「スペクタクルなクリスマスにようこそ」レッド・ワン 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
スペクタクルなクリスマスにようこそ
「クリスマスを中止せざるを得ない」との字幕を観て、一瞬、心が躍ったのは私だけでしょうか。
それはともかく、サンタクロースというのは、かくも、アクティブでアクロバティックでエキサイティングであったのだろうか。「一晩で全世界にプレゼントを潜入配達するんだから、このくらいでないと」といわれても、本当に映像化してしまったら聖夜もへったくれもないw 音速を超えるトナカイさん達のなんと格好いいことか。
「北欧神話は幻想ではなく、むしろ隠されていたリアル」というのがコンセプトだったのでしょうか。サンタの国ではペンギンやら白熊なんかの動物達に加えてゴブリン・トロルといった寓話の種族も働いているあたりは、サンタの物語じゃ珍しくもないけど、我々の現実と並行させてみると、メン・イン・ブラックで観たような異世界との多様化社会のような感触を感じる。それが空想ではなく「隠されていた真実」という設定の面白さがキモの世界観なのか。だからこそ、人間社会と交わり人間様の主人公が依頼を受けて騒動を起こすストーリーが成立していると思いました。
お話の哲学は、「悪い子は許しません!」っていう敵方に対して、一方サンタは、「悔い改める心こそ清らかである」ということか。それこそがスノードロップの呪縛を解いた悔悛の力。聖夜もへったくれもないと書いたけど、その辺は神の御心に沿った教えを説かれた気がする。でもそこだけw
あとはまあ、七転八倒のアクションで意外な人物の助け船。最後にサンタ様の大活躍をご披露して、めでたしめでたし。重いテーマも鬱展開もない、サクッと痛快で「映画ってこういうのが良いんだよ」と言いたくなるポップコーン・ムービーだったと思います。うん、楽しかったです。