劇場公開日 2025年3月20日

「話はダメだが、レイチェル・ゼグラーが魅せる」白雪姫 じゅんぢさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5話はダメだが、レイチェル・ゼグラーが魅せる

2025年3月21日
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先ず言いたいのは、この映画は5〜11歳位までの女の子を対象とした低年齢層向けの作品。なので酷評しようと思えばいくらでも酷評できます。美しいヴィジュアルとレイチェル・ゼグラーの歌唱力で普通に楽しめるので、ネットのアンチの酷評は信用してはダメです。実際、ロッテントマトの観賞オーディエンスは70%以上のFRESHと高評価です。

ディズニーアニメ「白雪姫」は子どもの頃観た記憶があるが、バカバカしい女の子向けの話で「くだらない」という印象だった。でも大人になってからは制作当時の時代を考えると、アニメーションとして何とも偉大な作品であったことを思い知る。
つまり映像作品としてはめちゃくちゃ凄いが物語はつまらない、それがディズニーアニメ「白雪姫」の印象。

それがレイチェル・ゼグラーとガル・ガドットで映画化と発表され、監督はマーク・ウェブ、脚本はグレタ・ガーウィグが担当。いまハリウッドで乗りに乗ってるキャスト&スタッフではないか!バカらしい話が傑作になる可能性が出てきたと、すごく楽しみにしていた。
でも後にグレタ・ガーウィグが脚本名から外されたのはちょっと残念というか嫌な予感がした。

映画はスタートから絢爛豪華なミュージカルシーンで飛ばす飛ばす。映像は迫力満点。小さな子は恐怖を覚えるだろう。
そして何と言っても白雪姫を演じるレイチェル・ゼグラーが良い。歌唱力は抜群で、彼女がスクリーンに写るだけでその場の全てをかっさらって行くスター性。ワンダーウーマン=ガル・ガドットのスター性はすごいと思っていたが、ゼグラーと並ぶと歌唱力も演技もイマイチで、美しいだけの人にしか見えない。もしこれがマーク・ウェブの演出力だったら神業だ。
でもこれが7人の小人が出て来てからトーンダウン。小人のCGがとにかくキモく、正直モンスターだ。ハイホーなんて歌わないで早く消えて下さいと願ってしまった。なんで小人症の人を起用しなかったのか理解に苦しむ。以降のミュージカルシーンもイマイチで物語を盛り上げるどころか、盛り下げてしまうのはキャラクターの気持ちより、その場限りのとにかくミュージカルシーンにしましょうという事務的処理になってしまったからだと思う。
そして一番の問題は白雪姫の死と復活の描かれ方。これはキリスト復活がモチーフにあると思うが、ドラマとして盛り上がらない。「原作がこうだからその通りにしました」というこれもまた事務的な処理で、プロの仕事とは言えない。王子から変更した山賊団の長の存在も物語として機能してない。レイチェル・ゼグラー以外のシーンだけで見れば星2.5くらいが正直なところ。
でもレイチェル・ゼグラーのおかげでラストまで楽しく観れました。今後、彼女がどう成長して行くか楽しみです。

じゅんぢ