春をかさねてのレビュー・感想・評価
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石巻の大川地区で暮らす、子供たち目線の物語。 女子生徒が二人。どち...
石巻の大川地区で暮らす、子供たち目線の物語。
女子生徒が二人。どちらも、津波で妹を亡くし。
一方の女子(主人公)は
取材や学校など大人たちの前では優等生のような言い方をするものの、
陰ではひとり静かに泣いているような。
もう一方の女子と、徐々に温度差・溝が生じてきたり。
自宅のリビングでは、何度も取材対応があったり、大人が集ったりで
偉いね、頑張って、というような言葉を何度も浴び、そのことが当人らを追い詰めて。
内心穏やかでいられず、集中もできず
学業の成績も、以前は学年トップだったものが下降線で。
震災の話題を避けるばかりでなく、悩みを吐露できるような
近い友人が欲しかった、とか。
周囲が欲しがる言葉を出すのが一番楽だ、とか
重く刺さる言葉が多数。貴重な鑑賞体験でした。
関連する書籍 "16歳の語り部" も、しっかり読まねばと思っています。
演出の妙
まず、とても感動した。
特に前半部分の何気なくバスの中で肩に頭を預ける友人、2人が喧嘩する河原で佇む主人公の姿。
そして、ラストに主人公が頭を友人の肩に預けるシーンでとてもジーンと来てしまった。
題材がとても重いことで、監督が舞台挨拶で『センシティブな題材の為、封印も考えた』と言っていたが、そうだろう。
映画として観たときに、まず多くの人にとって悲劇的な震災が頭の中に浮かび上がる。しかし、そこに生きる人々は(当たり前だけど)同じ人間で、恋もすれば喧嘩もする。
同じく家族を失った2人の少女を通して描かれる世界は、自分自身の故郷を思い起こすようでいて、だからこそ悲劇的だ。
やや作為の部分でもたつく印象もあるけれど、それらをモノともしない演出の素晴らしさを感じました。
新作もとられているということで、次作も楽しみです。ありがとうございました。
15時38分
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