Flowのレビュー・感想・評価
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予習と復習はいらないと感じた、しかし大人は鑑賞しながら考えないとい...
予習と復習はいらないと感じた、しかし大人は鑑賞しながら考えないといけなくなる。と言うか考えてしまう。集中して展開を見守る映画。
『野生の島のロズ』の様に子どもと一緒にに観ても大丈夫なのは確かで、それぞれ感じ方が異なるだろうから。
いや やっぱりバルト三国の事を知ってから観るのがいいのか?
監督の過去作は事前に見なくても良くて後でもいいが、当たり前だがやはり今作が傑作。
災害、孤立、助け合い、サバイバル、本能、差別意識、優先順位、和解がテーマで異文化の理解が重要だと感じる映画。
十分に睡眠をとって観るのがオススメ。
必ずまた観る。
一生懸命な猫にハラハラする
映像はとても美しいし、動物たちの生態や特徴なんかもよく捉えてる。
動物のキャラではないからセリフがないし、人間はいた痕跡はあるけど出てはこないから何があったのかは分からないけど、それは大した問題ではない。
動物たちのやりとりに若干の無理設定は否めないものの臨場感がある。
それぞれ意外にも有能なのに犬たち...。
しかし思ってた洪水とは違っていて、ただの災害ではないのは想像に難くない。本能のままに生きようとする動物たちの目線で見る終末世界に圧倒され、水の表現が綺麗だと思うのと同時に怖さを感じた。
終盤の急激なファンタジー展開にスクリーンも気持ちもザワザワしつつ、無事でよかったひと安心、と思っていたら犬たち...。
明確なストーリーもセリフもないから、丁度いい長さかなと思う。
来週『Away』を観るのが楽しみ。
パンフレット売り切れで残念。
よかった
猫が森をさまよっていると洪水が起こる。船で他の動物と一緒になる。擬人化せず徹底的に動物らしく描いている。最後、その乗り合わせた動物たちが協力してカピパラを助けるのは動物らしくないではないかと思うのだけど、あれだけ苦労を分かち合った動物たちなら友情が生じてそうあっても不思議ではないなどと納得できなくもない。
ちょっとウトウトした。
映像美が素晴らしい
動物達の躍動感溢れるアニメーション映画
25-041
魅力的なキャラクター達によって紡がれる、普遍的なメッセージ
【イントロダクション】
ラトビア共和国出身の若手クリエイター、ギンツ・ジルバロディス監督による長編アニメーション。世界が大洪水に飲まれた世界で、流れてきたボートに乗り合わせた動物達の冒険を描く。2025年ゴールデングローブ賞アニメーション映画賞受賞。第97回アカデミー賞長編アニメ賞受賞。
【ストーリー】
森の中で自由奔放な生活を送っていた1匹の黒猫。しかし、ある日突然大洪水が森を襲い、森は海に沈んでしまう。黒猫をはじめ、森に棲息していた動物達は住処を失い、流れてきたボートに乗り合わせる形で次第に仲間が増えていく。やがて、猫達は想像を超えた冒険を繰り広げる事になる。
【感想】
全編台詞なし。アニメーション表現による動物達の仕草や機微によって、彼らの感情を表現する。製作費僅か350万ユーロ(5.5億円)、スタッフは総勢50人程という極めてインディペンデントな作品ながら、動物達のリアルな動き、大洪水によって水没した世界という世界観描写は圧巻。
また、各場面で流れる荘厳な音楽が、本来小さな冒険であるはずの彼らの旅を壮大に盛り上げている。
台詞を拝したアニメーション作品では、近年では『ロボット・ドリームズ』が記憶に新しいが、あちらは80年代ニューヨークの生活風景を犬やロボットに擬人化し、Earth, Wind&Fireの『September』をコミュニケーションツールとして用いていた。
それに対して、本作は動物達はそのまま野生を生きる動物達として描かれており、より一層攻めた作りとなっている。
物語全体の主人公は猫だが、彼と共にボートに乗ることになる犬やカピバラ、キツネザルにへビクイワシらは、皆それぞれの魅力を存分に発揮している。
猫…恐らく飼い主のものと思われる家で、自由奔放に孤独な生活を満喫している。猫らしく警戒心が強く、水が大の苦手。しかし、旅を通じて水を克服して泳げるようになり、魚を獲れるまでになる。
犬…好奇心旺盛で、誰に対しても積極的に接する懐っこい性格。仲間達と行動を共にしていたが逸れてしまい、ボートに乗り込む。
カピバラ…マイペースな自由人。しかし、猫やキツネザルをボートに乗せたりと根は優しい。
キツネザル…住処にガラクタを蒐集する事を楽しんでいたが、水没によって一部のお気に入りと共にボートに乗り込む。特に手鏡がお気に入り。
へビクイワシ…猫に魚を分け与えたり、溺れそうになった所を助けたりと、度々猫の窮地に手を差し伸べる。猫を追い詰めようとした群れのボスと対立し、右翼を負傷した事で群れから孤立、ボートに乗り込む。見事な足捌きによる操舵でボートを操る。
とにかく、この個性豊かな面々が織りなす冒険が観ていて楽しい。
私自身、現在猫を飼っており、過去に犬を飼っていた経験もある事から、動物達のリアリティある仕草の数々には思わず、「そうそう!ウチの子もそういう動きする(してた)!」と心の中で幾度となく頷いてしまい、鑑賞中は口角が上がりっぱなしだった。同時に、度々窮地に陥る猫にハラハラさせられる。
また、台詞が無いにも拘らず、彼らの仕草からは今にも声が聞こえてきそうな感覚を覚える。猫は溺れそうになった所をへビクイワシに助けられ、掴まれた状態で空を飛ぶが、その際に身を捩って暴れる姿は「放せ、放せ!」と言っているように映る。
猫を追い詰めようとする他のへビクイワシから、猫を守ろうとボスの前に立ち塞がるへビクイワシからは「やめて!乱暴しないで!」と言っているよう。
ボートが大破し、逃げ場を失った犬の仲間達を救助しようと、犬とカピバラが舵を掴んでへビクイワシに訴えるシーン。最後に賛同する猫の“ニャオ”という鳴き声は、まるで「助けてあげようよ」と言っているよう。
台詞などなくとも、本作のような豊かなアニメーション表現の前では、我々はキャラクターの行動に意味を見出し、発せられていないはずの“心の声”を聞く事が出来る。それは、監督からの観客の「想像力」や「感受性」への信頼の表れではないだろうか。
監督・脚本・音楽のギンツ・ジルバロディスをはじめ、共同脚本とプロデューサーを兼任するマティス・カジャも1990年代生まれというフレッシュさに驚く。それと同時に、若手クリエイターによるアニメーションの新時代の到来に胸が躍る。
【考察】
本作は、まるで人間の登場しない「ノアの方舟」。しかし、ノアの方舟が神の命による限られた命の救済であるのに対し、本作は猫をはじめとした動物達それぞれの「勇気」と「優しさ」によって、過酷なサバイバルに挑んでいく。
クライマックスで、猫は冒頭からずっと遠方に見えていた岩山に辿り着く。そこには既に、旅を共にしてきたへビクイワシが居り、2匹で天を見つめる。すると、水滴が宙に浮き始め、オレンジ色の無数の小さな光が、まるで宇宙かのように2匹を取り巻き、猫とへビクイワシも宙に浮かんでいく。
やがて、へビクイワシは無数の光と共に天高く昇って消えてしまう。残された猫は、再び仲間達の居るボートに合流しようと、海へ入る。
2匹を取り巻いた無数の光は、恐らくこの大洪水によって亡くなった小さな命の数々だろう。そして、へビクイワシもまた、彼らと共に天に召されてゆく。しかし、猫だけは再び地上に戻される。これは、猫にはまだやるべき事がある、示すべき勇気と優しさがあるという事ではないだろうか?
へビクイワシは、種の壁を越えて度々猫の窮地を救い、ボートを操舵して仲間達を導いてきた。それは、紛れもない利他的な行為。その美しさから、へビクイワシは天国の門を叩く事を許されたのではないかと思う。
しかし、猫はまだ優しさを学び始めたばかり。途中、仲間達に魚を分け与えたりもしたが、まだまだ猫には生きて学ばねばならない事があるのだろう。だから、天は猫を地上へと戻したのだ。
木に引っかかった船からカピバラを脱出させる為、猫が垂らしたロープを皆で引っ張る綱引きの際、犬の仲間達が近くを走り去った兎を追いかけてその場を離れていく中、犬は同族か旅の仲間かという選択を迫られる。仲間の方を一瞥しつつ、犬は決意を固めて、再びロープを引く。かつてのコミュニティを離れ、新しいコミュニティに属す事を決意したあの瞬間の表情が良い。
カピバラの脱出により、再び揃う事が出来た旅の仲間達。しかし、ヘビクイワシだけが居ない。猫は恩人を想って天を仰ぎ、1匹で駆け出す。辿り着いた先では、これまた恩人である鯨のような巨大な水性生物が、陸に打ち上げられて弱っている。しかし、猫にはどうする事も出来ない。彼の口元に歩み寄り、頭を擦り付ける(猫がする好意を示す仕草)のが精一杯。そんな猫を見つめる鯨の小さな瞳が切ない。
ラスト、水溜りに反射した自分達を見つめる猫。冒頭で1匹孤独に水溜りに映る自分を見つめていた時とは異なり、隣には犬、カピバラ、キツネザルが居る。それは、共に苦難を乗り越えた事による、種を超えた絆。互いが互いを思い合い、手を差し伸べる「優しさ」という行動の果てに得たもの。彼らは、この先の未来を共に生きていくのだろう。しかし、そこにヘビクイワシは居ない。
旅を通じて、それぞれが新しく得たものと、失ったもの。出会いと別れの混在する、切なさと希望を感じさせるラストの余韻が、鑑賞後もゆったりと続く。
「危機的状況下において最も重要なのは、他者への優しさとそれを示す勇気である」
普遍的ながら、そのメッセージの力強さに心打たれた。
【総評】
豊かなアニメーション表現と魅力的なキャラクター達によって紡がれる普遍的ながら力強さに満ちたメッセージ。私にとって宝物となる一作になった。
タイトルなし
私がアホなんだと思うけど
ヤマもオチもないがイミはある‥のか?
よかったですよ。斬新で…
映像と雰囲気はわるくはない
ラトビアの映画なんて劇場で見るのは初めてかもしれない。まあ、らしさ、みたいなものは感じなかったというか、私には分からないが。
『アウェイ』という前作はネットで見たが、昔のミストとかの洋物ゲーム風な映像と雰囲気で、ちょっと観念的な世界観だった。この映画でもそれは同じで、昇天した鳥とか、『幼年期の終わり』か、という印象。人が居ないのは、あの遺跡みたいなところから、皆昇天してしまったからなのか、とそんなことを思った。やたらと知性に溢れた鳥は、遺跡に呼ばれて昇天でもしたのか。そんな描写は無かったが。
擬人化までされてはいないが、動物物の映画に多い、やたらと訓練された賢い動物、という感じではある。監督は猫好きで犬嫌いなのか、犬だけはお頭が悪いというか、それなりの描写だった。
映像はきれいだが、最近のゲームムービーと比較してもさほど優れているということもない。『野生の島のロズ』とかを見てしまった後だと、特段優れているという風にも見えない。
あまりお金がかかっていないとか、独りで作ったとか、数人のメンバーで頑張った、的な映画が時々出てくるが、商業作品として劇場で上映するのだから、見る側としてはそんな作り手の事情に情けをかけてくれる人ばかりでもないだろう。面白ければいいのだけれど。
アカデミー賞を取ってしまったので、ちょっと身構えてしまったところもあった。上振れるか下振れるのか、見終わった後だと、まあ、こんなもんなのかな、という印象。
世界ネコ歩きとかを見ていられる猫好きなら楽しめる映画なのかもしれない。私は猫好きではないので、こんな評価。
水は淡水? 海水? まあどっちでもいいや
手放しで褒められないが
終わった瞬間、悪くないと思ったし好きなシーンもあった。でも、スタッフは50人以下、制作費は350万ユーロ(約5.5億円)という点が無ければ大絶賛にはならなかったと思う。よくこんな低予算で、ここまでのものが、という価値観は映画にとって正しいんだろうか。観ている側が、作っている側にそこまで配慮する必要があるのだろうか。私はないと思っている。映画はその映画の中身だけで良い。
個人的に大群の鹿が駆ける所と、ラストの水面のシーンは良かった。あの振動が消えてしまった瞬間は美しいとさえ感じた。それだけを見に映画館に行っても良いと思う。
猫は水が大嫌いなはずなんだがなぁ。
3月17日(月)
我が愛しのグルミットがトム・クルーズばりのアクションを見せる「ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!」や、ドリームワークスの快作「野生の島のロズ」や、評判が良い(未見)ピクサーの「インサイド・ヘッド2」を押しのけてアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したラトビアの「Flow」。
興行側が読み違えたか、小規模公開で小さなスクリーンでしかやっていない。
TOHOシネマズ池袋スクリーン4で「Flow」を。平日昼間でも7割程度の入りだ。
黒猫が大水が出た世界で廃船?に乗り合わせた動物たちと水の上を彷徨う。動物を擬人化せずに言葉を話す事もない。
動物の鳴き声、泣き声、啼き声、哭き声、自然音と音楽のみである。
何故、大水になったのか?そこに居た形跡はあっても登場しない人間はどうなってしまったのか?説明も字幕もない。
監督の5年前の前作「Away」も同様に台詞無しの少年の話しだったらしい。ちょっと観てみたいね。
本作も監督・製作・編集・音楽の一人4役をこなしている。
登場するのが、黒猫と4種類の犬、アフリカのヘビクイワシ、南米のカピバラ、マダガスカルのワオキツネザルと生息地域が違う生き物が乗り合わせているのも意味があるのか。
ヘビクイワシは、黒猫に魚を与えようとして仲間に襲われ羽根を痛め翔べなくなってしまう。
ヘビクイワシはタカビーで上から目線、船の舵取りも自分で行う。カピバラはおおらかで我関せず、ワオキツネザルは自分の好きな物に夢中とキャラ分けもされている。
余談だが、私は動物園で動物を観るのが好きで、レッサーパンダやカピバラを観るのは大好きである。ちなみに私の写真は上野動物園で撮ったハシビロコウ。
映画は、黒猫の視点で描かれるが、犬に追われて全力疾走する時のスピード感、足元に迫り来る水に水没する恐怖感、ワシに捕まって大空から落下する浮遊感と変化を付けて映像が単調にならないようにしている。大木に引っ掛った船からの脱出はヒッチかトム・クルーズか。
本作で素晴らしいのは、鏡、ガラス、水面に映ったリフレクションの緻密な表現である。
それに対して毛並みなどはぬっペリしていて、こだわりが無い。ピクサーなら毛1本1本を緻密に描く所だろう。
オープンソフトで作られたとの事で、そこはこだわる所ではないと言う事か。
ヘビクイワシが天に召されて?水は引き、各々は地上の園に戻る。水の中にいた悠然としていたクジラのような生き物(瞼があるから魚ではない)は地面に横たわっている。
異種に施しをしようとした者は仲間から攻撃され、一緒に彷徨った異種は助け合う。
何の暗喩なのだろうか。
クレジット後の姿に、また水が来たと思うか、別の個体と思うかも含めて、考える映画なのかな。
自分としては、水が嫌いな猫が水中に潜って何匹も魚を穫るのが納得がいかなかったけど。水に落ちた猫は、慌てて必死で船に登ろうとしていた。あれが本当の猫の姿でしょう。
映像のクオリティーがスゴイ
鑑賞後にこの映画について調べてたら「Away」の監督だと知り納得。この作品も本作と同じような作風で、とても美しいアニメだった。
ラトビア出身のジルバロディス監督のインタビュー動画を見たら、流暢な英語を喋っていたので、ラトビア出身だけど英語圏のバックグラウンドもあるのかもしれない。作品が世に出たのも、クオリティーの高さはもちろん、英語で仕事ができる環境があったのかも。
アート指向の作品であり、かつ平日の上映ににも関わらず、客席がほとんど満席だったのに驚いた。口コミか、宣伝か、インフルエンサーの情報発信があったのだろうか。
水の表現を筆頭に、動物たちの動き、自然の描写など非常に美しいシーンの連続。映画を見るというよりアート鑑賞のつもりで見てもいいかも。台詞がないのでストーリーの意味や背景が若干分かりづらい。
映像だけではなく、音楽もこの監督が担当していて、これもかなり良いので、多才な人なのだなと感心した。
とにかく絵の美しさに目を奪われ、「ことば」がない分、想像力が掻き立てられる
オスカーを獲得したラトビアのアニメーション映画には人間のことば(台詞)は一切出てこない、というより、建築物など人間の痕跡はあるものの、人間という生き物が本作には登場しない。
にも関わらず、どうしても人間の社会に思いを馳せずにはいられない。
必ずしも自分の思い通りにならず、運命に流され、飲み込まれながら進んでいく人生。その中で感じる不安、孤独、絶望、友情、連帯、希望……。また、生きていく中で身につけていく知恵。
集団の排他性や弱者に対する横暴さ、独占欲などは個人の問題であると同時に国家の問題でもある。多種多様な民族の共存は現在でも様々な課題を我々に突きつけている。
そして、宗教。キリスト教的な視点ではノアの方舟やバベルの塔、そして、最後の晩餐におけるユダなどの逸話が浮かんでくるし、アミニズム的な神の存在も垣間見えるように思える。あの鳥はどう考えても「火の鳥」的であるし……。
自分のことしか考えない人間や、領土を含めて人のものを勝手に奪おうとする人間は、こんな作品を観て猛省すべきであろう。
綺麗なだけでは物足りない
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