Flowのレビュー・感想・評価
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セリフは無くとも 伝わるモノはある
ギンツ・ジルバロディス監督が たった一人で制作した前作『Away』も 本作同様に「セリフが一切無い」作品でしたが、前作同様に本作も《観た人それぞれが「自由に」解釈し、観た人それぞれが「自由に」受け止める》事の出来る[シンプルで想像の余地の多い作品]かと思います。
【ストーリー(脚本) & 演出】
これまでの作品は全て「一人で制作していた」ジルバロディス監督が、比較的小規模ながらも[スタジオでの制作体制]を取って完成させたのが本作なのですが、全般的にはジルバロディス監督らしい作品であったと思います。
脚本や演出に関してもジルバロディス監督らしさが全面的に出ていましたが、一人で制作した前作よりも「格段に良くなっていた」と感じたのは、監督が経験を積んだからなのか それとも『スタジオ制作』で他のスタッフの意見も取り入れたからなのか。前作に対して好意的な感想を持った方なら 本作も問題なく楽しめるかと思います。
セリフがない分 ストーリーや演出は《余計なモノを削ぎ落とし 限りなくシンプルに》構成されていたと感じましたが、それ故に[説明が無い部分に対して「自分なりに考察や想像をして 自分なりに落とし所を見つけて納得する」事が苦手な方]や[分かりやすく正解が示されていないとモヤモヤしてしまう方]にとっては「何が言いたいのか分からない」と感じてしまう作品かも知れませんので、自分が上記のタイプだと自覚がある方にはオススメは致しかねます。
脚本評価★★★★☆
演出評価★★★★★
【キャスティング(配役) & 演技】
本作の物語や作品世界には[人間が居たという痕跡が残っているのみ]で 『人間』が物語に登場する事はありません。
作中に登場する『ネコ』『カピバラ』『イヌ』『キツネザル』『トリ』には それぞれ[人間が持つ内面の一部分を暗喩している]様な性格付けがなされており、またネコが住み慣れた場所を離れ 旅立つ事を決意させる『大洪水』もおそらくは[環境破壊による海面上昇]を示唆しているのかも知れません。
おそらく大人であれば「つい無意識のうちに それらの動物達の内面を推察しながら」鑑賞してしまうと思います。 また[まだ それら動物達の内面を推察出来ない子供]達は「動物達の行動自体から何かを感じ取って」楽しめる作品かと。そういう意味では《大人でも子供でも楽しめる作品である》かと思われます。
配役評価★★★★★
演技評価★★★★★
【映像 & 音楽】
動物達のCGや背景は どちらかと言うと《毛筆による水彩画のような質感》で表現されており、それがとても作品に合っていたと感じました。
また 劇中での音楽もジルバロディス監督が作曲されており、こちらも作品世界や物語にとてもマッチしていたと感じました。
映像評価★★★★☆
音楽評価★★★★☆
【総合評価】
レビュー冒頭でも書きましたが、本作はセリフやナレーションと言うモノは一切無く、また劇中での出来事や 登場する動物達に関しても説明が無い《シンプルで想像の余地の多い》作品なので、幅広い年代がシンプルに楽しめそうな一方で、それなりの人数で「作品が合わなかった」と感じる人も出してしまいそうな作風だと考えます。 万人受けするとまでは言えない[万人受け1〜2歩手前]くらいの作品かも…。
なので総合評価は「気持ち的には☆5だけど レビュー的には★4つ」と言った所で。
【補足】
短いエンドロール後に『もうワンシーンあります』が、そのワンシーンもまた「ストーリーのラストから エンドロール後のワンシーンに至る迄に何があったのか?」の説明も無いので、そこもまた自分で「あ〜だったのかな? それとも こ〜だったのかな?」とか頭を悩ませる事になるかも知れませんので、あまり考え過ぎない様にして下さいね!✨
文章がない大人の絵本
近年の映画のトレンドは大手スタジオではなくインディーズなのかもしれない。
今年のアカデミー作品賞はインディーズの「アノーラ」だったし、アニメーション賞も並み居る大手スタジオ作品を抑えて、受賞したのがインディーズの低予算作品の今作だったのだ。
もともと米アカデミー賞は大作志向が強かったのだが、近年は多様性や手作りの上質な作品に配慮する傾向を強めているように感じる。
今作品もラトビアのギンツ・ジルバロディス監督がフランスで少人数のアニメーターでオープンソースの3DCG制作ソフト、Blenderを使用して制作されたという。
内容は何らかの理由で人間がいなくなってしまった世界で家猫であったと思われる黒猫が大洪水のなか、流れてきた船で他の動物と一緒に冒険するという話。
セリフや解説は一切ないので、見たものを自分で解釈するしかない。
明らかに人間が築いた文明があり、その人間がいなくなった事、大洪水で大地が海(?)に沈んでいく事、水の中には多様な魚や動物が暮らしている事、人間が作ったものではなさそうな高く尖った山、船は方舟にも例えられそうな事、など哲学的な解釈は人それぞれに可能だ。
で、結局それぞれのシーンの意味はよくわからない。
そこは深く考えるより、大人の絵本として美しいアニメーションの世界を感じればいいのだと思う。
ただ、欧米のアニメーション作品に多いのだが、道徳的な意味が強い事や、自然を描いていて、動物たちが主人公でありながら、どこか人間からの視点のような気がしてならない部分は気になる。
無料の3DCGソフトを使っているからなのか、肝心な動物の毛並みがほぼ表現されておらず、ぬめりとしているのが気になり、最初の30分くらいが気になって仕方なかった。
正直言って、本制作前のプロトタイプのよう。
一方でハンディカメラのように縦横無尽に動くカメラアングルはアニメーションならではの気持ちよさ。
水の表現にいたっては水専門のアニメーターが専用ソフトを開発したそうで表現が美しい。
割り切って表現を捨てている部分と精緻な部分が混在していてアニメファンからすると技術面では疑問が残る。
次作では巨額の制作費が入るだろうからその利益をどう活かすのか注目したい。
猫の方舟
まさに映像体験でした
猫ちゃんや動物達が可愛いです。
台詞無いのにわかるーって思ったり
ハラハラしたり
次どうなる?って目が離せなくなります。
今までに無い映画かもって思います。
観た後に
これってこうかな?とか
どうなったかなとか
いろいろ話したくなる映画です。
これは映画館で見たもの勝ち
あのポスターあの予告編からは予想もつかない面白さ。今の時代のスクリーンにドンピシャで来る。CG、音楽、デジタルアニメーションのアウトプットとして理想的な感じ。監督、音楽もやってるのね。音楽がピッタリだったな。
最初の洪水シークエンスであっという間に取り込まれる。猫目線からの日常からの洪水。カメラが(といってもカメラではないでしょうが)地面スレスレ、水面スレスレ、そこから天を仰いだり、底なしの水中を見たり。その深さ。とにかく静かにやってくるこの世の終わりのような洪水のスケール感。怖いこと怖いこと。
そこから始まる大冒険。といっても基本的に舟に乗ってフラフラしてるだけで、ネコはネコ、サルはサル、イヌはイヌらしさを見せるのみ。ちょっと立ち寄ったところで文明の名残りはあっても人類は突然消え去ったみたいだ。おのずとノアの方舟感漂い、新しい世界の最初の4匹のように佇むヤツら。
細かい設定は生かしきれてないのかもしれないが、ネコと共に途方もない冒険に誘われた感のある演出が素晴らしかった。
ニャンコの冒険物として面白かった。ずっと同じような感じで眠くなる。
おそらく何かしらのメッセージ性があると思われる。だけど、僕はそのメッセージが何かは考えずに、ネコの冒険物として楽しんだ。何度も水に落ちてハラハラしたよ。
普段は一緒に共同生活することがない別種属の動物たちの仲間意識みたいなのが面白かった。肉食の猛獣がいなくて良かった。
僕のお気に入りは尻尾が長い猿。イロイロ集めるけど役に立ってないところがイイ。種別は分からないが公式サイトか誰かのレビューで分かるかもしれない。
カピバラは基本グーグー寝てばかり zzZ
イヌはネコになついて、他のイヌも含めてやたら吠える。ゥぅ~ワン。
ラストを覚えてないが、食い物さえなんとかなれば大丈夫だと思う。全編を通して野生動物って基本みんないつも腹ペコって思った。ぐぅ~。
あと、に鑑賞後にラトビアの位置を知る。ロシアの侵攻がいつあってもおかしくない場所やんけ。写真では風光明媚だと思った。
不思議な高揚感
があって面白く見られました。
たぶんアーティストによって愛でられたであろ黒猫。
それが増水の危機によって本能のままに生き抜こうとする姿に共感しました。
必死にもがいてもがいて、遂には水中に潜ります。
そして猫は息絶えそうに・・
そこからの救いがあって・・
そうこうするうちに共生の関係が出来たり・・
登場動物の愛らしい画のタッチに反して、猫の細かな生態の描写や他の動物の生態の端々もリアルに描かれてて好感でした。
本作はリアルといってもあくまでリアル風で、そこは微妙なバランスさで擬人化されており特質な世界観でした。とくに猫が水中に潜るなんてありえん!? が、いつの間にか自然にお話しに委ねられるようになりどんどん没入することができました。
正直、鑑賞中あの鳥や怪魚の描写にしろ少々メロウな気がしました。
主人公である猫が無条件に助けられ救われる都合の良さを感じぜざるをえなかったからです、が
つらつら考えるうちに、
偶然必然拘らず、ああいった生かされたり召されたりの繰り返しは私達の実生活にもあるわけで、、
上手く言えないが、特に岩の頂上の所なんかは全知全能の力で選別されるのを見ると、たいへん神々しいものを見させられた気がしました。
エンヤの曲(かからんけど)が似合うような不思議に高揚する作品でした。
いやー、人間がこんなの作れますか。 命であり世界じゃないですかー。...
船酔い注意!!でも、その先に広がる圧倒的な映像詩!と猫🐈⬛!
まさか映画館で船酔いするなんて…(笑)「FLOW」はその名の通り、視点も世界も常に「流れて」いて、序盤の水中パートで私はしっかりやられてしまいました。とはいえ、その酔いすら作品の一部に感じられてしまうのが、本作の不思議な力。没入感が素晴らしい。
監督はギンツ・ジルバロディスで、前作「Away」と世界観が繋がっているようにも感じられました。まず人が出てこない。そして文明の痕跡。あと動物達。さらに言えば「死」を考えさせる描写があること。作風自体、観客に自由に考えさせる、感じさせるってスタンスが引き継がれてたと思います。
登場人物は人間ではなく動物達。猫、犬、カピバラ、鳥、キツネザル…。それぞれにキャラクターが宿っていて、でもあくまでリアルな挙動を保っているのが面白い。特に猫の描写は、私が飼っているのでよく分かるのですが、凄く観察されていて、目の動きや身体の反応に感心しました。あと、キツネザルの物への執着が妙に人間臭く、とても興味深いです。
本作最大の謎は、山頂での鳥の昇天と、あの巨大なクジラ(?)の存在。鳥はただ死んだわけではなさそうで、猫も途中まで一緒に浮かんでいたことを考えると、あれは別世界への扉が開いた瞬間なのか?と思ったり。友人の「生贄説」も面白いなーと思いました。鳥の昇天後に起きる急激な水位の変化は神の怒りが収まったことの暗喩なのか、それとも祝福だったのか…。
そしてクジラ。神のような絶対的な存在のように感じました。エンドクレジット後、再び水中を泳ぐ姿を見ると、この世界の象徴のようにも思えます。水位が上がってみんなが大変な時に悠然と泳ぎ、水位が下がると打ち上げられてヘロヘロになってるクジラ…。この対比は面白いと思いました。
音楽は前作に続き壮大で美しく、映像は前作を遥かに超える完成度。特に鳥の昇天シーン、水位が急落するシーンは息を呑むほどのクオリティでした。
「FLOW」の最大の魅力は、答えを提示しないことだと思います。 観る者に自由な解釈を委ね、感情と想像力を刺激する。それはこの監督の特色なのかも知れません。今後も要注目の監督さんですね。尚、名前は覚えられん(笑)
宮沢賢治の世界-直接的な残酷=Flow
人によって好き嫌いの別れる映画です。
とても感情移入できる人もいれば、何も感じずただの凡庸と思う人もいそうです。
登場する動物たちの色合いがひと昔前のゲームソフトのようだと思いましたが、情景やその他の描写の美しさには引き込まれました。
動物、特に黒猫の描写には猫好きは思わずうなずいてしまうでしょう。
鳴き声の使い方からその仕草に至るまで、よく観察されて作られています。
ストーリーは単純で、表面的には何も考えずに鑑賞できるロードムービーですが、それだけに観る人それぞれで感じ方も異なると思います。
私は宮沢賢治の世界観から宮沢賢治の直接的な残酷さや暗部を除いた組み立てだなと感じました。
クレジット後のシーンをどのように感じるかで、この作品の評価も異なるような気がします。
主人公の黒猫は、我が家の2歳の雌猫にそっくり。
0.5点の加算ですw
ゲームの長いオープニング😅
不思議な世界
やっぱり動くアニメは気持ちいい
猫ちゃん大好きなのでスクリーン上で猫が活躍すれば自ずと点数は加算される訳で。自身でも甘点かなと考えたが思い返せばそれだけではなかった。
陸地が水没しつつある世界で一匹の黒猫が生存の為に流れてきたボートに乗り込むと次第に様々な動物がボートに集まり、冒険を繰り返しながらやがて一つの群れが形成されて行く過程を動物の擬人化をせずに台詞もなく紡いで行く。
作りが渋いやね
世界の状況や動物達の心情などに一切の説明がないので、観ているこっちが想いをはせて想像するしかない。しかしボートに乗り合わせた動物達の最初の距離感とそれが縮んで行く様子などをリアルな動物の動作でちゃんと分からせてくれるのって凄くないかい?
人懐っこいレトリーバーも猫からすればウザくてたまんない様子や敵意が無い事は認識しつつも動物としての習性が違うので仲良く出来ない様子。でも互いに少し興味はあるように見える仕草など。これ、ちゃんと動物の動作で製作者が演技をつけてるんだよな。
アニメーションは動いてなんぼ。ダイナミックな動きだけでなく、ちょっとした動作仕草にも説得力を持たせる監督の力量は確かでしょ。
惜しむらくは動物の体表がのっぺりしていて毛並みの表現などが出来ていない事。まぁ、ディズニーやピクサーが新作のために、それ用の映像表現ソフトを開発するのに比べて、こちらは既存の市販ソフトを使っているらしいので仕方なし。予算で大手とインディペンデントを比べるのは酷ってもんだ。その代わり動きに全振りしてくれているのでOK。
世界が水没している様子など『野生の島のロズ』との親和性を感じて「これって、ロズから何十年か何百年後の世界だったりして」と妄想しました。
じゃあ、ロズの島は……。
美しい映像、リアルなネコ、生きる本能
荒廃して人がいない地球に定期的?な大洪水が訪れ、ノアの方舟よろしく色々な種族の動物たちが共に船で荒波を乗り越える物語。
とにかく映像が綺麗!森や苔むした遺跡の中を黒猫が颯爽と走り抜けるシーンや海の中の魚の群れ、そして昇天シーンと最後水が引いて木が現れるシーンはほんと気持ちよかった。
何より動物たちが極力?擬人化されておらずリアルなままなのも新しく感じた。途中ん?と思うところも、いやこれだけリアルにこだわってるんだからきっと命の危険に脅かされたら猫だって海に潜るし、泳いで魚を取るにちがいない、舵を切ったら曲がるとわかったらもう一度できるに違いない、と自分に言い聞かせてしまう。あまりのリアルさに極限状態で猫がどうするか実験とかしてないよね。。とか怖い想像までしてしまったくらい。さすがにロープ引っ張るあたりからはファンタジー感じたけど。
キツネザルはきっと元々一番人間ぽい行動をとるとして、黒猫🐈⬛に弟の如く懐く白ワンコ🐕も、助けてくれたヘビクイワシ?🦅や鯨🐋を親のように慕う猫も、パタンと寝るカピバラも、目の前のうさぎに飛びつく他の犬たちの短期記憶っぷりも、動物本能そのままなんだろうなと思える。
洪水が度々起きるのであれば、きっと生物の頂点は空を飛べる鳥たちと海に生きる者たちなんだろう、そこから漏れた弱者たちが手を取る物語なのかも。そういやうさぎはどうやって生き残ったんだ。。無理でしょ。
ラトビア映画、特に何か強いメッセージがあるわけではないように感じるけど、地球の本来の姿はこれだけ自由で予測不可能で、皆が助け合って初めて生き延びることができるんだ、ということはなんか生物本能的に受け取りました。
よかったです。
すべてを想像にまかせる世界の映画
今年91本目(合計1,633本目/今月(2025年3月度)25本目)。
最初にフランス映画お得意の謎の旋律のCANAL+は登場しますが、フランス映画ではなくラトビアだそうです。それどころか、字幕はもちろん音声すら登場しないという変わった映画です。
そのため、映画のストーリー自体はある程度「動画によって」誘導はされますが、字幕も音声も(効果音も)全くないので(ある意味究極のバリアフリー?)、かなりの部分で想像にお任せというタイプの映画です。ラトビアの作品だそうですが、国の文化そのものを問われるような展開にはなりませんので(どうやら架空の国の模様)、そこは安心といったところです。
ちょっと変わった映画で、「映画館で」放映される「映画」としては対極として「ミュージカル映画」(それしかなく、かつそれ「だけ」なので、映画かというと微妙か)の対極にあるわけですが、作品からある程度の理解はできるし、逆に理解の解釈もある程度幅が出てくることは想定できるし(むしろそういう展開だからこそ、たった一つの解釈にすることは無理)、良かったなというところです。
普段見ることが少ないラトビアのアニメ作品ということで迷ったら推せるし、90分ほどと短いので、さくっとアニメ作品(かつ、ドラえもんなど大人が観るの?というような作品以外)を見たいというなら推せるといったところです。
特に採点上気になった点まではないのでフルスコアにしています。
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