Flowのレビュー・感想・評価
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美しい映像に吸い込まれていく
大洪水に見舞われた世界に迷い込んだ、一匹の猫を中心に描いたアドベンチャームービー。
動物たちの擬人化は一切なく、台詞も当然なし。大自然の中の水や風、木々の音、その中に響く動物や鳥たちの鳴き声、足音。場面により壮大な音楽が流れる映画。
主人公の猫が、洪水で流れてきた船に乗り合わせ、そこで出会う動物たちとともに様々な出来事に遭遇する形でストーリーは展開していく。
自然の猛威を美しく迫力ある映像と音響で描いており、映画館の大きなスクリーンにおいてのみ堪能できる素晴らしい作品。
動物たちそれぞれの特性や動きを忠実に再現しており、特に主人公の猫に関しては、鳴き声と細かな動きを完璧なまでに表現。
動物たちを取り巻く大自然を映した画像は圧巻、壮大でひたすら美しく描かれている。自然というものをここまで美しくスクリーンに表現したアニメーション映画はこれまでなかったのでは?と感じる。
全編にわたり映画としての造りが秀逸で、見応え十分。アニメーション映画に興味がなくとも、息を飲んで没入出来る作品。
猫好きには、特にお勧めの映画。
壮大なスケールの中にシンプルなメッセージが
㊗️アカデミー賞長編アニメーション賞。
てか、アカデミー賞授賞式で今作の存在を知った。ハリウッドのメジャー作品を抑えての受賞に正直びっくりした。突如プライオリティMAXになった。
洪水に呑まれゆく世界。水位は止まることを知らず高い山をも呑み込んでいく。
我々が知る神話や旧約聖書のエピソード、あるいは歴史的見解をデフォルメしたシーンが登場し、今作の企みが顕になっていく。
ボートに乗り合わせた1匹の猫とその他の動物たちの旅路は数百万年というスパンの地球の変遷を俯瞰するが如き壮大なものとなる。
動物たちの行動は、危機的な状況にあって互いに思い合うこと、助け合うことの大切さを謳った。愚行を繰り返す人類へのシンプルなメッセージとなった。
アニメーションの新しい地平
を観た。
だが、本作が切り拓いた未来は
エンドシーンの様な風景は描けるのだろうか?
blenderと言う建築系CGソフトを用いて
描かれたと言う本作は
CGソフトが持つオープン性と資本力をバックに
きっと広く遍くクリエイターへと届く筈である。
その時、そのクリエイターの中にはAIと言った
テクノロジーも間違いなく紛れ込んでくるからである。
つまり、これまで耕されてきた
アニメーション世界には紛れ込む余地の無かった
人間の悪意が紛れ込みやすくなる。
と言うことだ😢
それも人間の創作の一つであるだろうから
受け手がしっかりと取捨選択できれば問題ないが
できなければデマゴーグの出現を安易にする。
本作はその点では神話の様な美しさを湛えた作品であった
良き感性に働きかける良作◎
説明は要らない。
生きる意味が見えなくなったときに観たい映画
臆病な黒猫が主人公の物語。おそらく人間に飼われていた黒猫は、ある日突然襲ってきた津波により故郷を失い、1隻の船へと逃げ込む。そこでカピバラや犬、ワオキツネザル、ヘビクイワシと出会う。最初は関わりを避けていた黒猫だったが、船は流され、様々な困難が訪れる中、それぞれの動物が持つ力を活かしながら生き延びていく。
一見助け合っているように見える彼らだが、実際は自分が生きることに必死なだけ。それでも「生きたい」と願い行動することで、結果的に仲間を助けることにつながっていく。
印象的なのは、水の美しさ。流れるように進むストーリーとともに、その描写が作品の魅力を引き立てている。
この映画が伝えたいのは、「自分のために生きることの大切さ」なのだと思う。黒猫自身は大きく変わらないが、新たな仲間とともに生き抜くことで、確かに何かが生まれている。
◆こんな人におすすめ◆
「自分は無力だ」「生きる意味がわからない」と感じている人へ。生きているだけで、誰かの役に立っていることをそっと教えてくれる映画。
◆観た感想◆
どんなことがあっても、生きることを諦めたくないと思った。
予習と復習はいらないと感じた、しかし大人は鑑賞しながら考えないとい...
一生懸命な猫にハラハラする
映像はとても美しいし、動物たちの生態や特徴なんかもよく捉えてる。
動物のキャラではないからセリフがないし、人間はいた痕跡はあるけど出てはこないから何があったのかは分からないけど、それは大した問題ではない。
動物たちのやりとりに若干の無理設定は否めないものの臨場感がある。
それぞれ意外にも有能なのに犬たち...。
しかし思ってた洪水とは違っていて、ただの災害ではないのは想像に難くない。本能のままに生きようとする動物たちの目線で見る終末世界に圧倒され、水の表現が綺麗だと思うのと同時に怖さを感じた。
終盤の急激なファンタジー展開にスクリーンも気持ちもザワザワしつつ、無事でよかったひと安心、と思っていたら犬たち...。
明確なストーリーもセリフもないから、丁度いい長さかなと思う。
来週『Away』を観るのが楽しみ。
パンフレット売り切れで残念。
よかった
猫が森をさまよっていると洪水が起こる。船で他の動物と一緒になる。擬人化せず徹底的に動物らしく描いている。最後、その乗り合わせた動物たちが協力してカピパラを助けるのは動物らしくないではないかと思うのだけど、あれだけ苦労を分かち合った動物たちなら友情が生じてそうあっても不思議ではないなどと納得できなくもない。
ちょっとウトウトした。
映像美が素晴らしい
動物達の躍動感溢れるアニメーション映画
25-041
魅力的なキャラクター達によって紡がれる、普遍的なメッセージ
【イントロダクション】
ラトビア共和国出身の若手クリエイター、ギンツ・ジルバロディス監督による長編アニメーション。世界が大洪水に飲まれた世界で、流れてきたボートに乗り合わせた動物達の冒険を描く。2025年ゴールデングローブ賞アニメーション映画賞受賞。第97回アカデミー賞長編アニメ賞受賞。
【ストーリー】
森の中で自由奔放な生活を送っていた1匹の黒猫。しかし、ある日突然大洪水が森を襲い、森は海に沈んでしまう。黒猫をはじめ、森に棲息していた動物達は住処を失い、流れてきたボートに乗り合わせる形で次第に仲間が増えていく。やがて、猫達は想像を超えた冒険を繰り広げる事になる。
【感想】
全編台詞なし。アニメーション表現による動物達の仕草や機微によって、彼らの感情を表現する。製作費僅か350万ユーロ(5.5億円)、スタッフは総勢50人程という極めてインディペンデントな作品ながら、動物達のリアルな動き、大洪水によって水没した世界という世界観描写は圧巻。
また、各場面で流れる荘厳な音楽が、本来小さな冒険であるはずの彼らの旅を壮大に盛り上げている。
台詞を拝したアニメーション作品では、近年では『ロボット・ドリームズ』が記憶に新しいが、あちらは80年代ニューヨークの生活風景を犬やロボットに擬人化し、Earth, Wind&Fireの『September』をコミュニケーションツールとして用いていた。
それに対して、本作は動物達はそのまま野生を生きる動物達として描かれており、より一層攻めた作りとなっている。
物語全体の主人公は猫だが、彼と共にボートに乗ることになる犬やカピバラ、キツネザルにへビクイワシらは、皆それぞれの魅力を存分に発揮している。
猫…恐らく飼い主のものと思われる家で、自由奔放に孤独な生活を満喫している。猫らしく警戒心が強く、水が大の苦手。しかし、旅を通じて水を克服して泳げるようになり、魚を獲れるまでになる。
犬…好奇心旺盛で、誰に対しても積極的に接する懐っこい性格。仲間達と行動を共にしていたが逸れてしまい、ボートに乗り込む。
カピバラ…マイペースな自由人。しかし、猫やキツネザルをボートに乗せたりと根は優しい。
キツネザル…住処にガラクタを蒐集する事を楽しんでいたが、水没によって一部のお気に入りと共にボートに乗り込む。特に手鏡がお気に入り。
へビクイワシ…猫に魚を分け与えたり、溺れそうになった所を助けたりと、度々猫の窮地に手を差し伸べる。猫を追い詰めようとした群れのボスと対立し、右翼を負傷した事で群れから孤立、ボートに乗り込む。見事な足捌きによる操舵でボートを操る。
とにかく、この個性豊かな面々が織りなす冒険が観ていて楽しい。
私自身、現在猫を飼っており、過去に犬を飼っていた経験もある事から、動物達のリアリティある仕草の数々には思わず、「そうそう!ウチの子もそういう動きする(してた)!」と心の中で幾度となく頷いてしまい、鑑賞中は口角が上がりっぱなしだった。同時に、度々窮地に陥る猫にハラハラさせられる。
また、台詞が無いにも拘らず、彼らの仕草からは今にも声が聞こえてきそうな感覚を覚える。猫は溺れそうになった所をへビクイワシに助けられ、掴まれた状態で空を飛ぶが、その際に身を捩って暴れる姿は「放せ、放せ!」と言っているように映る。
猫を追い詰めようとする他のへビクイワシから、猫を守ろうとボスの前に立ち塞がるへビクイワシからは「やめて!乱暴しないで!」と言っているよう。
ボートが大破し、逃げ場を失った犬の仲間達を救助しようと、犬とカピバラが舵を掴んでへビクイワシに訴えるシーン。最後に賛同する猫の“ニャオ”という鳴き声は、まるで「助けてあげようよ」と言っているよう。
台詞などなくとも、本作のような豊かなアニメーション表現の前では、我々はキャラクターの行動に意味を見出し、発せられていないはずの“心の声”を聞く事が出来る。それは、監督からの観客の「想像力」や「感受性」への信頼の表れではないだろうか。
監督・脚本・音楽のギンツ・ジルバロディスをはじめ、共同脚本とプロデューサーを兼任するマティス・カジャも1990年代生まれというフレッシュさに驚く。それと同時に、若手クリエイターによるアニメーションの新時代の到来に胸が躍る。
【考察】
本作は、まるで人間の登場しない「ノアの方舟」。しかし、ノアの方舟が神の命による限られた命の救済であるのに対し、本作は猫をはじめとした動物達それぞれの「勇気」と「優しさ」によって、過酷なサバイバルに挑んでいく。
クライマックスで、猫は冒頭からずっと遠方に見えていた岩山に辿り着く。そこには既に、旅を共にしてきたへビクイワシが居り、2匹で天を見つめる。すると、水滴が宙に浮き始め、オレンジ色の無数の小さな光が、まるで宇宙かのように2匹を取り巻き、猫とへビクイワシも宙に浮かんでいく。
やがて、へビクイワシは無数の光と共に天高く昇って消えてしまう。残された猫は、再び仲間達の居るボートに合流しようと、海へ入る。
2匹を取り巻いた無数の光は、恐らくこの大洪水によって亡くなった小さな命の数々だろう。そして、へビクイワシもまた、彼らと共に天に召されてゆく。しかし、猫だけは再び地上に戻される。これは、猫にはまだやるべき事がある、示すべき勇気と優しさがあるという事ではないだろうか?
へビクイワシは、種の壁を越えて度々猫の窮地を救い、ボートを操舵して仲間達を導いてきた。それは、紛れもない利他的な行為。その美しさから、へビクイワシは天国の門を叩く事を許されたのではないかと思う。
しかし、猫はまだ優しさを学び始めたばかり。途中、仲間達に魚を分け与えたりもしたが、まだまだ猫には生きて学ばねばならない事があるのだろう。だから、天は猫を地上へと戻したのだ。
木に引っかかった船からカピバラを脱出させる為、猫が垂らしたロープを皆で引っ張る綱引きの際、犬の仲間達が近くを走り去った兎を追いかけてその場を離れていく中、犬は同族か旅の仲間かという選択を迫られる。仲間の方を一瞥しつつ、犬は決意を固めて、再びロープを引く。かつてのコミュニティを離れ、新しいコミュニティに属す事を決意したあの瞬間の表情が良い。
カピバラの脱出により、再び揃う事が出来た旅の仲間達。しかし、ヘビクイワシだけが居ない。猫は恩人を想って天を仰ぎ、1匹で駆け出す。辿り着いた先では、これまた恩人である鯨のような巨大な水性生物が、陸に打ち上げられて弱っている。しかし、猫にはどうする事も出来ない。彼の口元に歩み寄り、頭を擦り付ける(猫がする好意を示す仕草)のが精一杯。そんな猫を見つめる鯨の小さな瞳が切ない。
ラスト、水溜りに反射した自分達を見つめる猫。冒頭で1匹孤独に水溜りに映る自分を見つめていた時とは異なり、隣には犬、カピバラ、キツネザルが居る。それは、共に苦難を乗り越えた事による、種を超えた絆。互いが互いを思い合い、手を差し伸べる「優しさ」という行動の果てに得たもの。彼らは、この先の未来を共に生きていくのだろう。しかし、そこにヘビクイワシは居ない。
旅を通じて、それぞれが新しく得たものと、失ったもの。出会いと別れの混在する、切なさと希望を感じさせるラストの余韻が、鑑賞後もゆったりと続く。
「危機的状況下において最も重要なのは、他者への優しさとそれを示す勇気である」
普遍的ながら、そのメッセージの力強さに心打たれた。
【総評】
豊かなアニメーション表現と魅力的なキャラクター達によって紡がれる普遍的ながら力強さに満ちたメッセージ。私にとって宝物となる一作になった。
タイトルなし
私がアホなんだと思うけど
ヤマもオチもないがイミはある‥のか?
よかったですよ。斬新で…
映像と雰囲気はわるくはない
ラトビアの映画なんて劇場で見るのは初めてかもしれない。まあ、らしさ、みたいなものは感じなかったというか、私には分からないが。
『アウェイ』という前作はネットで見たが、昔のミストとかの洋物ゲーム風な映像と雰囲気で、ちょっと観念的な世界観だった。この映画でもそれは同じで、昇天した鳥とか、『幼年期の終わり』か、という印象。人が居ないのは、あの遺跡みたいなところから、皆昇天してしまったからなのか、とそんなことを思った。やたらと知性に溢れた鳥は、遺跡に呼ばれて昇天でもしたのか。そんな描写は無かったが。
擬人化までされてはいないが、動物物の映画に多い、やたらと訓練された賢い動物、という感じではある。監督は猫好きで犬嫌いなのか、犬だけはお頭が悪いというか、それなりの描写だった。
映像はきれいだが、最近のゲームムービーと比較してもさほど優れているということもない。『野生の島のロズ』とかを見てしまった後だと、特段優れているという風にも見えない。
あまりお金がかかっていないとか、独りで作ったとか、数人のメンバーで頑張った、的な映画が時々出てくるが、商業作品として劇場で上映するのだから、見る側としてはそんな作り手の事情に情けをかけてくれる人ばかりでもないだろう。面白ければいいのだけれど。
アカデミー賞を取ってしまったので、ちょっと身構えてしまったところもあった。上振れるか下振れるのか、見終わった後だと、まあ、こんなもんなのかな、という印象。
世界ネコ歩きとかを見ていられる猫好きなら楽しめる映画なのかもしれない。私は猫好きではないので、こんな評価。
全226件中、101~120件目を表示