも、お転婆姫・クレアの方に注目したい。
クレアのコミカルな表現がとにかく可愛らしく、顔芸やハプニングなど楽しい演出が満載だったのはもちろんだが、彼女自身に幼さや年相応の負の側面がほとんど見られなかったのが印象的だった。4年間も絵の中に閉じ込められ、さらには悪夢のような予知夢を見ていたにもかかわらず、終始ポジティブな少女像のまま。この点に、どこかご都合主義的な"物わかりの良さ"を感じていたのだが、まさか最後にしっかり回収されるとは。
もう1点挙げておきたいのが、ラストバトルの絶望感だ。ネタバレになるので詳しくは書けないが、伝説の悪魔として登場した暗黒騎士イゼールは、ドラえもん映画史上最強クラスのラスボスで間違いない。描き方や時間の割き方も素晴らしく、ラストバトルのみにフォーカスしたランキングを作れば、間違いなく上位に食い込む出来栄えだったと思う。
また、盤外ネタとして気になった点を2つ挙げておきたい。
・のび太のパパが絵について語るシーン
原作では、のび太のパパは元々画家志望で、実際に絵の才能があったことが語られている。そんなパパが、絵をうまく描けないのび太にかけたアドバイスが、アートリア公国宮廷画家の息子・マイロの意見と一致していたのだ。
「大好きな友達とか、大好きな家族とか、大好きだーって思って描いてごらんよ」
これはCMでも何度も流れていて、公式に強く推されているセリフだが、時代を超えて絵の天才同士が発するメッセージとして心に響くものがあった。また、さりげなく原作設定を活かしている点も、ファンには嬉しいポイントだ。
・タイムボートの登場
昨年Netflixでアニメ化された『T・Pぼん』のタイムボートが、早くもドラえもん本編に逆輸入されていた。これもファンには嬉しいサプライズだった。
【ゲストキャラクター】
メインのゲストキャラクターであるクレア、マイロ、チャイは、それぞれの持ち味を存分に発揮し、バランス良く描かれていた。上でも触れているが、マイロの絵に関するアドバイス、本当に心に響く素晴らしい演技だった。マイロ役に種崎敦美さんを起用したことには心からの賞賛を送りたい。彼女の演技力がキャラクターの魅力を最大限に引き出していた。ネタバレになるため細かい点には触れられないのがもどかしいが、彼の物語における存在感は特筆すべきものだった。
また、ラスボス枠として登場する悪魔イゼールも印象的だった。最終的にドラゴンの姿へと変貌するが、そのデザインがまた素晴らしい。過去のドラえもん映画に登場したフェニキアやマフーガのような「かっこいいドラゴン」とは異なり、クトゥルフ神話に登場しそうな、醜悪でおぞましい造形が採用されている。このデザインが悪魔らしさと恐怖を引き立て、実際にその見た目に違わぬ圧倒的な強さも描かれており、大満足の仕上がりだった。
【ゲスト声優】
今年も数名の芸能人が声優として参加していたが、特筆すべきはパル役の鈴鹿央士氏のみ。残念ながら、彼だけ演技が拙く、浮いてしまっていた。しかも、そこそこ出番の多い重要な役だったため、余計に気になってしまったのが惜しいポイントだ。
もう一点触れておきたいのが、サンドウィッチマンの伊達さん。インタビュー記事で以下のように発言しており、とても共感した。
「とにかく観ている人にサンドウィッチマンの伊達の声だと気付かれないようにがんばりました。(中略)我々がどこに出ているかは探さなくていいです!作品世界に入り込んで楽しんでもらえたらと思います。」
ドラえもんという作品と、声優という職業、両方へのリスペクトが強く感じられて素晴らしい。相変わらず、好感度の上がる発言しかしないなこの人。
【その他】
近年の映画ドラえもんについて。
ここ数年、オリジナル回が続いているものの、及第点以上のクオリティを連発している。水田わさび版ドラえもん(わさドラ)に交代してから、早くも20作品目となるが、ここにきて映画ドラえもんは完全に大安定期を迎えたと確信できた。
ノウハウが蓄積されていることはもちろんだが、監督や脚本が毎年交代しているにもかかわらず、このクオリティを維持し続けているのは本当にすごいことだと思う。
また、個人的に嬉しいポイントとして、最近はしっかりとしたバトルシーンが用意されている点が挙げておきたい。初期のわさドラ映画では、本来見せ場となるはずのバトルシーンに緊張感が欠けたり、恐怖を煽る迫力ある演出が控えめになっていた。しかし近年は、そうした要素がしっかりと描かれるようになり、映画ドラえもんの醍醐味のひとつである“普段はできないバトルシーン”が、パワーアップして復活してくれたのは本当に嬉しい限りだ。
【採点】
昨年と同じ4.0としたが、個人的な評価としては前作『地球交響曲』よりも少し下というイメージ。中弛みはあったものの、「音楽」を主題に正面から向き合った新しいアプローチや、秀逸な伏線回収、ラストバトル時の演出などを鑑みると、ギリギリ『地球交響曲』>『絵世界物語』といった印象だ。
ただ、前作は人を選ぶ作品だったこともあり、ぶっちゃけ今作の方が一般受けするのではないかとも思っている。どちらにせよ、高品質な映画ドラえもんのオリジナル回であることは疑いようがないので、ぜひ劇場に足を運んで観てほしい作品だ。
近年のドラえもん映画で最高
毎年欠かさずみてるけど本当によかった!
そもそもコロナ後3年全てがいい作品。コロナ前は、宇宙、恐竜、リメイクばっかりで本気でもう落ち目かもと悲しくなっていたけど、今年の作品観て安心した。
今回の絵世界物語は、私が子どものころにワクワクしていたドラえもんそのままでした。少しのユーモアと悪役の怖さ、勇敢に立ち向かうのび太たち。
良かったところ
・全体のストーリー
・悪役怖い
・ただのハッピーエンドじゃない
まだ頑張れただろってところ
・パルの声優
ここからは感情のままにつらつら書きます。
冒頭で記載した通り、ストーリー自体が本当に素晴らしかったです。
声優が代わってからのドラえもんは絵のタッチがどんどん子ども向けになっただけでなくストーリー自体もかなり子どもを意識したような感じになっていたと思っています。
上手く表現し難いですが、中身の薄い感動話?みたいな感じですかね、でも今回は全体的に内容が濃かったです。
正夢能力が悪役相手じゃなくてラストで発揮されたのは微笑ましかったですが、最後まで一緒に過ごしたクレアとチャイのことを想うと切ないままです。
最後まで騙されました!
こういう切ないハッピーエンドは観た後もずっと思い出しては、さみしいような嬉しいような感情を呼び起こすのですよね。お見事です。
最近のドラえもんで悪役が怖いっていうのは驚いたと同時にワクワクしました。
ドラえもんだから絶対勝つやんってわかって観ているのにもかかわらず途中で、え?絶望的にやられとるやん大丈夫?ってなりましたw
悪役が怖いのはドラえもん映画の本来の良さですよ!のび太達はそいつらに勝つからより頼もしく見えるんです!
もっと頑張れただろって思うのは、パルの声当てです。俳優が演じることは全く問題ないけど今回は明らかに1人だけ浮きまくってました。大事な役で浮いてるのは気になりますね。
他のゲストが馴染んでただけに余計に。これは流石にテイクのOK出した側に問題がある。鈴鹿央士さんの忙しさとスケジュールの詰まり具合で妥協しただろって想像してしまいました。
人気と地位が確立してきた役者なのだからOKだせるレベルまで練習してもらえばよかったのに...演技できるんだからポテンシャルあるでしょうが...
それ以外は全く不満がなかったですね。
余談ですが、マイロ役の方が声が良すぎて1人で盛り上がりました。
良い映画でした。
全168件中、141~160件目を表示
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