「頑張る大人達」レッド・ワン U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
頑張る大人達
馬鹿ばかしい話なのだ。
なのだが、最期に涙ぐむ。
…何故だ!?
サンタクロースは実在してて、イブの夜にトナカイが引くソリに乗って全世界の子供達にプレゼントを届ける。イブの夜に消費するカロリーは43000だったかな?とにかく莫大な消費カロリーなのだとか。
そのサンタが誘拐される。
このままでは、クリスマスを執行できない。
北極にあるサンタの本拠地はおおわらわだ。
…いや、どうなんだ?この物語。
サンタ達はかなりな科学力を有してて、トナカイの引くソリは音速をも超えるし、世界中にあるオモチャを実体化させるドラえもんのアイテムのような籠手まである。現代的なサンタ実在へのアプローチが凄まじい。
でも、根底に流れてるのは理念は尊い。
大人達の存在で、世界各国の政府はサンタクロースに協力していたりするのは、子供の幻想を守りたいがためだ。子供達の情緒を育みたい大人達の存在だ。
「いい子にしてればイブの夜にサンタがプレゼントを届けにきてくれる。」
この荒唐無稽なお伽話を全力で維持している大人達の存在が描かれていく。
サンタの子供達へのスタンスにも感動してしまう。
悪い子リストもサンタが作ったものではないらしい。
その悪い子リストの子供達を懲らしめようとする魔女がこれまた恐ろしく描かれてもいる。
日本で言うとナマハゲみたいなもんだろうか。
子供達はすべからく次代を作っていく者達だ。
彼や彼女達に愛を注ぐ事は、そのまんま次代に愛を注ぐ事とも同列である。
子供達を、子供達の夢を守る事は、次代の豊かさにも繋がる…のだろう。
だから、ドリフトを筆頭に大人達は一生懸命だ。
そんな大いなる愛情をこの作品から嗅ぎ取ったのかもしれない。
親子のエピソードも微笑ましくて、父親の献身には胸を打たれるものがある。子供を救う為なら躊躇なく未知の世界にも飛び込むのだ。
何も出来ないかもしれないけれど、お前を1人にはしないと飛び込むのだ。
当初のドリフトの現代への憂いとか、サンタの子供達へのリスペクトだとか、魔女の悪い子を切り捨てるやり方だとか、再三でてくる「何を選択するか」って逸話とか、終わってみたら実に重層なメッセージを含む作品で、結果いい話だった。
子供達の情緒を育む為にサンタはクリスマスイブに備える。この世界線ではクリスマスの意義はそこにあるような気がしてる。
考えてみれば世知辛い世の中だ。
ただその情緒を育む為に大人達にはやらなければならない任務がある。
あのサンタでさえ、弟に言われる。
「働け」と。
そうね。
…そこらへんは現実を突きつけられるのねw
まぁでも、こんな馬鹿ばかしい話だけれど、クリスマスのお伽話だけれど、それらに懸命に取り組む大人達はなんだか微笑ましいよね。
その目線の先には、子供達の笑顔があると思えば尚の事だよなぁ。