劇場公開日 2025年6月27日

「ブラックユーモアも心地良い」かたつむりのメモワール 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ブラックユーモアも心地良い

2025年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

心温まるストーリーと豊かなアニメーション作品なのだが、ブラックユーモアもふんだんに含まれている。主人公のグレースは内気な性格でかたつむりを親友として話しかけている女性。そんなグレースの双子の弟はいつも彼女を守っていたが、両親の死によって別々の家に引き取られていく。
グレースはその後、様々人に出会うのだが、これが怪しげな人間ばかりなのだ。里親は怪しげな団体に出入りしており、結婚相手のケンは実はちょっと変わった性癖の持ち主で、やや変態気味であった。双子の弟ギルバートの里親も怪しい宗教団体を営んでいたりする。
唯一、心を許せる老婆のピンキーも大麻入りのクッキーが大好きだったりする。人間はおかしくて面白い存在なのだと本作は強い説得力で描いている。
そして、最後は心があったかくなるエンディングが待っている。人生の悲喜こもごもが詰まった素晴らしい一作。

杉本穂高