「伏線の回収が鮮やかで見事なクレイアニメ」かたつむりのメモワール ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)
伏線の回収が鮮やかで見事なクレイアニメ
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独特の世界観が見事なクレイアニメ。想像以上に双子の姉弟のグレースとギルバートの人生が過酷なのでファンタジックな表現方法でなければ生々しくなりすぎたかもしれない。敷かれた伏線は見事に回収されてゆくさまは、少し甘すぎるきらいもあるけれど鮮やかだったと思う。監督の人生観の投影なのだろうけど生きづらさをこれでもかと描くあたりと、フェアでリーテイルゲイ・マジカルニグロならぬ「教訓老人」に救われる展開はやや食傷気味でもあったけど、素直に感動したのも確か。
出てくる夫婦はどれもいびつだし、ケンの愛とグレースの愛は同じレベルに見えた。描きたいのは、恋でも愛でもないのだろうからそれはとやかく言うポイントではないのだろう。
ケンの趣味嗜好は確かに一般的ではないしコレクションは下劣だけど、その嗜好自体は自由だと思う。ただグレースにとってはコンプレックスである部分を愛でられるのが複雑なのはわかる。ただ、グレース自身がケンのどこを愛したのかと言えば、一般的にイケてる男性に近づかれてすぐに浮かれて恋に落ちるわけで、ケン自身を好きだったとは言えない関係だったと思う。ケンの性癖を嫌悪する自由はあるけれど、怒りは違うんじゃないかと思う。監督の前作を見てないのでテーマが何だったのか把握してないのだけど、この監督がどんな愛を描くのかちょっと気になる。
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