秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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切ないすれ違いの恋愛映画
優しいけど傷つきやすくて臆病な主人公が長い失恋に区切りをつける話。
主人公は臆病さ故に宇宙飛行士になりたい夢も灯里に告白することも踏み出すことができなかった。だけどそのもやもやが何時までも心を支配し続けている描写は見事だと思った。
本当に切なくて見ててしんどかった。最後に原作改変でくっついてくれないかなとも思った。
それで最後に主人公が区切りをつけるのも良かった。貴樹くんも次はいい恋愛できると思う。
ただ時系列をいじったのは良くなかったと思う。話がガチャガチャして分かりにくかった。というか物語終わるまで種子島編のヒロインが灯里と別のヒロインだって分からなかった(種子島でなんで再開したんだ?と思ってた)
追記
アニメ版見直したので追記。
新海誠の作品特に初期作品はなんともいえない詩的な美しさはあるけど、『物語』ではなかったように思う。
だからアニメ版はなんとも言えない詩的な美しさはありましたが、やはり物語としては問題だったと思います。
アニメ版の明里は恩人の貴樹の人生を滅茶苦茶にした上、自分だけはちゃっかり幸せになっている魔性の女(無自覚かつ無過失)であったように思う。
しかし、映画版ではきちんと振られてきちんと明里の本当の気持ちが貴樹に伝わって、長い間躓いていた貴樹が立ち直り前に進むことができてる。
その他、映画版では明里と貴樹の恋のやきもきに焦点が当てられていて、最後明里と再びくっつくかどうかかドキドキさせる描写は見事だったと思います。
結果、原作のディティールを生かしながらきちんと悲恋映画として描ききった事を私は評価しますし、詩的な美しさは犠牲になっていますが物語としては映画版の方が楽しいと思う。
解像度が上がった反面、、、
アニメの邪魔はしない良い仕掛けを追加して解像度が格段に上がった。松村北斗も良いキャスティングだったと思う。ああいう演技しか出来ないのかも知れないが上手くハマった感はある。
あと火球。自身も好きな人と天体観測をした時に火球に遭遇した経験があり、、、ちょっと思い出しただけ。
アニメ作品を実写化する上でどう見せるかは考えどこだっただろう。そこで回想って処理に落ち着いたのじゃないかと思う。
けど自分にはハマらなかった。この処理のせいで現実では何も起こらないストーリーになった。現実として動くことと思い出すことって大きく印象が変わる。その時感じる事と思い出して後悔する事では違う。
ここがハマらなかった。同じ時間を積み上げたかったな。
全体的にアニメ版をしっかりなぞった、悪く言うと劣化コピー。エッセンスを加えたのは良いが改変と叩かれるのを怖がった印象。何年も前の作品だし、時系列を変えたのだから違う結末を期待したのだが。
そして「One more time,One more chance」を捩じ込まなくて良いのに。あと、松村北斗の歩くシーンには鞄かリュックを持たせてやって、下手なんだから。
新たな完成形
映像も演技も奇跡的——物語が新たな深みを得た一本
想像以上に良かったです。
物語に追加された要素のおかげで、話の流れがより分かりやすく、深みも増していました。
映像もとても美しく、幻想的な桜の木、そして荘厳なロケット発射シーンは特に圧巻でした。
俳優陣は全員素晴らしかったのですが、とくに白山乃愛さんと松村北斗さんは最高でした。
森七菜さんと青木柚さんの高校時代のシーンも本当に良くて……良すぎて、言葉にできないくらい。
今年の森七菜さんは、いい役に恵まれ、それをすべて見事に演じ切っているのがすごいです。
そして、みんなが森七菜さんを褒めるのは当然なんだけれど、
その相手役としてしっかり物語を支えきった青木柚さんも本当に素晴らしい。
もう一人のヒロインである木竜麻生さんも、もちろん良かった。
アニメや小説ではあまり描かれていなかった水野理紗さんを、
血の通った“ひとりの人間”として具現化してくれていて、
「たしかにこんな人なら、貴樹くんも惹かれるよな……」と強く納得させられました。
良かったところを語ろうとすると、どうしてもネタバレになってしまうもどかしさがあるほど、
とにかく、全員が“奇跡的”に素晴らしかったです。
初恋に足を捕られて次の場所へ行けない全ての野郎共へ
今作はアニメ版と違って、きちんと《救い》が描かれている。
好きだった人を好きになった事は勿論、ずっとソレに囚われて、前へ進めなかった事も含めて、今…こうしてココに在るのは、
そのお陰と、前を向く力を与えてくれる。
とは云え、
私にとっては世代的に…
«One more time One more chance»なので、やっぱ〆はコレじゃないと!と思ってしまうのは御愛嬌🙇♂️
因みに、初めて聴いたのは、アニメ版の今作ではなく、
『月とキャベツ』にて。
森羅万象、汎ゆる事象・物事は、始まれば、、いつかは…終わると云うモノ。
有形・無形に関わらず、有機・無機に関わらず、
総てはいつか死に絶え朽ちて消えていくモノ。
始点≒終点。その繰り返しを幾星霜…何かを愛し、誰かを愛し…
だけども、何かに愛され、誰かに愛されるのは…苦手で怖い。
いつか終わりが来る…そう思うから、何も始まらなければ、何も終わらないし、何かに希望を見出さなければ、何かに絶望する事も無い。
目ぇ一杯…手を伸ばせば、その努力をすれば届いたかもしれないのに、
諦念を覚えて、虚無に生きると決めたのはいつだろう?
……私は、多分、11の時だと思う。
何故かはもう記憶に無いけれど、世界は自分を愛していない…と、強烈に思った事は分かってる。
それでも…
何だかんだ生きているんだから…
情けなくても、哀しいヤツでも、私は、まだ多分、大丈夫だと思う。
作中、両想いの二人が、運命を跳ね除け、それがまるで宿命の様に、
再会して結ばれなくて本当に良かったと思う。
両想いだから幸せになれるモンじゃない、初恋だからってときめける訳でもない。
美しいまま、素敵なまま、終わったから…
二人にとってソレが掛け替えの無い宝モノになれたのだから。
構成変更を否定はしないが…
前日にアニメ版を鑑賞。アニメ版は評価★★★★★、文句なし満点。
大きく構成を変えているが、特に前半は登場人物がよく喋るしうるさい。なんか無駄なシーンが多いような気がした。アニメ版の2008年パートは、ほぼミュージック・ビデオのパートなので、その世界観の改変に大きく戸惑った。それに対しては、後半の素晴らしい内容により多少薄れたが、やっぱりいらない。
高校生時代も小学生時代も、それぞれの演じる俳優は心情がとても上手く演じられている。
告白を決意をしたはずなのに、その言葉がでない。
手渡したい物があるのに、渡せない。
現在パートは第三者を通して二人が接近遭遇する。もどかしい。
私はこのもどかしさを通して主人公の心情を理解したので、余分な雑音はいらないと思っている。
何回見ても、、、
実は「東日本大震災」まで後2年を切っている年の話だった。
アニメ版を見ていたので、観ようかどうか迷って今日劇場で観ました。
最初は原作と違い、大人になった貴樹の状況からスタートします。
プログラマーとして働き、社内の女性と付き合ってもいる。
しかし、貴樹の心はいつもどこか違う方向を向いていて、それが彼女にも気付かれてしまっている。やがて会社も辞めて恋人とも別れた。
その貴樹の高校時代は遠く九州の種子島。
種子島の風景が非常に奇麗で実は作中で随一の見所かもしれない。
転校生の貴樹に想いを寄せる同級生の女の子がいるが、やはり貴樹の心が自分ではない他の誰かに向いてしまっていると気付いて告白できずに終わった。
更に遡り、小学生時代。
転校生だった貴樹のクラスに更に転校生の女の子がやって来て、彼は席が隣り合っていたのでその女の子・明里と仲良くなる。
次第に二人だけの特別な仲となっていくが、女の子の家庭の事情で転校となり離れ離れになってしまう。東京の貴樹と栃木県の彼女との間でしばらく文通が続いたが、今度は貴樹の家が九州の種子島へ移ることになり、もう会えなくなると感じた二人は最後の逢瀬の約束を交わした。
そして当日は関東では珍しい大雪になり、電車が遅延して二人が再会できたのは深夜の日付が変わる頃だった。
再会に涙した二人は雪の中で以前から聞いていた桜の木を見に行き、そこでファーストキスを交わした。
その思い出はやがて大人になった二人を縛り付ける。
その男性側(貴樹)と女性側(明里)の対比と、想いの昇華の顛末である。
アニメより貴樹と明里の幼少期の繋がりを示すエピソードが多いのは良。
ただし、化石の話(ハルキゲニア)とかは無くなり、変わって宇宙や隕石の話が主題となっていた。
それと、中盤の高校時代の種子島のエピソードは上映時間中のウエイトだと結構長いのだが、そちらは現代においては昇華されていない。貴樹に想いを寄せていた高校時代のクラスメートも現代では登場せずなのは残念。
それと誰も言わないが、本編2年後に「東日本大震災」が起きて日本はパニックになる。
貴樹と明里の約束した隕石衝突の日よりも本当の意味での災難はそちらだった。
(同じ3月である)
本編から数年後に海外から帰国した明里は「貴樹という名前の男の子」を出産していて、貴樹も結婚して「明里という女の子」に恵まれていた。それから数年後にそれぞれの子供の入学式で再会するエピローグはどうですか?
自分の子供にお互いの名前を付けていたことでお互いに相手の気持ちを知り、やがて二人の子供たちが叶えられなかった二人の夢を二人に代わって叶えていく。貴樹と明里の血がようやくひとつに。孫の世代まで、半世紀掛かった!長かったよ!
そんな完結編。
日常とあの頃
秒速5センチメートルの原作アニメは未視聴、
新海誠作品はいつも空が本当に綺麗で印象的なのが特徴だよね〜程度の認識で視聴。
感想として、めちゃくちゃ空の描写が綺麗。
奥山監督の成せる技であり、
それだけでこれは紛れもなく新海誠作品だと思えた。
あの頃の出来事は思い出じゃなくて日常
1番心に残った台詞
わたしにとってもあの頃は振り返る思い出ではなく、確かに日常だなと。
ただ、人生の中で「思い出の約束の為に駆け出す日」がある遠野くんの事をわたしは少し羨ましく感じた。
そんな思い出がある人も、そんなあの頃を日常にしている人も、平等に素敵だなと思った。
そして驚いたのは森七菜ちゃんの役どころ。
国宝で大人の女性を演じる彼女を見た後という事もあり
今ここまでの振り幅を演じられる女優は彼女だけなのでは無いかと思った。
ただ、共通する点として、わたしはいつも彼女に心をチクチクさせられている。人生の擬体験。映画の醍醐味を味あわせてくれる。
いつか今日のこの日も未来の日常になるのだろう。
白山乃愛
新海誠の世界が実写化でも再現されていた。
苦手だったのに
原作アニメ映画の時、絵は綺麗だなっておもったんですが、貴樹が苦手でした。
原作では、明里は彼の中で「永遠に美しい初恋の象徴」として、実在感よりも記憶の中の幻に近い存在として描かれているように見えました。
今作の場合、明里が今も“生活している”という現実を見せることで、彼女が「もう別の人生を生きている人間」と明確になりました。
そして、明里の中にも貴樹との思い出があることが描かれる。
だからこそ、貴樹の未練が“痛々しい執着”から“確かな愛の記憶”に変わってみえました。
私が大人になって優しくなれたのかも?
とは思いますが、
秒速5センチメートルという作品が改めて素晴らしいものたと思えました。
めちゃくちゃ良かった!
幼少期の2人が良かった!可愛かった!森七菜ちゃんも噂どおり本当に可愛くて切なくて泣いた〜
そして松村北斗!やっぱり良い!好き!泣かされた!居酒屋のシーンと、館長に雑談をするシーンもう一回観たいな。次はレイトショーで観たい!
二人の交わらない線に残る「余韻」。
原作のアニメは、三部構成でそれぞれ独立した作品の印象があった。本作はアニメの内容を尊重しながら、現在のおとなになった貴樹と明里を重点的に描くことで、半ば忘れていたこども時代の二人の交流の記憶を鮮やかに蘇らせているのが良い。1本の映画としてとてもまとまっており、貴樹と明里の心情も丁寧に描かれていて、二人にとってあの時代が今どんな意味を持っているのかみたいなことがよく伝わる。あの時代に置いて来てしまった大事な思いを再発見するのがテーマになっていると感じた。
小中学校時代の貴樹と明里の交際には切実さがある。二人とも孤独感を抱えていたため、相手を素直に受け入れ、お互いになくてはならない存在になっていった。貴樹は、明里がいたから自分らしくいられると思い、明里も貴樹と「好きなもの」を共有し生き生きと過ごすことができた。貴樹が転校した明里に会いに行くシーンは、なかなか動かない列車に切実さが極まっていく。再会した桜の木の前で、その美しさに感動して二人の気持ちも極まる。相手への「好き」という気持ちと、将来への期待と不安をも共有する。二人はその場で小惑星の接近に因んだある「約束」をするが、どうしようもない別れはあまりに切ない。
高校時代はアニメを踏襲しているが、あまり重要なパートにはなっていないようだ。貴樹の心情が分かりにくい。彼に好意を寄せる花苗に優しくするが、心を開かない不誠実な人物に誤解される。花苗の姉の美鳥先生が後に貴樹と再会して重要な役割を果たすので、その人物紹介という意味があるように思った。
おとなになった貴樹と明里が、近い距離にいながら会えそうで会えない場面はとても良くできている。美鳥先生と小川館長が間に入ってとても面白い展開になっていた。あの時の「約束」を意識しながら、明里は行かない、貴樹は行くという選択をした。その異なった決断について、二人の境遇や心情の違いが伝わり、アニメにはない良い結末であった。迷える貴樹は自分の進むべき道を見出し、しっかり者の明里はずっと貴樹にエールを送りながら別の道に踏み出す。こども時代からおとなの現在までが一つにつながったドラマが完成していて、とても満足感があり余韻の残る作品でした。
夜桜の散り際の如き美しさ
オリジナルとは違うドラマに
オリジナルが既に世界観が完結している作品で、実写化は非常に困難に思えた。映像的な再現性はパーフェクトに近く特に物語の中盤の鹿児島編ロケットのシーンや黄昏時の幻想的な空と雲の風景や心閉ざした貴樹に片想いしてしまう花苗のよりどころの無い感情が見事に表現されていたが、第一部の雪模様の天候の中を中学生の貴樹が明里に東京から栃木まで訪ねていく場面は、雪で遅延を繰り返し約束の時間がどんどんと過ぎて行きたどり着くどうかも分からない列車にたたずむ少年の心細い憔悴感、それはひいては少年から大人になるこの時期特有の不安定な気持ちを表現した重要なエピソードなのだが、こちらは残念ながらオリジナルには叶わない。
オリジナルは貴樹の心象風景の映画だと思う。実写化が時系列の3部構成をシャッフルして描くのはいいとしても、最後にお互いの存在を気付かせてしまう展開はルール違反だ。本来は貴樹の心の中の物語だったのが、明里の意志が明確化することでファンタジーでなく、男女の恋愛観の違いを描いた作品になってしまった。明里が貴樹との恋を「思い出でなく、今も続いている」と言ったのに、再会を拒む気持ちがよくわからない。実写版では貴樹の周辺には、彼を暖かく見守る人たちがいるのに彼の心は頑なだ。宇宙博物館の館長から明里が約束の桜の樹の下には行かないと言ったと聞いた貴樹が「何気ない会話だけでも良いから会いたかった」とさめざめと泣くのもちょっと引いたがよりを戻す気もない元カノに傘を返しに行くのも自分の気持ちを整理つけるための行動のようで情けない。終盤のプラネタリウムのボイジャー1号2号のように、貴樹と明里は起点は同じでも二度と同じ軌跡を辿らずに交わることの無いのだ。だからこそ桜吹雪の舞う踏切でしか貴樹は明里の面影を感じる事が出来ない。その時に貴樹が見せる笑みは哀しみに満ちた切ない笑顔だ。もともとそういう話なのだと思う。
男の恋後遺症の片鱗と同時に女の深層心理きっしょ
いつもどこかに、あの頃の気配を探している
アニメのストーリーをすっかり忘れていた。おかげで、思惑通りにドキドキしながら、そして二人の行く末を見届けた。あれでいいのだよ。男と女は出会いと別れを繰り返す。そしてすこしずつ人に優しくなっていくのだよ。
まるで貴樹の人生のロードムービーのよう。距離をとって人と関わらなかった人生。他人から見れば穏やかに見えて、実は他人に気を許すことなく過ごしてきた。なのに、東京や種子島や栃木やらいろんな場所で彩りのある時間を過ごしている。その時間は何かに(いやはっきりと明里に)縛られてきた人生でもあった。それは無駄だったのか、尊い宝物だったのか。貴樹に出会ったきた女性たちにとっても、その出会いは宝物か無駄か。まあ、たいていの人間はそんな例えようのない人生を過ごしてきているよ。だから、刺さるのだよ。それまで出会いががどっちだろうが、今現在の貴樹を、今現在の僕を、作り上げてきたもの。誰かが言っていた、「人生に無駄はない。それを無駄にする人がいるだけだ」と。
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