「映画ドラえもんシリーズの中で、名作がひとつ生まれました!」映画ドラえもん のび太の絵世界物語 ねこともさんの映画レビュー(感想・評価)
映画ドラえもんシリーズの中で、名作がひとつ生まれました!
結論から言わせて頂きますと、総合的に見て、素晴らしい作品でした!
昨年の【地球交響楽】も素敵でしたが、今回は絵がメインとなっているため、OPからこだわっていました。
「夢をかなえてドラえもん」に合わせて、ひみつ道具を使用して、ドラえもん達が数々の名画の中に入り込んでいく場面は、観ているこちらも楽しめてしまう。
※星野源さんの「ドラえもん」も名曲ですが、版権の問題等でこの数年間の映画の主題歌にできなかったんだろうな…という所が残念に感じていました。
物語も王道的で、なおかつ過去の作品をオマージュしている点があったりして、懐かしさと子どもの頃に感じたワクワクした気持ちが溢れ出してきた。
今回の脚本は、アニメシリーズにも携わっている方が担当されているだけあって、ひみつ道具もいっぱい出てきて、なおかつそれらを上手く要所要所毎に出す等、物語の構成と合わせて絶妙だった。
個人的に、「糸なし糸電話」を作中で登場させている事が嬉しかった。
原作や昔のアニメでは、タケコプターやどこでもドア等と同じくメジャーな道具に部類されていました。
でも、携帯電話やスマホの普及が影響したのか、アニメではすっかり出番がなくなってしまった道具でもあります。
小説版でもはっきりとその名称が出ていて、思わず「これを出すんだ!」と歓喜してしまいました(笑)
それから、今回のメインキャラであるクレアとマイロのやり取りが良い。
二人の関係がちょっとじれったくて、お互いに意識し合っているのが伝わってきて…微笑ましかった(親目線)
彼等の関係性を表現するなら、数十年前の少女漫画的な「純愛」だと思う。
チャイは可愛らしい悪魔ですね。
クレアといっしょに、チョコレートを食べて目をキラキラさせる場面がお気に入りです。
あと、今回のラスボスである「イゼール」は曲者かつ強敵。
歴代の映画ドラえもんシリーズの「鉄人兵団」「オドローム」と並ぶくらいの厄介さと強い危険性のある存在だった。
※昨年の「ノイズ」は、明確な意思を持たない天災的なラスボスだったので、上記の敵キャラの区分とは異なるので除外しておきます。
「イゼール」があんな脅威となれたのは、彼を創作した画家が要因だと思います。
別作品で、魔王が作曲したとされる「呪いの独奏器楽曲」のように…
「イゼール」が高度な知恵を持ち、人々に厄災をもたらす最凶の暗黒騎士であるに違いないという画家の創造力と思念が込められていた。
それゆえに、具現化した際に、ドラえもん達すらも真っ向勝負では敵わないラスボスとなれたのでしょう。
だから、終盤でのび太が描いた「へたっぴドラえもん」の存在が、「イゼール」を倒す切り札となった点がゾクゾクした。
マイロからアドバイスを受けて、のび太が描いた「ドラえもん」は会話があまりできなくても、のび太の事を尊重してくれる一番の味方となった。
「イゼール」を描いた画家が込めたのは、畏怖や絶望、悲しみといった負の感情。
「へたっぴドラえもん」を描いたのび太が込めたのは、信頼と希望、喜びといった正の感情。
そういった対比があり、結果的に最後まで諦めなかったのび太達の機転や行動が勝利へと繋がったのだと思います。
ここまでは絶賛すべき箇所を語りましたが、不満に思った点もあります。
今回の戦犯でもあるソドロ氏が捕縛された描写がなく、パルの報告のみだった事(所謂「ナレ捕縛」)
あと、帰ってきたクレア、マイロ達のその後が描かれていなかった点ですね。
それらをED辺りで、描いてくれていたら…と少々残念な気分。
…とはいえ、不満点を含めても、全体的にみて、今年の映画ドラえもんは大満足な作品でした!
次回作は、「海」が舞台のようです。
特徴的なキーワードは、海の生物のみなので、オリジナルの可能性が高そう。
来年の映画ドラえもんも楽しみにしています。
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