「タイトルなし」世界征服やめた まきさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
好きなラッパーの動画のコメント欄で、名前を挙げる人が多かったから…というきっかけで元々聴いていた不可思議さんの曲。
その曲がモチーフということで楽しみにしてたんですが…
曲と、私の思う不可思議さん像について解釈違いが起きて、途中で数度パニックに。
「友達が“世界征服したい”っていうなら、履歴書もスーツも捨てる(ついていく準備はできている?)」という旨のリリック。
それは自分から何かをする勇気はないけど、何かはしたい。そんなアンバランスさにジレンマを抱いているような人物を想像してました。
彼方くんは、とっくのとうにジレンマも捨ててきたみたいな、完成された世捨て人な印象。友達の世界征服に付き合おうとしてた時期はあったのかい?
居酒屋のシーンあたりから、曲と照らし合わせて観るのは諦めて、これは北村匠海くんが、「もし不可思議さんと会えたら、こんな話をして、こんな事を言ってもらいたかった」ってことを描いたのかな?と解釈しながら見てたら、不可思議さんを投影したと思って見ていた友人が、自死を彷彿とさせるシーンがあり、ここでもわたしはパニックに。
あれ???たしか不慮の事故だったよね????と、見ててめちゃくちゃ苦しくなったり。
友達の子について、彼方の「なりたかったもう一人の自分」みたいなものかとも思ってました。同じ服着てるし。仕事行ってるはずなのに手荷物ゼロだし。最初、じゃんけんの全然勝敗決まらないし。
だから、「明日は俺が死ぬ日」と言われた時、いよいよ、彼方が、なりたい自分には絶対になれないと宣告された日のように感じて、彼方くん、君もいよいよ死んでしまうのか…と。
結果的に生きててよかったけど、解決はなんっにもしてない。
解決は何にもしてないことが、話の本筋なんだとも思うが。
「この曲に救われた」と言っていた北村匠海くんの“救われた”の種類が、「背中を押された」とか、「夢を持てた」じゃなく、「諦めを肯定してもらえた」と感じ、
多感な10代の頃にその域に達してしまった人生を想うと、ファンでも何でもないが苦しくならずにはいられなかった。
この文を書いていて、自分は昔、好きな映画監督のことを理解したくて、その人の作品を立て続けに見ていたことを思い出した。
北村匠海くんのお人柄を知るにはとてもいい映画なのかもしれない。
本編にはほぼ関係ないですけど、壁を右手か左手にして歩き続けると、ホテルとかでかいビルではだいたい非常口にたどり着ける、って裏技ありませんでしたっけ???劇中にでてきた、「交差点を左に曲がり続ける」はそのメタファーなのかな。