「動物たちの営みをほのぼのと眺める」Flow おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
動物たちの営みをほのぼのと眺める
予告を目にしなかったので、どんな作品かは知りませんでしたが、アニメ作品は好きなので、早々に鑑賞を決めていた本作。公開日は時間が取れず、2日目の朝イチで鑑賞してきました。アカデミー賞の影響か、客入りはまずまずで期待の高さがうかがえます。
ストーリーは、森にいた1匹の黒猫が、突然大洪水に見舞われ、あたり一面が水に飲み込まれ、全てが水没していく中で、たまたま流れてきたボートに逃げ込み、なんとか難を逃れるが、そこに他の動物も乗り合わせることになり、種の異なる動物たちと交流していく姿を描くというもの。
主人公の黒猫を始めとする動物たちは、もちろんCGで描かれているのですが、精細なリアル指向ではなく、かといってかわいらしい擬人化指向でもありません。どちらかというと、一昔前の3DCGのゲームキャラを思わせる、作り物感ある造形です。ただし、その動きはやけにリアルで、ちょっとした目の動き、仕草、身のこなし等、細部にわたって本物っぽさを感じます。こんなアンバランスなキャラ造形が、なんだか新鮮です。登場時こそやや違和感を覚えましたが、すぐに気にならなくなり、いつの間にか愛着さえ感じるようになりました。
そんな動物たちが、種の違いやそれぞれのもつ習性により反目しあっていたものの、降りかかるピンチの中で少しずつ交流を深めていく様子が、ほのぼのと伝わってきます。これをいっさいのセリフを排除して描いている点がすばらしいです。言葉はなくとも目の動きや表情のわずかな変化から、心情を十分に察することができます。
ただ、心情を察することができても、そこに共感できるかどうかは別問題です。それぞれの動物に感情移入できないと、淡白なストーリーに退屈さを感じるかもしれません。自分は退屈だったわけではないですが、昨夜の飲み過ぎ、寝不足、花粉症のためにイマイチ集中できず、何度も瞬間寝落ちしてしまい、なかなか作品世界に浸れませんでした。
未曾有の危機を前にして、種の異なる動物たちが、少しずつ交流して理解を深めていく姿は、現在の世界情勢と重ねて、何らかのメッセージが込められているようにも感じます。しかし、そんな深読みをせず、動物たちの姿に癒しを求めるだけの方が、気楽に楽しめるような気がします。機会があれば、しっかり覚醒している時に改めて鑑賞してみたいと思います。
共感ありがとうございます。
最後の上陸地が約束の地って訳でもないですしね。
動物で面白いのが、股間を日に当ててるキツネザルや持来をしたくてたまらない(本当か?)イヌ、一本足のヘビクイワシとかの画でした。あと監督さんはよくネコを観てますね。