かたつむりのメモワールのレビュー・感想・評価
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心の隙間を大好きなもので埋めようとした
号泣。
皿で心の隙間を埋め続けた皿オタの私としては、身につまされるセリフが多すぎて涙が止まらなかった。
一つ、また一つと手から大事なものが落ちていくたびに空いた場所を好きな物で埋めたくなったんよね。わかるわ。
始まりから造形がとても好みで目が楽しかったのだけど、想像と全然違う物語でなんか二度美味しかった。
グレースは孤独だったかもしれないけど、必ず手を差し伸べてくれる誰かはいたし、大好きな家族との強い絆があったから優しさは忘れなかったんだろな。
ギルバートにとっても、姉の存在だけが唯一の心の拠り所だったのだろう。
可愛いキャラクターと色んな社会の問題をうまく混ぜ合わせて、一筋縄では行かない見応えのある作品になっていた。
でも本当世界観は可愛かったなー。
あのカタツムリ帽子、犬に作って被せたい笑。
クレイストップモーションアニメ。細かく手作りされた造作がすごい!
試写会にて
「いやぁ、これ凄い!」と、映画始まって直ぐから画面の隅々まで見入ってしまいました。
何故ならこれはクレイストップモーションアニメだから。
👉️クレイとは粘土のこと。
👉️ストップモーションアニメとは少しずつ人形とか登場するものを動かしてコマ撮りして動いているように見える様にしたアニメ。(パラパラ漫画と同じ手法)
本当に1つ1つ粘土で丁寧に作りあげられた様々なもの。部屋中に所狭しと色んな物が置いてあってそれを1つ1つ粘土で作ったかと思うと、そしてそれに1つ1つ色をつけたかと思うとその手間は気絶しそうなほど大変だったろうなと、ただただ恐れ入ってしまいました。凄い!これだけでも観る価値あります。
ただし、下ネタとか結構ブラックな内容が含まれているので大人向けです。ポスターの可愛い感じに惹かれて子供を連れて行かないで下さい。ファミリー向けではありません。
👉️製作期間8年。セットの数は200、小道具の数は7000、カットの数は13万5000にのぼる。
👉️アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネート。
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👉️膨大な手作業によって本作を生み出したエリオット監督は、自身の作品を「クレイ(粘土)」と「バイオグラフィー(伝記)」を組み合わせた造語「クレヨグラフィー」と呼び、「私はキャラクターの内面に癖や変わった性質を加えるのが好きです」「私の物語は日常生活を反映したもので、友人や風変わりな親戚、街で出会う個性豊かな人たちなど、どこかで見覚えのあるような人物を取り上げた伝記なんです」と語っている。
金継ぎ
先行上映会にて鑑賞。
アダム・エリオット監督の舞台挨拶もありワクワクしていました。特典はポストカードでした。
全て人の手から作られたストップモーションアニメという事で、その手作り感が最高で、尚且つストーリーはかなり悲劇的なものというギャップもとても良かったし、じっくり考えさせられもしました。
序盤からハードな展開をお出しされ、少し早く生まれてしまったがために口唇裂で生まれたグレース、出産後に母親は亡くなってしまうという出生から残酷、少しだけど確かな希望の後にガッツリ絶望を見せる展開をお出ししてくるので気持ちはズンと沈んでしまいました。
弟のギルバートが心の支えになっていたのが本当に良かったですし、父親と3人での読書の時間やヘアスタイル大会の時間、遊園地に行ったりとする時間が幸福度に満ち満ちていました。
父親の死後、ギルバートと離れ離れになってからは喪失の連続のグレース、ギルバートも里親の元で厳しく躾けられたりと踏んだり蹴ったりの展開には辛く悲しいものが溢れていました。
ただ中盤から登場、序盤にびっくりさせられたお婆ちゃんのピンキーがとてもファンキーなんですが色々な行動パターンを見せてくれて笑いをたくさん誘ってくれました。
過去の結婚だったり、現在の仕事だったりを傷心のグレースと共に色々と行動を起こしてくれますし、常に寄り添ってくれている元気さがグレースにとっても観客にとっても安心感を与えてくれるので本当にほっこりしました。
その後の展開も山あり谷ありといった感じで上手くいくよりも上手くいかないことの方が多く、心も体も弱っていく様子は中々に辛いものがありました。
追い打ちをかけるような展開も多なった中で、序盤のシーンとバチっと繋がってからの急展開でおっ!とさせられました。
終盤の展開はこの手の作品にしては珍しいものになっており、監督もそこを強く意識して作ったとおっしゃられていたのでなるほどな〜となりました。
あらすじをサクッと読んだ程度で本作を見たので、性的描写やグロテスクな描写も多く盛り込まれていたのには驚きました。
グレースが男性を欲する様子だったり、里親がヌーディストビーチに行ったり乱行パーティに行ったり、しっかりと初体験と描写されたりとアニメーションが独特なのも相まってより欲に対する感じがリアルだなーと思いました。
指が切れたり、歯を元に戻す様子だったり、事故の様子だったり、これも生々しさがあったりとで目を覆いたくなるシーンもいくつかありました。
監督がいきなりユーモアたっぷりの登場をしてくれて、日本にも何度も来日してくださってるという事が嬉しかったですし、監督の映画に対する熱い思いに感銘を受けましたし、アカデミー賞の授賞式よりも観客とのQ&Aの方が楽しいっていうのにもフフッとさせられました。
手作りのセットで用いられた小道具たちも捻りがあって面白く、特に涙のところは翻訳される前に正体が分かって笑ってしまいました。
質問コーナーが限られていたので、したかった質問はできなかったんですが、もしできたのならば金継ぎという日本の文化が出ていた事がとても気になり、監督が今作に取り入れたかった、もしくは次回作以降で取り入れたい日本の文化や催し、監督の好きな日本食なんかを聞いてみたかったです。
監督がおっしゃられたように、日本でも春から全編AIを駆使したアニメが放送されるのですが、やはりまだAIでは違和感が満載、作り手の愛が伝わってこないというのも相変わらず致命的ですが、監督の手作りに対する拘りと愛はいつまでも続いていって欲しいなと思いました。
日本での全国公開も楽しみです!
鑑賞日 3/18
鑑賞時間 18:30〜20:37
座席 K-1
すごい設定
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