秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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面白かったけど、アニメ版の方がいい
自分はアニメ版の「秒速五センチメートル」が好きで何回も観た人間で
何回も泣き、そして何回も考えさせられた作品でした。
今回映画を観た感想ですが、良い点はその後の結果の続きが分かり易くなってた。
悪かった点は、もう少しアニメ版のストーリーの流れに寄っても良かったかなって感じがした。
あと山崎まさよしの、例の曲も劇中歌に使うんじゃなく、アニメ版みたく全体とED曲に使って欲しかった。
補足として、やっぱりアニメ版の方が鮮明に出てたが、男は恋愛に強烈な印象が脳に残り続け、
女は恋愛が強烈でも時間が経って好きな人が出来てしまうと、そちらの方に行ってしまう現実的な部分がある。
って残酷な部分があるって事を思い知らされた。
美しい作品です
男の美学
❶相性:上。
❷時代・舞台(登場する文書やテロップや会話等の日付から):
2008年・東京の現在から幕が開き、1991年・東京、1993年・種子島、1993年・岩船とフィードバックがあり、2008年・東京に戻り、翌2009年・岩船と東京で幕を閉じる18年間の物語。
❸主な登場人物
①遠野貴樹(たかき)(松村北斗/29歳。小学・中学生:上田悠斗/11歳。高校生:青木柚/23歳):1991年の春。東京の小学5年生・貴樹は、同じクラスに転校してきた明里と出会う。親の転勤で転校が多かった2人は心を通わせていくが、卒業と同時に、明里は栃木・岩船に引っ越してしまう。離れてからも文通を重ねていた2人だが、今度は貴樹が種子島へ引っ越す。中学1年生の冬。栃木・岩舟で再会した2人は、雪の中に立つ一本の桜の木の下で、16年後の2009年3月26日〔小惑星1991EV(架空)が地球に衝突するかも知れない日〕に、この場で再会する約束をしてキスをする。その後、貴樹は鹿児島で高校時代を過ごし、東京の大学に進学。卒業後は東京のソフトウェア開発会社に勤め、2008年の現在に至る。同じ職場の水野理紗と交際中だったが、フラれる。貴樹は迷いがあり会社を辞め、元上司の紹介で科学館のプログラマーとなる。
②篠原明里(あかり)(高畑充希/33歳。小学・中学生:白山乃愛/12歳。):東京の小学校に転校して貴樹と出会う。現在は新宿の紀伊國屋書店に勤める書店員。恋人がいる。輿水美鳥と交流がある。
③種子島の高校関係
ⓐ澄田花苗(かなえ)(森七菜、23歳):貴樹に想いを寄せる種子島の高校の同級生。サーフィンが趣味。
ⓑ輿水美鳥(みどり)(宮崎あおい、39歳):花苗の姉。貴樹が通う高校の教師。明里が働く新宿紀伊國屋書店でワークショップを行っている。
ⓒ砂坂翔子(白本彩奈、22歳):花苗の親友。
④新宿・紀伊國屋書店関係
ⓐ柴田治(又吉直樹、44歳):店長。
ⓑ田村四季子(堀内敬子、53歳):先輩店員。
ⓒ大橋純透(佐藤緋美、25歳):アルバイト店員。
⑤ソフトウェア開発会社関係
ⓐ水野理紗(木竜麻生、30歳):貴樹の同僚。貴樹と交際している。
ⓑ窪田邦彦(岡部たかし、52歳):貴樹の上司。会社を辞めた貴樹に、大学時代の恩人が館長を務めている科学館の仕事を紹介する。
ⓒ金子あさみ(中田青渚、24歳):貴樹の同僚。
ⓓ戸田宗次郎(田村健太郎、38歳):貴樹の同僚。
ⓔ酒井直(戸塚純貴、32歳):貴樹の同僚。
ⓕ大野泰士(蓮見翔、27歳):貴樹の同僚。
⑥小川龍一(吉岡秀隆、54歳):科学館の館長。窪田邦彦の大学の先輩。貴樹が仕事で関わる。明里も本を届けに行く。小川館長は貴樹と明里の相談相手になり、2人の気持ちを理解するが、仲を取り持つことはしない。
❻考察
①監督の奥山由之は慶應・法学部政治学科出身だが、学生時代から映画と写真に興味を持ち、高校時代に撮った自主映画が第2回全国高校生映画コンクールでグランプリを受賞している。写真でも受賞がある。映画一家である。父親:奥山融(松竹元社長)、兄:奥山和由(映画プロデューサー)、弟:奥山大史(映画監督)(出典:Wikipedia)。
②本作(以下Ⓑと言う)は、新海誠が33歳でリリースしたアニメ『秒速5センチメートル(2007)』(以下Ⓐと言う)の実写版で、監督の奥山由之も同じ33歳。
③物語の基幹はⒶもⒷもほぼ同じだが、ベースとなったⒶは63分であるのに対し、本作Ⓑは121分で2倍の尺となっていて、Ⓐでは描かれていないオリジナル要素も多数登場する。だから、人物象に深みがあり分かり易いと言えるが、観客自身が創造する割合が少なくなったとも言える。
④中学1年生の冬、岩舟で再会した貴樹と明里は、16年後の2009年3月26日に、もう一度会おうと約束するが、その後の2人の行動がⒷではより明確になっている。
⑤社会人の貴樹には、付き合っている女性・理紗がいるが、あと一歩が踏み出せない。その理由が明里である。貴樹は、心の中で、明里のことを大切に思っていて、今も変わらない。だから2009年の約束の日に、貴樹が岩舟に行くが、明里は来なかった。
⑥一方の明里は、過去の思い出よりも、現在の出会いを重視する。だから、今の恋人を選ぶのだ。観客がそれに気づくのが、プラネタリウムのシーン。明里が観たプラネタリウムは、貴樹がプログラムしたもので貴樹が解説していた。明里はそのことを事後のチラシで知った。会おうとすれば可能だったがそうしなかった。その時点で明里にとって貴樹は過去の人だったのだ。
⑦現在の貴樹と明里は、紀伊國屋書店や科学館等で、何度もすれ違う。観客には分かっても本人同士は気づかない。観客は2人が結ばれることを期待するが、肩透かしを食らう。
⑧ラストの踏切のシーンでは、貴樹は明里に気づくのに対し、明里は貴樹に気づかない。或いは、気づいたかも知れないが無視する。
⑨貴樹の気持ちに共感する。それは、自分よりも相手の幸せを願う「男のロマン」である。「男の美学」である。それは、幾つもの名画に描かれている通りである。
ⓐ『カサブランカ(1942米)』:リック(ハンフリー・ボガート)のイルザ(イングリッド・バーグマン)に対する思い。
ⓑ『ラ・ラ・ランド(2016米)』:セブ(ライアン・ゴズリング)のミア(エマ・ストーン)に対する思い。
ⓒ『パスト ライブス 再会(2023米・韓)』:ヘソン(ユ・テオ)のノラ(グレタ・リー)にたいする思い。
⑩明里が新たな人生を歩みだしたことで、貴樹の心も開放される。貴樹も新たな人生を始めるだろう。そう信じたい。
⑪CGとVFXを活用した実写版の映像は、アニメ版に劣らぬ美しい魅力があった。
❼まとめ
①新海誠のアニメ版と、奥山由之の実写版とは、同じ世界観でも、夫々独立した要素があり、両者とも、親しみを持って味わうことが出来た。
②実写版では、主人公貴樹の「男の美学」に共感した。
❽トリビア
①秒速5センチメートル(出典:Google AIモード、MONOist)
冒頭で示される「桜の花が舞い落ちるスピードは秒速5センチメートル」は、比喩的な表現で、正しくは下記の通り。
ⓐ風がない時:「秒速1~2メートル」。雪が落ちる速さとほぼ同じ。
ⓑ秒速1.75メートルの上昇気流があれば、秒速5センチメートルになる可能性もある。
②1991年の主な出来事(❖は本作関連)
・湾岸戦争の勃発
・ソビエト連邦の崩壊
・ピナツボ火山の大噴火
・バブル経済の崩壊
・雲仙普賢岳の噴火
❖1977年に打ち上げられた無人宇宙探査機ボイジャー1号と2号が天王星と海王星を観測して恒星空間へ旅立つ
③1993年の主な出来事(❖は本作関連)
・ニューヨーク世界貿易センター爆破テロ
・EU(欧州連合)発足
・オスロ合意:イスラエルPLO
・Jリーグ開幕
・平成の米騒動
❖種子島宇宙センターでX線天文衛星あすか打ち上げ
④1994年の主な出来事
・英仏海峡トンネルの開通
・ネルソン・マンデラ氏が南アフリカ初の黒人大統領に
・松本サリン事件
・名古屋空港で中華航空機事故、264人が死亡
・円高が加速し、戦後初めて1ドル100円を突破
⑤2008年の主な出来事
・リーマン・ショックに端を発する世界的な金融危機
・四川で大地震、死亡・行方不明8万7,000人以上
・中国製食品の信頼崩壊、餃子・粉ミルクの汚染事件
・BD(ブルーレイ・ディスク)レコーダー。
・小林誠・益川敏英・南部陽一郎の3氏がノーベル物理学賞受賞
⑥2009年の主な出来事(❖は本作関連)
・バラク・オバマ氏がアメリカ初の黒人大統領に
・クライスラー破産
・政権交代:自民党から民主党に
・新型インフルエンザの流行
・桜島が爆発的噴火
❖小惑星2009 DD45が地球に接近
ヤバい、めちゃくちゃ良かった。
原作アニメも知らずに期待せず観に行ったら、ヤバい、良すぎました。★★★
映像美・空気感・文学的で詩的。
個人的には特に、高校生時代の女友達が主人公が好きなのがキュンキュン伝わる演技で最高でした。とてもみずみずしい。
また、高校時代の主人公、大人になってからの主人公、どちらの俳優さんもとても魅力的で同姓としても凄く惹かれました。
もう一度観たくなる名作でした。
比べて観るのもいい
アニメ版は好きじゃないのに
恋愛においてよく言われる、「女は上書き」「男は別フォルダ」という説。個人差はあるが総じて共感できる人が多いんじゃないかと思う。アニメ版はまさにそんな感じで、男のセンチメンタル全開で好きだった女の子のことを引きずりまくっている貴樹の姿に共感できなかった。でもどこかで貴樹のことを理解していて、切なさは感じている自分もいたりする。個人的に評価している映画ではなかったが、それでも今回実写版を観ようと思ったのは、「アット・ザ・ベンチ」の奥山由之が監督していたから。
3つのパートに分かれているのはアニメ版と同じだが、クロスオーバーさせて一つの物語として再構成した感じ。さらに大人になった2人を描くのにオリジナル要素も追加したりして。アニメ版とは違いモノローグがほとんどなくなっていることも大きい。あぁ、自分はあのモノローグがダメだったのかもと思うくらいに。こうした演出でこれだけ見え方が異なるのかと驚いた。昔好きになった女の子を忘れられずに、目の前にいる女性に向き合えない男を描いているのは同じなのに。
あれ、別の結末が待っているのか?と思ったが、そこまでの改変はしなかったということか。もしかして?なんてちょっと思ってしまった。ここらへんが男の考え方なのかもしれないな。ボイジャーとか、2人を示唆するものが提示されているのにね。でも、2人ともあの思い出を大切にしていることが伝わる感じはとてもよかった。あれで貴樹も前に進んでいける。他の人ともちゃんと向き合えるようになってほしいと願う。
本作では、2人の役を演じている俳優たちがよかったのもある。森七菜もよかった。でもそんなこともすべてひっくるめて、一番の功労者は奥山由之監督なんじゃないか。アニメ版の映像の美しさをキチンと実写化したのは奥山由之監督の手腕な気がしてならない。実写化の大成功例と言えるだろう。
新海誠臭い。
すごく忘れられない人がいるので山崎まさよしでめちゃくちゃ泣きましたが、セリフがポエムっぽい感じも度重なるすれ違いもめちゃくちゃ新海くさい。
ずっとすれ違い(物理的)にイライラしつつ、これが新海誠の良さでもあるなあと考えて見てました。
ずっと好きな相手の思い出が美化されずに呪いとして30歳まできちゃった感じがする主人公
一方でヒロインはちゃんと美しい思い出として消化できているのかなと。
最後の「全然仕事の話じゃなくてプライベートの話なんですけど」っていう喋り方が普段の松村北斗っぽくて面白かったです笑
中盤の種子島あたりはもうちょっと短い方が中弛みしなくてよかったのかなと思いました。
アニメは未履修。これから見ることもないと思うくらいしんどい。
相手も自分のこと忘れてなくてワンチャンあるんじゃないかって勝手に補正されて勝手に記憶されて行くから自分の嫌な部分を見せつけられたようで苦しかった。
長く想う人がいる方は共感できるのじゃないでしょうか
私事ですが10年ほど想う人がいます。
最後のただ会って話せたらよかったってセリフすごく共感しました。
連絡すればいいじゃんとか思うかもしれませんが、もし相手が幸せだったら邪魔したくないし、幸せでいてくれたらいいんです。
悲しいけど、出会えただけでもよかった
心の真ん中にはいつも想う人がいて
そんな感情で他の誰かといるのなら誰も傷つけない孤独を選ぶ
そんな感情がうまく描けている作品だと思います。
新海誠さんの作品はいつもモヤっと終わる作品が多く、そのあとのストーリーは個人に任せられてるような気がして感情を複雑にされますが、そこがいいところですね!
実写⇒小説⇒アニメ 桜の花の満開の下、あの時を忘れない。
2025.10.15(水)
原作本未読で観る映画もあるので、アニメ版は未見で鑑賞。前知識ゼロ。そう言えば今年、再映していたような…。
MOVIX川口で「秒速5センチメートル」を。
1991年4月
明里(白山乃愛)は、東京の小学4年の転校生。親の転勤でよく転校している。カメラはみんなの足元を映す。明里だけ規定の上履きを履いていない。隣の席の遠野貴樹(上田悠斗)がノートに書いて教えてくれる。
「上履きは駅前のよしみ屋で売っているよ」
「ありがとう」
「僕も去年は転校生だったから」
明里の顔が明るくなる。転校が多く中々友だちが出来ない二人は仲良くなる。
「大丈夫だから」貴樹は明里に声をかける。
宇宙が好きな貴樹。「貴樹は将来、宇宙飛行士になるかもね」貴樹は明里の誕生祝いに天文手帳92を送る。
六年生になった。
満開の桜の散る下を歩く二人。明里が言う。
「ねえ、秒速5センチなんだって。桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル」
1994年3月
中学に進学する時、明里は栃木に引越す事になる。「同じ中学には通えない」泣きながら電話をする明里。
半年後、明里は貴樹と天文手帳92を往復させ文通を始める。文通を続けるうちに貴樹も鹿児島に引越す事になり、引越す前に栃木・岩舟まで明里に会いに行く。
1995年3月4日
天文手帳は明里の手元にあるため、貴樹は会った時に渡そうと明里に手紙を書く。生憎の大雪で列車は遅延しまくり、途中駅の自販機で飲料を買おうとした時に手紙を落とし、風にさらわれてしまう。
岩舟駅に19:00の約束が4時間以上遅れてしまう。明里は駅の待合室で待っていた。
(小説では、アニメ版より駅を閉める駅員の対応が優しくなっている。実写版にはない)
そして、桜の樹の下で初めての口づけ。抱擁する二人。惑星1991EVが地球に衝突する予定日の2009年3月26日に同じ場所でまた会う約束をする。
翌朝、駅での別れが待っている。
貴樹は手紙を失くし口頭でも想いを伝えられない。渡そうとして待合室で書いた天文手帳92を鞄にしまう明里。「貴樹くんはきっと大丈夫、大丈夫だから」ドアの閉まる音で貴樹には聞こえない。(「望郷」のジャン・ギャバンか。小・中学生時代の二人はとても良かった。特に白山乃愛は表情が良い)
1999年種子島
高校生の貴樹(青木柚)は、担任教師澄田美鳥(宮崎あおい)の妹で同級生の澄田花苗(森七菜)と仲が良い。一緒にカブで通学している。花苗はサーフィンと貴樹の事が好きだが、いくら思っても貴樹の目は花苗を見ていない。花苗はその事をはっきりと認識してしまい涙を流す。誰にも送らないメールを打ち続ける貴樹。そしてそのメールは保存されない。
種子島から打ち上げられるロケットを二人は見送る。(森七菜は本当に高校生ぽかった。
ちなみに1998、1999年のH-Ⅱロケットの種子島からの打ち上げは失敗している)
2008年。
貴樹(松村北斗)は、新宿でSEとして働いている。会社の同僚とは馴染んでいない。同じく会社の同僚で女性社員からも浮いている生真面目な水野理沙(木竜麻生)と付き合っているが、彼女の部屋に行っても一緒にコーヒーを飲みTVを見るだけ。やはり貴樹の目は理沙を見ていない。
明里(高畑充希)は新宿の紀伊國屋書店で働いている。まもなく結婚する明里は母のいる実家に行き、押入れから貴樹との文通に使っていた天文手帳92を見つける。
貴樹は、結婚して今は新宿で働く担任教師だった美鳥(宮崎あおい)と新宿の路上で出逢う。夜、飲みに行く約束をし、美鳥は同僚の明里を誘うが、明里は急に店長(又吉直樹)に残業を頼まれ一緒に行けない。
水野と書店に行った貴樹は店頭で天文手帳08を見つける。
貴樹は行き詰まりと限界を感じて担当プロジェクトを終了させた時点で会社を辞め、水野とも別れる。
職場の先輩窪田(岡部たかし)の紹介で多摩六都科学館のプラネタリウムのプログラミングの仕事に就く。プラネタリウムの前で天文手帳09が売られている。
2009年3月26日
本(天文手帳)の納品でプラネタリウムを訪れた明里は館長(吉岡秀隆)の勧めで貴樹の生解説で星空を見上げる。(多摩六都科学館はプラネタリウムの生解説で有名。武蔵野市に住んでいた時に一度行っておけば良かった)
プラネタリウムを見終えた明里は、そこにいた子供に「桜の花の落ちるスピードは秒速5センチメートル」と教える。
「落ちるスピードは秒速5センチメートルだって。お姉さんが教えてくれた。」
子供たちの会話を聞いた貴樹は天文手帳09のポップを見て館の入口に走るが明里の姿はない。
明里は帰りのバスの中、プラネタリウムのチラシに解説:遠野貴樹の名前があるのに気付き微笑む。
その日は約束の日。貴樹は帰宅しょうとしたが新宿駅で思い直して、あの桜の樹の下へ行く。19:00に間に合ったが、明里は来なかった。
貴樹は、館長に約束の日の事を話す。館長からは、あの雪の日に来た同じ約束をした人が私は行かないと言っていた。「あの約束を忘れる位、幸せに生きていて欲しいから」と言っていたと。
貴樹は、水野を呼出し部屋を訪ねた時に借りてそのままになっていた傘を返す。
そして水野の何処が好きだったのかを告げる。面と向かって良い所を告げられたのは嬉しいが「遅いよ。でも、ありがとう。ちゃんと言ってくれて」と言い水野は貴樹の前から去る。(木竜麻生も最近活躍しているね)
貴樹は、小田急線の踏切で明里とすれ違う。
上りと下りの2本の電車が通過して行く。遮断機が上がると彼女の姿はない。貴樹は踵を返して歩き出すのである。
本作鑑賞後、調べたら本作は2007年のアニメ版「秒速5センチメートル」だけでなく、その後新海誠によって書かれた小説版、そしてコミックスも含めたトータルな「秒速5センチメートル」のリ・クリエイトである事が分かった。
62分のアニメを121分の実写にして間延びしているという評もあったが、それは違うと思う。
新海誠は、アニメ版のあとに「みんなを元気づけるために映画を作ったのに、落ち込んだと言う意見をもらった。それは自分の意図とは違うので、そこを後悔して小説版を書いた」
だから、小説版では加筆されている部分が多い。貴樹が大学に入ってから二人の女性と付き合った事、水野理沙(アニメではメールだけでほとんど登場しない)との交際する姿も描かれている。小説版では水野は同じ会社の同僚ではない。ノベルでは水野が電車に乗れない理由も。
そして、新海誠の小説はこの言葉で結ばれている。
この電車が通り過ぎたら前に進もうと、彼は心を決めた。
実写版「秒速5センチメートル」(2025)
小説版「秒速5センチメートル」新海誠
奥山由之✕松村北斗✕新海誠のスペシャル・トーク・セッション(1時間)
アニメ版「秒速5センチメートル」(2007) 2025.10.22レビュー済
「秒速5センチメートル」THE NOVEL(脚本を元にした書き下ろし)鈴木史子
実写版鑑賞後に色々な情報を入れ過ぎて自分の頭の中で少しこんがらがったかな。二人が出逢うのが小学4年だったり5年だったり、水野は会社の同僚だったり違う会社だったり、それぞれ設定が微妙に違う。
NOVELでは書店で天文手帳08見かけた貴樹は、それを手に取って購入する。
実写版では、アニメ版では手紙の文通だったものが天文手帳を使って往復で行われており、プラネタリウムやヴォイジャー等天文や宇宙に関する要素が盛り込まれている。
実写版で明里は最後に結婚してメルボルンへ行くという。東京とメルボルンは、栃木と種子島よりも遠い距離であり、本当に二人はもう会わないと言うディスタンスになる。
さらには実写版では貴樹は別れたあと水野と会って直接彼女の良い所を伝えている。
水野は二年間交際しても貴樹に1センチも近づけなかったとメールしていた。二年間楽しくないけど楽な存在として横を歩いていたのにである。
それが貴樹の方から近づいて行っている(遅かったけど)。約束の場所に行って、貴樹が変わった事を示している。
実写版では花苗の姉美鳥を結婚した書店員として東京に登場させている。(宮崎あおいは良かった)
新海誠は「全てに意図がある」と言う。
だから、アニメ版で明里がトルーマン・カポーティの「草の竪琴」を読んでいるのも、第二話が「コスモナウト」なのも意図されたものなのだろう。宇宙飛行士(コスモナウト)はどこにも出て来ないのだから。
だから、その意図を汲んで実写版で明里に「貴樹は宇宙飛行士になるかもね」というセリフを言わせている。
対談では、奥山監督と松村北斗はアニメ版をリスペクトしているし、新海誠は実写化に感謝している。新海誠は、松村北斗が屋上でたこ焼きを食べるところはアニメでは出来ない、と言っていた。たこ焼きを食べながらもの思う松村北斗の表情はアニメでは表現しきれないと。
新海誠はプラネタリウムのシーンで泣いたとそうだ。
結局、二人は中1の別れの思い出を持って生きているが、貴樹は忘れられず、明里は良い思い出として結婚して次に踏み出そうとしている。
男は女々しく、女は過去を引きずらないと言う事なのか。
やはり山崎まさよしの挿入歌「ONE MORE TIME, ONE MORE CHANCE 」は実写版でもフルコーラスで聴きたかったな。米津玄師はクレジットで良い。
不満
デジタルデータを16mmフィルムに焼き付けてザラザラした質感を出しているが、小・中・高時代の過去パートだけにして現代パートはやらなくても良かったのでは。2009年でも現在(2025年)から見れば過去なのだが。
貴樹が喫煙して教師澄田美鳥に咎められる設定は不要。貴樹と美鳥が話し合うきっかけがあれば良いだけ。
疑問
駅の別れで「手紙を書くよ。(電話も)」
と言っていたのに、二人はその後連絡を取りあわなかったのか?
おまけ
60年位前に父親に思川までフナ釣りに連れて行かれた。20cmくらいのフナが2匹と小魚が釣れた。何故思川に行ったのか、理由は分からないが随分遠い所だった記憶がある。あんなに遠くまで釣りに行ったのはあの時だけだった。岩舟は、思川の更に3駅先である。
レビューアーの方から水野が一番細かく描かれているというコミック版を勧められたが、そこまでは手が回らなかった。機会があれば読んでみたいと思う。
ボイジャーみたいな切ない恋
リアルな日常の中にある切ない恋が、言葉と美しい映像と共に描写されていて泣いた。すごく会いたかったけど会えなかったり、会う事は無かったけどお互いに想い合っていたりする哀愁が心に残った。最後は悲恋ではなくお互いに前へ進む姿で終わっていて、映画だけどこれからも人生は続いていくんだなって感慨深かった。ただの恋愛映画ではなく、あくまで人生の一片が描かれているような感じがした。
結末を知ってから観るべき。
原作アニメもネタバレも見なかった自分が思ったことは、「これは結末を知ってから観るべき」
だったなということ。
これは全てを知ってから観れば、あの世界観にどっぷりと浸れる、そんな映画でした。
各シーンに映り込む情景のどれもが切なくて淡くて、胸に溶けていくようだった。
「間」の取り方がとても素敵だった。洋画にはないあの空気感が心地よく、心を穏やかにさせる。
子役の2人もとても可愛らしく透明感があり、2人の関わりを観ているだけで笑顔が溢れた。
所々に散りばめられた楽曲もシーンを象徴していて、エンドロールの「1991」は特に心地よかった。
…ただ、クライマックス、1人で置いてけぼりになったような辛さが襲ってきた。
でも次観に行けば、今度は全てを知った上でまたあの心地よいときに浸れると思うと、もう一度映画館に足を運びたくなる。次こそは、安心してあの世界観に浸れる…!
今夜も月が綺麗ですね
せめてタイトルを変えてほしかった
ゆったりとした作品🫧
原作はかなり前に視聴済、かなり前からプロモーションがされていて気になっていた作品!
都合がついたので、早めに映画館に行けた☺️
小学生の頃の思い出を引きずっている30代男性の話という印象があり、高評価とは聞いていたもののどんな感じかとワクワク!
作品の印象は前と変わらずでしたが😂、短い原作を1本の映画にして、それも学生時代から現在までの時代を余すことなく描かれていて中身が詰まった映画に感じました。
出演する俳優さんはどなたも素晴らしく、久しぶりにみた宮崎あおいさんも変わらずお美しい!
個人的に小田急線が出てきて嬉しかったです☺️
「約束は忘れていてほしい。そんなこと思い出さないくらい楽しい人生にしていると思う。」(このような記憶)
それを聞いた貴樹君が切ない!
最後の別れ際、本を渡さない判断をした明里はなんて大人なんだ、、!別れがあることを予想していたのかな、、。
出会いがあれば別れがあり、今はもう会うことはなくてもその人には楽しく生きててほしいな、そういうことなのかなとなんとなく思いました。私も誰かに思い出されてたりするのかなとも、、そうだったら嬉しいな☺️
ファーストキスといい、松村北斗さんの演技にうっとりします。声も好き!
また映画に出られるならみたいです。
後戻りできない儚い思い出
光
青春の正体は不全感?
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