「かたつむり🐌の話かと思ってたら違った」かたつむりのメモワール ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
かたつむり🐌の話かと思ってたら違った
独自固有なデザインのストップモーションアニメ。
予告を見て、てっきりかたつむり🐌を擬人化して
ストーリーを組み立てているのかと思いきや、
人間のお話だった。
主人公のグレースと双子の弟ギルバートの
生誕時に母を亡くしているとの境遇がせつない。
でも父親が素晴らしいのだけれど、突然亡くなってしまう
ことにせつなさが積み重なる。
そしてグレースはいつも自分を守ってくれていた
ギルバートとも離ればなれに。
とまあ、いいことなんて全然ない感じなのだ。
里親の元で暮らす二人にもいいことはあまり起こらず
むしろそれが悲劇になっていく。
グレースの夫の性癖、ギルバートの里親の偏見、
そしてギルバートの死の報。
どれだけこの二人を落とせば気が済むのだ、
この監督は!‥と絶望的な気持ちで鑑賞していた。
…ところが、
ラストは超ハッピーなサプライズが!!
これには思わず「えっ!?」とおもった。
グレースがやりたいこと、それは映画を撮ることで
上映会をしていたところ、そこにはギルバートがきていた
のである。
もうこれで全部救われた気持ちになったし、涙が溢れた。
グレースの友達だったお婆さんのピンキーからの
死の間際のメッセージも良かった。
グレースは救われた。
全然こんな話だと思っておらず油断して鑑賞したが、
実に滋味深い人間ドラマであった。
アダム・エリオット監督、8年かけて完成してくれて
ありがとう。次回作にも期待しています。
