「最高傑作」白雪姫 洋画好きさんの映画レビュー(感想・評価)
最高傑作
ディズニー映画の中でも傑作の類に入る。
なぜ世間でこれほど低評価なのか疑問である。人それぞれ意見があるので、あくまで私個人の意見として見てもらいたい。
まず映像が大変綺麗で、メッセージ性も非常に高かった。全てのシーンがつながっており、無駄な台詞は何一つなかった。(台詞一つひとつに重みがある、後の伏線になっている)
主演のレイチェル・ゼグラーはこの作品における白雪姫のキャラクターとマッチしていたし、女王役も悪女をしっかり演じていた。
どの歌も素晴らしい楽曲で、歌を通して現代社会の問題点とそれに対して我々はどうすべきかということを伝えていた。余裕がないからこそ、自分さえ良ければいいとお互い争い合っても何の解決にならないことがよく分かった。
そして白雪姫と女王の対比が秀逸であった。
民衆を大切にし、誰に対しても優しく接する白雪姫と他人のものを全て独り占めし、権力で制圧する女王。どちらがより現代的なリーダーにふさわしいかは一目瞭然だ。
他のレビューを見て、疑問点を挙げられていた方がいらっしゃるので、私なりに考えてみた。
①白雪姫なのに、ラテン系女優が演じている。
ポリコレではないかという指摘もあるが、私は「見た目の白」ではなく、吹雪の中生まれたという「勇敢さ」を強調したいのではないかと思った。しかも吹雪の夜に生まれたから、白雪姫と名付けられたという説明もわざわざされていたので、ここは人種にこだわる必要はない。レイチェル・ゼグラーさんの歌唱力は圧巻だった。
②洗濯物を放り投げているシーン、小人に掃除をさせているシーンがある
これはそのシーンだけ切り取って考えるのではなく、その前の経緯をみるとそれほど違和感ないかと思う。
洗濯物であれば、その前のシーンで白雪姫が女王に対して意見を言い、それが否定されたことで、自分の父親の考えも否定されたと感じ、自身は召使いとしてこき使われていることに腹が立つ気持ちは分かる。そこで白雪姫が大人しく作業していると、女王に逆らわないことになるので、この作品のメッセージに反する。
小人に掃除させているところは、その前で小人たちがくだらないことで喧嘩し、そのせいで部屋が滅茶苦茶な状態になったため、原因の小人たちが掃除するのは至極真っ当なことだ。逆に白雪姫が掃除すると、なぜ何も汚していない白雪姫が掃除しなければならないのかということになる。
③小人たちがCGで不自然
小人症の俳優さんが演じられている役もあるが、原作の7人の小人たちのキャラクターに合わせるとなるとCGにしたほうがいいのではないか。
④なぜ王子様は出ない、山賊のジョナサンという設定は要らないのではないか
お姫様は王子様と結婚するものという従来の既成概念を超えた身分は違っていてもお互い思い合えるということを描きたかったのではないか。
⑤最後の女王が真っ黒になり、白雪姫が統治する国民が真っ白な結末が気持ち悪い
女王が魔法の鏡を割って自身が黒くなるのは、外面の美しさだけに固執した結果、内面は恐怖で人を支配するほど醜く、それが本人が一番気にしていた見た目に現れる結末は、個人的に岩に落とされるアニメ版よりも良いと思う。
白雪姫の統治する国民が両親のときは色とりどりだったのに、急に真っ白になっていることについては、白雪姫の心の白さを表現しているのではないかと解釈したが、ここは色々考えようがあると思う。
賛否両論様々な意見が出る作品ではあるが、私が見る限り映像が細部まで作り込まれており、制作費が高かったことも頷ける。ミュージカルシーンもとてもわくわくした。
映画館に行くと、ほぼ空席で驚いたが、おかげで他のお客さんをあまり気にせずに観ることができた。ネットの評判だけを鵜呑みにして、この作品を観に行かないというのは非常に残念だと感じる。私はこの作品がもっと高評価されるべきだと思う。
※このレビューの無断転載を固く禁じます。
追記: 皆さんの様々な感想や意見を見て、共感できる部分、できない部分それぞれありますが、こんな見方もあるんだと勉強になります。星5をつけるのはどうかという意見もあるかと思いますが、それでも私は個人の考えとして5をつけます。
ちなみに私は実写版の『白雪姫』は字幕版で見て、吹替版は見ていません。本来の英語の台詞をそのまま日本語に訳すと、くどくなるということがしばしばあります。またもとのニュアンスと微妙に変わることもあるかもしれません。そのため、私は元が英語であれば、英語で観るようにしています。その方が内容が自然に頭に入ってきます。