Flowのレビュー・感想・評価
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十分な余白を考える自由
海面上昇、或いは何らかの洪水により水浸しになった世界で、流れ着いたボートに数種の動物が乗り合わせて生き抜く物語です。言葉の台詞は一切なく、動物たちはそれぞれの鳴き声を発するだけです。
まず、当たり前の事ですが、動物は人間の言葉を喋らないと言う事が、ディズニー・アニメに慣らされた頭にはこんなに新鮮に響くとは思いませんでした。また、監督の前作”Away”同様に、何らの説明も加えず余白を十分に生かした物語は観る者に様々な自由を与えてくれます。この水浸しの世界は何なのか、一体人類はどうなってしまったのか、このボートは何の象徴なのか、解釈は全て鑑賞者に委ねらるのでした。また、本作でも前作同様に、水を描く事への監督の拘りが深く伝わります。世界のアニメは確実に進歩しています。一方僕は、日本のアニメを年々観なくなっています。
浴びるように観るアニメーション
TOHO梅田で一番いいスクリーン1で上映されてたので観てきた。これは、Flowの概要を知った上で観に行くならとてもオススメ出来る映画でした。
制作費5.5億(昨今の長編アニメーション映画としては格安)で、MAXでも50人以下の人員で、フリーソフトであるblenderで全編作られているけど、実際はアドオン制作とか、かなり高度なスキルを持った人たちがメインで携わってる。
これ、もしかしたらこの映画用に作ったアドオン販売でも収益が入るのでは??とにかく、技術力の高さで、節約しまくってる。
ご参考までに、野生の島のロズは制作費80億円。あれも凄く素晴らしいアニメーション表現だった。
全編セリフ無し、字幕不要で、登場するのは極端にデフォルメされていない動物たち。特に猫の動きや表情はたまらない!可愛い、癒される。ストーリーはあるし、死を連想させる描写すら美しく描かれてて、期待通り良かったんだけど、家で見てたら寝るか飽きるかもw
なので、気になってる人は是非映画館で観て!
Strayのプレイ動画を超ハイクオリティにした、みたいな内容なんだけど、だからこそ家でなく映画館を勧める。
技術力への賞賛も込めてのアカデミー賞受賞だったのかなと思うので、ストーリー性とかを重視して観るアニメでは無いです。blenderでここまでできる!って映像を楽しみに行くならアリアリのアリ過ぎます。
これから起こるかもしれない事
1匹の猫と偶然出会った動物たちが、辿る安住の地へのアドベンチャー。と書けば・・冒険物語のようにとられるかもしれないが、本当はこれから起こるかもしれない危機的状況下の中での生き残りの物語。世界中が大洪水に覆われて、ある日ひとりぼっちになった黒猫が、その目で見た光景は主の姿がない風景と逃げ惑う動物達の姿。
猫が住む家の状況から人間は随分前に用意をして出ていった様子。そして猫(彼)がそこで愛されていた動物だったんだとわかる状況。何故彼を残していったのか?猫独特の単独行動にて、避難する時に姿がそこになくて、主は致し方なく出て行ったのかもしれない。庭には沢山の猫のオブジェ彼にとってはそこはまさしく安住の地だったはず。ところが突然現れた多分人の家で飼われていた数匹の犬の群れに追われ、逃げ惑う中で身近に大量の水が襲ってくる事を知る。見上げるくらいの大きな猫の像の上に避難した彼が見た光景は、もはや世界が水に沈みゆく姿・・・そして彼自身も、そこへ偶然流れ着いた1艘の船に水の中を泳いで辿り着いた猫。初めての仲間はカピバラだった。そこから次々と動物の仲間が乗り込んでくる。序盤で彼に食べ物を与えようとした白い鳥もある出来事から船に乗り込み。
居合わせた動物達を連れてどこかへの旅に出る事になる。
その旅の間にはいくつかの試練や出会いと別れがあり、その度に猫(彼)も自分で餌をとる事や分け与える事。それぞれが協調性やコミュニケーションを身につけていくのだが、ある日それまで旅の仲間だった白い鳥が思わぬ行動をとる事に、それを心配した猫がそこで体験する不思議な出来事で、観ている側はまずいろんな事を想像するかもしれない。
私はそこで宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思い出してしまった。
全てのセリフはなくて、日本人による吹替えもない。
聞こえてくるのはそれぞれの動物達のリアルな鳴き声だ。
監督曰くその鳴き声は、まさに生のそれぞれの動物達の鳴き声をあてているそうだ。
ただ・・・カピバラだったか、それだけはなかなか録れなくて、他の動物の鳴き声をあてていたと聞いた。(笑)そのカピバラがいい行動をするんだよ。まずこの子がいなければ、この旅の仲間達はもっともめていたかもしれない。(笑)
思わず抱きしめたくなる動物だ。
その鳴き声が本当はどういった意味を表しているのかはわからないという監督。
そりゃそうだよね・・・なんだが、でも映画を観ているとその鳴き声も上手くマッチしていて、台詞がなくても何故かこちら側には自然とまるで台詞が聞こえてくるような感じになる演出は、なかなかよくできていると思いました。そして美しい風景と音楽・・・
只・・なんか肝心の動物の絵のデザインが、背景の滑らかさと違って荒く見えているのは、これでよかったのかなどうかなと・・・。動物の毛の荒さももう少しナチュラルで描けなかったのかなって・・・。そこは少し見ていて気になりました。
でも、あの荒さはもしかしたら・・・、いや・・私の中で留めておきましょう。
あれはあれで、この映画の中で表現していることがあったのかもしれないので・・・
昨今の映画の上映時間から言えば、昭和の映画のように1時間半ほどの短い上映時間となっていて、その中にも上手くまとめられていて、あらゆるシーンでのドキドキやハラハラや時にその動物らしい行動なども見れて、クスっと笑ってしまったり猫がとる行動に、猫好きならば思わず「あるある」とうなってしまう場面もみれる。(笑)
私も好きな動物の1つであるワオキツネザルが、あんなに物に執着する性格なんてと、思わず動物園に行って確かめたくなってしまった。(笑)
意外な性格に驚くばかり・・・
でもそれを、人間自身にあてはめてみて見れば、この動物達がとる行動は我々自身の姿なのかもしれないとも思った。
この物語に出てくる猫や犬は、監督が飼っていた子達をモデルとしていると後で知ったんだが、愛情を込めて作られたこの作品には、私的には今もどこかで始まっている崩壊へのメッセージや人類への警告とも受け取れるなと思う場面を見た。
そしてこの映画では、人類のいた形跡はそこかしこにわずかに残されているのだが、肝心の人の姿がどこにも見られない事。被害にあったかもしれない人の亡骸さえ見えないのだ。
まったくもって忽然と姿を消した。
そうゆう風な地球の姿なんだよ。
そしてある時突然大量の水が、地球の割れ目に吸い込まれていく。
思わず助かった!と思い安堵するのだが、ここでこの彼らの旅はまだ終わらない。
猫(彼)がその先に見た今という風景は、本当に救いとなったのか・・・
船に乗り合わせた仲間達が再び集い、頭を摺り寄せながら仲良く辿り着いた喜びを確かめあっている様子に、見てるこちら側もホッと微笑ましくなるのだが、彼等の足元とエンドロール後に見えた海原を優雅に泳ぐ鯨の姿に、映画を観てその場を立ち去っていった観客達は、どんな風に想像して感じたんだろうかと思いました。
鯨は要所要所で猫達の前に現れます。
猫は水を怖がる子とそうでない子がいるけど、映画に出てきた黒猫は水を怖がらないタイプだった事で、無事に危機を脱出する事も水の中から泳ぐ魚を捕る事もできた。
白い鳥は何かをわかって行動していた・・・ようにも見えたし、その鳥が途中で合流しようとする犬たちに、まるで船に乗せる事を拒むシーンもある。
そこでいい行動をとるのがカピバラなんだが、(笑)
映画を観終わった時に、すぐにでもうちに来る野良猫の黒猫を抱きしめてやりたい気持ちにもなった。
今も遠い北極や南極であるいは永久凍土と言った地で、大量の氷が溶けだしているという。
すでに水に沈みそうな島々や都市があるとも聞く。
我々は普段そんな事をニュースになると注目して見ているのだが、普段の生活の中ではさほど気にする人もいないだろう。地球温暖化も加速を続けている中で、もはや手遅れ感も否めない。だが努力次第では、その加速を遅らせる事はできるかもしれない。その間に頭のいい人達が、何かいい案件を考え出してくれたら・・・
映画に描かれた彼らの物語は、人間がきっといくらかは原因なんだろうなと思う次第。
そして彼らはその犠牲者・・・となるのだが、申し訳ないと思いつつも前向きに明日に向かって、どこに辿り着くのか行方もわからない旅の中でも、それぞれが思う旅のゴール・・・
そして生きるという未来に向けて目を輝かせている姿に、こちらも勇気と元気を貰えるのである。
人間ならばこうゆう危機的状況下では、いづれ仲違いやいざこざや争いが起こり敵対する者もでるだろう。だがこの旅の仲間らを見ていると、時にそれも乗り越えなければならないんだと、それはそれほど難しくはないんだよ。なんでも受け入れる勇気があればできる事さと、そうゆう風にも思えた。きっとそうしなければこれからの未来は生き残れない。
同じ地球に生まれたものとして・・・
ラストが近づけば近づくほど、衝撃的なシーンも描かれている。
人類は何処へいったのか、何故彼等だけ生き残れたのか、他の地域にもだれか生息しているのか。別の物語として、黒猫が幸せに暮らしていたあの家の主とのエピソードも見たくなった。
そして私は、何度かほろりと涙が頬を伝うシーンもあった。
こうゆう未来が訪れないように、少しでも長く明るい未来が訪れる事を願う。
そしてこの旅の仲間達の幸せを祈りたい・・・
そこまで考えないで観れば、生き残った動物達の冒険物語なのだろうが、大人は大人として様々なメッセージ性を受け取りました。観る人によって違うかもしれないが、観た人これから観に行く人達はどう受け取りましたか。
セリフは無くとも 伝わるモノはある
ギンツ・ジルバロディス監督が たった一人で制作した前作『Away』も 本作同様に「セリフが一切無い」作品でしたが、前作同様に本作も《観た人それぞれが「自由に」解釈し、観た人それぞれが「自由に」受け止める》事の出来る[シンプルで想像の余地の多い作品]かと思います。
【ストーリー(脚本) & 演出】
これまでの作品は全て「一人で制作していた」ジルバロディス監督が、比較的小規模ながらも[スタジオでの制作体制]を取って完成させたのが本作なのですが、全般的にはジルバロディス監督らしい作品であったと思います。
脚本や演出に関してもジルバロディス監督らしさが全面的に出ていましたが、一人で制作した前作よりも「格段に良くなっていた」と感じたのは、監督が経験を積んだからなのか それとも『スタジオ制作』で他のスタッフの意見も取り入れたからなのか。前作に対して好意的な感想を持った方なら 本作も問題なく楽しめるかと思います。
セリフがない分 ストーリーや演出は《余計なモノを削ぎ落とし 限りなくシンプルに》構成されていたと感じましたが、それ故に[説明が無い部分に対して「自分なりに考察や想像をして 自分なりに落とし所を見つけて納得する」事が苦手な方]や[分かりやすく正解が示されていないとモヤモヤしてしまう方]にとっては「何が言いたいのか分からない」と感じてしまう作品かも知れませんので、自分が上記のタイプだと自覚がある方にはオススメは致しかねます。
脚本評価★★★★☆
演出評価★★★★★
【キャスティング(配役) & 演技】
本作の物語や作品世界には[人間が居たという痕跡が残っているのみ]で 『人間』が物語に登場する事はありません。
作中に登場する『ネコ』『カピバラ』『イヌ』『キツネザル』『トリ』には それぞれ[人間が持つ内面の一部分を暗喩している]様な性格付けがなされており、またネコが住み慣れた場所を離れ 旅立つ事を決意させる『大洪水』もおそらくは[環境破壊による海面上昇]を示唆しているのかも知れません。
おそらく大人であれば「つい無意識のうちに それらの動物達の内面を推察しながら」鑑賞してしまうと思います。 また[まだ それら動物達の内面を推察出来ない子供]達は「動物達の行動自体から何かを感じ取って」楽しめる作品かと。そういう意味では《大人でも子供でも楽しめる作品である》かと思われます。
配役評価★★★★★
演技評価★★★★★
【映像 & 音楽】
動物達のCGや背景は どちらかと言うと《毛筆による水彩画のような質感》で表現されており、それがとても作品に合っていたと感じました。
また 劇中での音楽もジルバロディス監督が作曲されており、こちらも作品世界や物語にとてもマッチしていたと感じました。
映像評価★★★★☆
音楽評価★★★★☆
【総合評価】
レビュー冒頭でも書きましたが、本作はセリフやナレーションと言うモノは一切無く、また劇中での出来事や 登場する動物達に関しても説明が無い《シンプルで想像の余地の多い》作品なので、幅広い年代がシンプルに楽しめそうな一方で、それなりの人数で「作品が合わなかった」と感じる人も出してしまいそうな作風だと考えます。 万人受けするとまでは言えない[万人受け1〜2歩手前]くらいの作品かも…。
なので総合評価は「気持ち的には☆5だけど レビュー的には★4つ」と言った所で。
【補足】
短いエンドロール後に『もうワンシーンあります』が、そのワンシーンもまた「ストーリーのラストから エンドロール後のワンシーンに至る迄に何があったのか?」の説明も無いので、そこもまた自分で「あ〜だったのかな? それとも こ〜だったのかな?」とか頭を悩ませる事になるかも知れませんので、あまり考え過ぎない様にして下さいね!✨
文章がない大人の絵本
近年の映画のトレンドは大手スタジオではなくインディーズなのかもしれない。
今年のアカデミー作品賞はインディーズの「アノーラ」だったし、アニメーション賞も並み居る大手スタジオ作品を抑えて、受賞したのがインディーズの低予算作品の今作だったのだ。
もともと米アカデミー賞は大作志向が強かったのだが、近年は多様性や手作りの上質な作品に配慮する傾向を強めているように感じる。
今作品もラトビアのギンツ・ジルバロディス監督がフランスで少人数のアニメーターでオープンソースの3DCG制作ソフト、Blenderを使用して制作されたという。
内容は何らかの理由で人間がいなくなってしまった世界で家猫であったと思われる黒猫が大洪水のなか、流れてきた船で他の動物と一緒に冒険するという話。
セリフや解説は一切ないので、見たものを自分で解釈するしかない。
明らかに人間が築いた文明があり、その人間がいなくなった事、大洪水で大地が海(?)に沈んでいく事、水の中には多様な魚や動物が暮らしている事、人間が作ったものではなさそうな高く尖った山、船は方舟にも例えられそうな事、など哲学的な解釈は人それぞれに可能だ。
で、結局それぞれのシーンの意味はよくわからない。
そこは深く考えるより、大人の絵本として美しいアニメーションの世界を感じればいいのだと思う。
ただ、欧米のアニメーション作品に多いのだが、道徳的な意味が強い事や、自然を描いていて、動物たちが主人公でありながら、どこか人間からの視点のような気がしてならない部分は気になる。
無料の3DCGソフトを使っているからなのか、肝心な動物の毛並みがほぼ表現されておらず、ぬめりとしているのが気になり、最初の30分くらいが気になって仕方なかった。
正直言って、本制作前のプロトタイプのよう。
一方でハンディカメラのように縦横無尽に動くカメラアングルはアニメーションならではの気持ちよさ。
水の表現にいたっては水専門のアニメーターが専用ソフトを開発したそうで表現が美しい。
割り切って表現を捨てている部分と精緻な部分が混在していてアニメファンからすると技術面では疑問が残る。
次作では巨額の制作費が入るだろうからその利益をどう活かすのか注目したい。
猫の方舟
まさに映像体験でした
猫ちゃんや動物達が可愛いです。
台詞無いのにわかるーって思ったり
ハラハラしたり
次どうなる?って目が離せなくなります。
今までに無い映画かもって思います。
観た後に
これってこうかな?とか
どうなったかなとか
いろいろ話したくなる映画です。
これは映画館で見たもの勝ち
あのポスターあの予告編からは予想もつかない面白さ。今の時代のスクリーンにドンピシャで来る。CG、音楽、デジタルアニメーションのアウトプットとして理想的な感じ。監督、音楽もやってるのね。音楽がピッタリだったな。
最初の洪水シークエンスであっという間に取り込まれる。猫目線からの日常からの洪水。カメラが(といってもカメラではないでしょうが)地面スレスレ、水面スレスレ、そこから天を仰いだり、底なしの水中を見たり。その深さ。とにかく静かにやってくるこの世の終わりのような洪水のスケール感。怖いこと怖いこと。
そこから始まる大冒険。といっても基本的に舟に乗ってフラフラしてるだけで、ネコはネコ、サルはサル、イヌはイヌらしさを見せるのみ。ちょっと立ち寄ったところで文明の名残りはあっても人類は突然消え去ったみたいだ。おのずとノアの方舟感漂い、新しい世界の最初の4匹のように佇むヤツら。
細かい設定は生かしきれてないのかもしれないが、ネコと共に途方もない冒険に誘われた感のある演出が素晴らしかった。
ニャンコの冒険物として面白かった。ずっと同じような感じで眠くなる。
おそらく何かしらのメッセージ性があると思われる。だけど、僕はそのメッセージが何かは考えずに、ネコの冒険物として楽しんだ。何度も水に落ちてハラハラしたよ。
普段は一緒に共同生活することがない別種属の動物たちの仲間意識みたいなのが面白かった。肉食の猛獣がいなくて良かった。
僕のお気に入りは尻尾が長い猿。イロイロ集めるけど役に立ってないところがイイ。種別は分からないが公式サイトか誰かのレビューで分かるかもしれない。
カピバラは基本グーグー寝てばかり zzZ
イヌはネコになついて、他のイヌも含めてやたら吠える。ゥぅ~ワン。
ラストを覚えてないが、食い物さえなんとかなれば大丈夫だと思う。全編を通して野生動物って基本みんないつも腹ペコって思った。ぐぅ~。
あと、に鑑賞後にラトビアの位置を知る。ロシアの侵攻がいつあってもおかしくない場所やんけ。写真では風光明媚だと思った。
不思議な高揚感
があって面白く見られました。
たぶんアーティストによって愛でられたであろ黒猫。
それが増水の危機によって本能のままに生き抜こうとする姿に共感しました。
必死にもがいてもがいて、遂には水中に潜ります。
そして猫は息絶えそうに・・
そこからの救いがあって・・
そうこうするうちに共生の関係が出来たり・・
登場動物の愛らしい画のタッチに反して、猫の細かな生態の描写や他の動物の生態の端々もリアルに描かれてて好感でした。
本作はリアルといってもあくまでリアル風で、そこは微妙なバランスさで擬人化されており特質な世界観でした。とくに猫が水中に潜るなんてありえん!? が、いつの間にか自然にお話しに委ねられるようになりどんどん没入することができました。
正直、鑑賞中あの鳥や怪魚の描写にしろ少々メロウな気がしました。
主人公である猫が無条件に助けられ救われる都合の良さを感じぜざるをえなかったからです、が
つらつら考えるうちに、
偶然必然拘らず、ああいった生かされたり召されたりの繰り返しは私達の実生活にもあるわけで、、
上手く言えないが、特に岩の頂上の所なんかは全知全能の力で選別されるのを見ると、たいへん神々しいものを見させられた気がしました。
エンヤの曲(かからんけど)が似合うような不思議に高揚する作品でした。
いやー、人間がこんなの作れますか。 命であり世界じゃないですかー。...
船酔い注意!!でも、その先に広がる圧倒的な映像詩!と猫🐈⬛!
まさか映画館で船酔いするなんて…(笑)「FLOW」はその名の通り、視点も世界も常に「流れて」いて、序盤の水中パートで私はしっかりやられてしまいました。とはいえ、その酔いすら作品の一部に感じられてしまうのが、本作の不思議な力。没入感が素晴らしい。
監督はギンツ・ジルバロディスで、前作「Away」と世界観が繋がっているようにも感じられました。まず人が出てこない。そして文明の痕跡。あと動物達。さらに言えば「死」を考えさせる描写があること。作風自体、観客に自由に考えさせる、感じさせるってスタンスが引き継がれてたと思います。
登場人物は人間ではなく動物達。猫、犬、カピバラ、鳥、キツネザル…。それぞれにキャラクターが宿っていて、でもあくまでリアルな挙動を保っているのが面白い。特に猫の描写は、私が飼っているのでよく分かるのですが、凄く観察されていて、目の動きや身体の反応に感心しました。あと、キツネザルの物への執着が妙に人間臭く、とても興味深いです。
本作最大の謎は、山頂での鳥の昇天と、あの巨大なクジラ(?)の存在。鳥はただ死んだわけではなさそうで、猫も途中まで一緒に浮かんでいたことを考えると、あれは別世界への扉が開いた瞬間なのか?と思ったり。友人の「生贄説」も面白いなーと思いました。鳥の昇天後に起きる急激な水位の変化は神の怒りが収まったことの暗喩なのか、それとも祝福だったのか…。
そしてクジラ。神のような絶対的な存在のように感じました。エンドクレジット後、再び水中を泳ぐ姿を見ると、この世界の象徴のようにも思えます。水位が上がってみんなが大変な時に悠然と泳ぎ、水位が下がると打ち上げられてヘロヘロになってるクジラ…。この対比は面白いと思いました。
音楽は前作に続き壮大で美しく、映像は前作を遥かに超える完成度。特に鳥の昇天シーン、水位が急落するシーンは息を呑むほどのクオリティでした。
「FLOW」の最大の魅力は、答えを提示しないことだと思います。 観る者に自由な解釈を委ね、感情と想像力を刺激する。それはこの監督の特色なのかも知れません。今後も要注目の監督さんですね。尚、名前は覚えられん(笑)
宮沢賢治の世界-直接的な残酷=Flow
人によって好き嫌いの別れる映画です。
とても感情移入できる人もいれば、何も感じずただの凡庸と思う人もいそうです。
登場する動物たちの色合いがひと昔前のゲームソフトのようだと思いましたが、情景やその他の描写の美しさには引き込まれました。
動物、特に黒猫の描写には猫好きは思わずうなずいてしまうでしょう。
鳴き声の使い方からその仕草に至るまで、よく観察されて作られています。
ストーリーは単純で、表面的には何も考えずに鑑賞できるロードムービーですが、それだけに観る人それぞれで感じ方も異なると思います。
私は宮沢賢治の世界観から宮沢賢治の直接的な残酷さや暗部を除いた組み立てだなと感じました。
クレジット後のシーンをどのように感じるかで、この作品の評価も異なるような気がします。
主人公の黒猫は、我が家の2歳の雌猫にそっくり。
0.5点の加算ですw
ゲームの長いオープニング😅
不思議な世界
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