かたつむりのメモワールのレビュー・感想・評価
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ブラックユーモアも心地良い
心温まるストーリーと豊かなアニメーション作品なのだが、ブラックユーモアもふんだんに含まれている。主人公のグレースは内気な性格でかたつむりを親友として話しかけている女性。そんなグレースの双子の弟はいつも彼女を守っていたが、両親の死によって別々の家に引き取られていく。
グレースはその後、様々人に出会うのだが、これが怪しげな人間ばかりなのだ。里親は怪しげな団体に出入りしており、結婚相手のケンは実はちょっと変わった性癖の持ち主で、やや変態気味であった。双子の弟ギルバートの里親も怪しい宗教団体を営んでいたりする。
唯一、心を許せる老婆のピンキーも大麻入りのクッキーが大好きだったりする。人間はおかしくて面白い存在なのだと本作は強い説得力で描いている。
そして、最後は心があったかくなるエンディングが待っている。人生の悲喜こもごもが詰まった素晴らしい一作。
懸命に前に歩み続けようとする姿を、愛情あふれるタッチで描く
人生でまたもエリオット監督の長編作に出会えたことを嬉しく思う。これが15年ぶりの新作だから、次があるとしたら私はもはや還暦過ぎ。でも待つ価値はあると確信する。彼がコマ撮りで描くキャラは皆どこか内気で、不幸に見舞われてばかり。こうやって言語化するとだいぶ切実に思えるが、実際のところ粘土で丁寧かつユーモアを交えて織り成された一コマ一コマは非常にチャーミングで、瞬きするのを忘れるほど慈愛で一杯だ。この確かな眼差しがあるからこそ、ブラックな側面があってもネガティブに傾き過ぎることはない。グレースの”ためこみ”も決して単体でいびつに照らすのではなく、心の奥底に記憶と感情があふれかえった状態の投影であることを文脈からジワリと気づかせる。誰よりもそれを理解し光と躍動を注ぐピンキーという存在がまた秀逸。急がず、ゆっくり。後退せず前に進み続けようとする人々の懸命な生き様を、本作は豊かなタッチで祝福している。
断捨離と心の解放
1970年代のオーストラリアで姉のグレースは双子の弟ギルバートと父親と3人で幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなっていて、生まれつき鼻の下が切れてたグレースはうさぎ顔と言われ学校でいじめられていた。しかし、いつも守ってくれるギルバートと、ひょうきんな父が側にいて守ってくれていた。しかし、父も突然亡くなってしまい、グレースとギルバートは別々の里親のもとで暮らすことになった。ギルバートとは手紙で励まし合うものの、寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となっていったグレースは、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、かけがえのない友人になっていったが、ギルバートが火事で死んだと聞き・・・さてどうなる、という話。
色々と断捨離しながら、心を解放していく話なんだろう。
カタツムリは前にしか進まない、という事で、過去を振り返っても良いけど、前に進もうという励ましのアニメだと感じた。
かたつむりがそんなメタファーになるとは思わなかった
かたつむり
生きた跡を残しながら前へ進もう‼️
今作は「ウォレスとグルミット」などのアードマン・アニメーションの作品に勝るとも劣らないクレイアニメーションの名作ですね‼️幼い頃から周囲に馴染めず、孤独を抱えて生きてきた女性グレースが、周囲の人々に支えられながら、少しずつ生きる希望を見出していく・・・‼️内容としては人間ドラマなんですけど、粘土で作られたその世界観‼️建物や街並み、船やトロッコといった乗り物、モルモットやカタツムリといった生き物まで、画面からあふれ出るクレイアニメーションに胸がワクワクさせられます‼️キャラクターたちもグレースの双子の弟ギルバートをはじめ、世界中を旅し、得意料理はジンジャー大麻クッキーというピンキー婆さん、脂肪フェチなケン、凶暴なギルバートの里親ルースなど、キャラ描写もホントに素晴らしい‼️カタツムリのように自分の殻に閉じこもってはダメですよ‼️そんな人生肯定のメッセージを美しいブラックユーモアで包んで届けてくれるビターなお伽話です‼️
伏線の回収が鮮やかで見事なクレイアニメ
独特の世界観が見事なクレイアニメ。想像以上に双子の姉弟のグレースとギルバートの人生が過酷なのでファンタジックな表現方法でなければ生々しくなりすぎたかもしれない。敷かれた伏線は見事に回収されてゆくさまは、少し甘すぎるきらいもあるけれど鮮やかだったと思う。監督の人生観の投影なのだろうけど生きづらさをこれでもかと描くあたりと、フェアでリーテイルゲイ・マジカルニグロならぬ「教訓老人」に救われる展開はやや食傷気味でもあったけど、素直に感動したのも確か。
出てくる夫婦はどれもいびつだし、ケンの愛とグレースの愛は同じレベルに見えた。描きたいのは、恋でも愛でもないのだろうからそれはとやかく言うポイントではないのだろう。
ケンの趣味嗜好は確かに一般的ではないしコレクションは下劣だけど、その嗜好自体は自由だと思う。ただグレースにとってはコンプレックスである部分を愛でられるのが複雑なのはわかる。ただ、グレース自身がケンのどこを愛したのかと言えば、一般的にイケてる男性に近づかれてすぐに浮かれて恋に落ちるわけで、ケン自身を好きだったとは言えない関係だったと思う。ケンの性癖を嫌悪する自由はあるけれど、怒りは違うんじゃないかと思う。監督の前作を見てないのでテーマが何だったのか把握してないのだけど、この監督がどんな愛を描くのかちょっと気になる。
双子の弟と離ればなれの生活になってしまい、心が殻に閉じ籠もってしまった少女。知り合った老婦人との交流を経て自分の生き方を見つめ直す過程を描いた物語です。
コマ撮りアニメーション作品で8年がかりで完成した作品
との事でした。そう聞くと、何はともあれ観てみたいなと
いう気持ちになりまして、鑑賞してきました。・_・
で、鑑賞終了。
鑑賞直後の感想はといいますと…
#画面内の密度が濃く、重苦しさを感じる作品。
#コマ撮りアニメーションとしての技術と努力には敬意を
表するが、見ていて楽しい作品とは言い難い。
#誰に見せることを想定して作った作品なのだろうか。
きゃー 余り褒めてない。
アタマをもう一捻りして、さらに感想など…
#最終回にしか 救いがない連続ドラマを延々見続けた気分。
#ひたすらナレーションによって進行するストーリーも、
アタマの中をトランス状態に誘導するのに効果的。
#ラスト3分までひたすら重苦しい雰囲気が漂っている。
きゃー やはり褒める内容が出てこない… うーん *_*
手間ひまかけて作られた作品なのは理解出来ました。 ・△・;
アニメーションの完成度も素晴らしいと思いました。はい
けど もう一度観たいかといえば… " いいえ " ですねぇ…
たとえば「世界名作劇場」のような作品の場合。
主人公やヒロインが無体な仕打ちや苛めを受けたとしても
最後には試練に打ち勝ったりとか、苦労が報われたりする とか
そんな場面が数話ごとには入る事で、マイナスに累積した
感情のリセットがされていくかと思うのですが、
このお話では、
" ひたすらマイナスが積み重なっていくだけ "
そんな感じを受けて、観るのが辛くなってしまいました。@▲@
そして思い返すたびに浮かんでくる疑問。
” なんであんなのが 里親になれるの? "
鑑賞中から感じたこの理不尽さに、鑑賞4日後の今も
どうにも納得できずにいます。悶々。
そして7日後(わー まだ続いてるのか…)
この作品って
実話なのか (可能性はありそう)
創作なのか (元ネタがありそうといえばありそう)
寓話なのか (どんな想いを込めたやら)
哲学なのか (人生観が感じられる気はしますが)
文学なのか (子ども向けではなさそう)
芸術なのか (終始変わらない品質には拍手)
どう見るかで違った感想になりそうなのですが、
どう受け止めたら良いものか 未だに判断が出来かねています。
一筋縄では括れそうにない作品ということに
するしかなさそうです …@-@
そいうことで これにて考察終了。 ふぅ
◇あれこれ
■ピンキー
ヒロインにとって唯一の救い。
老婦人ピンキーとの出会いは、大いなる救いでした。
この老婦人、ダンサーとして踊っている際に天井で回転する
扇風機(?)の羽で指先を切断する過去を初めとして、
色々な人生経験を積んできた女性でした。
そんな中でも、他人に手を当てることで安らぎを与えることに
生きがいを見いだしていたのが印象的。
■手つなぎ
そんなピンキーが仕事としていたのが、介護(といっていいのか?)
要介護者と手をつなぐ。ただそれだけのことを、
多くの人を訪問しながら実施していました。
人との接触の機会が少ない人間にとって、手を触れあうことが
どれだけ大事なスキンシップになることか。
手つなぎの場面は、作品を通してとても印象に残りました。
■カタツムリは
雌雄同体みたいです。へー
交配には相手が必要です。へー
パートナーとは互いに「雄にもなり雌にもなる」ようで
互いが相手との卵を産むのだそうです。 へー
LGBTの概念の、遥か上空をいく交配システムです。・_・:
人間もこうだと面白い…かはともかく、平等な結婚になるかも。
◇最後に
エンディングの最後のほうに出たテロップ。
” 片づけがヘタな ”おば” に捧げる "
確かこのような内容だったかと思うのですが
もしかして、この作品の作者って
双子の弟(ギルバート)の息子さんなのでしょうか?
そうすると、父の姉(=グレース=伯母)となって
片づけがヘタ に繋がるのですが…
実話に基づく話 もしくは
実話に基づいて創作した作品なのでしょうか。
うーん
この辺りは、余り詮索しないのが良いのかもしれません。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
独特のビジュアルを堪能
離ればなれになった姉弟の数奇な運命を、独特のビジュアルで表現したクレイアニメ。
「メアリー&マックス」で鮮烈なデビューを飾ったアダム・エリオット監督による長編2作目。8年の歳月をかけて作り上げた労作ということである。
正直、アニメーションとしてのクオリティは、大手のライカやアードマンと比べると見劣りしてしまう。ただ、3DCGと見紛うばかりのライカの作品よりも、本作には手作りらしい温もりが感じられて個人的には親しみを覚える。
また、前作同様、ブラックでビザール感溢れるビジュアルは独特の世界観を創り上げていて、アート作品としても十分の見応えを感じた。ただ、このクセの強い作風は好き嫌いがはっきり分かれそうである。個人的には面白く観れたが、万人にはお勧めできない作品である。
物語はグレースのモノローグで紡ぐ回想形式で展開されていく。ダイジェスト風な語りは少し味気ないという気もしたが、DVや貧困、いじめといった暗い内容が続くので、このくらいサラリと流してくれると逆に観やすいかもしれない。
グレースはちょっと変わった性癖を持つ夫婦の元に引き取られ、ほとんどネグレクト状態で放置される。一方のギルバードは、狂信的な信仰一家の元に引き取られ厳格な暮らしを強いられる。どちらも酷い里親なのだが、そんな中でも二人は手紙のやり取りを唯一の心の拠り所にしながら懸命に生きていく。このあたりには前作「メアリー~」における中年男と少女の文通が想起された。遠く離れた孤独な者同士が手紙によって絆を深めていくという”いじらしさ”にグッときてしまう。
やがて、グレースはピンキーという中年女性と出会い親密になっていく。彼女はかなり破天荒な人生を歩んできた女性で、若い頃はストリッパーをしていたり、キューバの革命家カストロと卓球をしたこともあると言う。どこまで本当なのか分からないが、とにかくぶっ飛んだお婆ちゃんであることは確かである。そんな彼女との交流を通してグレースの荒んだ心は徐々に癒されていく。この交流は微笑ましく観れた。
もう一つ、グレースの孤独を癒してくれるのが、幼い頃から大好きだった”かたつむり”である。当然これは臆病で内向的で殻に閉じこもって生きるグレースのメタファーとなっている。この両者の関係性はストーリー全般を通して上手く表現されていて、終盤のグレースの決断にはカタルシスを覚えた。
そして、本作はその後にもう一つサプライズが用意されている。前作は少し物悲しい終わり方だったが、それと差別化する意味もあったのかもしれない。現実を厳しく見据えた前作も良かったが、今回のような終わり方も個人的には悪くないと思った。
全体的に個々のキャラクターは活き活きと表現されているし、物語も大変ドラマチックに展開されていて、よく出来た作品だと思う。ただ、細かく見ていくと、ここは惜しいと思った点も幾つかあった。
ピンキーの最期の言葉”じゃがいも”。幼いグレースが出会う元判事のホームレス。この辺りは安易な”仕掛け”という気がしないでもない。
ピンキーの手紙も大変素晴らしい内容だと思うが、できればそれをドラマの中で見せて欲しかった。
かたつむり🐌の話かと思ってたら違った
独自固有なデザインのストップモーションアニメ。
予告を見て、てっきりかたつむり🐌を擬人化して
ストーリーを組み立てているのかと思いきや、
人間のお話だった。
主人公のグレースと双子の弟ギルバートの
生誕時に母を亡くしているとの境遇がせつない。
でも父親が素晴らしいのだけれど、突然亡くなってしまう
ことにせつなさが積み重なる。
そしてグレースはいつも自分を守ってくれていた
ギルバートとも離ればなれに。
とまあ、いいことなんて全然ない感じなのだ。
里親の元で暮らす二人にもいいことはあまり起こらず
むしろそれが悲劇になっていく。
グレースの夫の性癖、ギルバートの里親の偏見、
そしてギルバートの死の報。
どれだけこの二人を落とせば気が済むのだ、
この監督は!‥と絶望的な気持ちで鑑賞していた。
…ところが、
ラストは超ハッピーなサプライズが!!
これには思わず「えっ!?」とおもった。
グレースがやりたいこと、それは映画を撮ることで
上映会をしていたところ、そこにはギルバートがきていた
のである。
もうこれで全部救われた気持ちになったし、涙が溢れた。
グレースの友達だったお婆さんのピンキーからの
死の間際のメッセージも良かった。
グレースは救われた。
全然こんな話だと思っておらず油断して鑑賞したが、
実に滋味深い人間ドラマであった。
アダム・エリオット監督、8年かけて完成してくれて
ありがとう。次回作にも期待しています。
ピンキーおばあちゃん
ほっこりしたストップモーションの話
かと思っていたが、違っていた。
双子の姉妹が幼少期に離れ離れになり
そこからが全体的に重い人生。
出てくるキャラクターが個性的。
ピンキーおばあちゃんが良かった。
カタツムリのような内向的な二人。
幸せも辛さもたっぷり。
『人生は後ろ向きにしか理解出来ないけど
前にしか進まない』
良い言葉だ。
カタツムリのように少しずつ前に向いて
欲しい。二人の揺るぎ無い愛のお話でした。
クレイアニメの良さ
なんだよぉぉぉ
これは8年がかり。『JUNK HEAD』は7年。
プロダクションデザインも丁寧に作られているし、
監督のこだわりも相当だろうから時間がかかる。
キャラクターデザインや全体的な色味は、ちょっと『アダムスファミリー』っぽくて好き。
ベースはほのぼの姉弟愛的なものだけど、監督が大人向けと言うように、ちょいちょいブラック。すごい中指立てるし、子供に尋ねられたら返答に困りそうなエピソードもあったり。
はなればなれになっても再会を夢見るグレースとギルバートを応援するも、中盤で『ロボットドリームズ』の時も同じような気持ちになったなと、少し心が閉じかけてしまった。
しかし終盤、まさかの展開に涙腺決壊。
チクショー、不意を突かれちまった。
主人公の一人語りでお話しの9割は進行
ストップモーション・アニメーションの映画。
かなり面白かったです。
オーストラリアのアニメーションって、初めて観たと思います。
主人公の一人語りで、お話しの9割は進行していきます。
まるで主人公の自叙伝的な内容だけれど、完全なフィクションなのでしょう。
物語として、とても力があると思いました。
題名が伏線そのものになっています。
お話しの展開に悲しくなっていましたが、ハッピーエンドで、とても救われました。
前に進もうというシンプルなメッセージ
かたつむりに偏愛してしまった双子の姉の物語
母も父も亡くなり、双子の弟とは里親制度で引き離されて過ごすことになる。
生まれつきの身体的特徴で周りからはいじめられ、里親の偏った接し方にはなじまず、偏愛していたカタツムリへの愛情がドンドンと偏っていく。
この物語に登場する多くの人たちが、なにかしらの偏愛・ユニークさを持っている。
その中の特徴が溜め込む、閉じこもるという方向の人に対して、または人生の中で多くのことを失ってしまい前向きに進む気力を持てなくなった人へ「前に進もう」というシンプルなメッセージがおくられる。
ほぼラストシーン付近から物語ははじまり、自分の身の上を回想することで映画は進む。
これはラストラストの大切な人からの手紙とも重なる。
カタツムリは命を残したら、自らの命を失ってしまうそうです。連綿と続く渦巻きのように、想いやバトンをつなぐことに対して肯定的に語られる映画で、鑑賞後の味わいが良い。
1週間寝込む場面のフラッシュバックなど、刺激の強いところもあり、気に入っています。好きな映画でした。
骨の髄に染み入る映画
美術の細かさにも驚く
キモキモな映画でしたが 笑えたわ。
恋人がデブ専には 驚いた。(☆o☆)
ウインナーをバクバク食べるところから 何かあるかもとは
思ったけど (^_^;
スウィンガーも 笑ったわ キモかったけど
丁寧に作られていて 素晴らしい
心に残ったのは「老人には 接触」が必要ってとこ
以前より 実践しています。秘密ですが...(^_^;
ハグもいいよねー。
二人の出会いも 織姫彦星的で 七夕にぴったりの映画でした。
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