秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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男なんて本質は女々しいもんです
NHK夜ドラ「いつか、無重力の宙で」木竜麻生が第22話のラストシーンで泣きながら焼きそばを食べる姿に心を打たれていた。このドラマはかつて高校の天文部だった30歳の女友達たちが人工衛星を作り宇宙を目指す物語。そして、この映画「秒速5センチメートル」は宇宙に興味を持っていたことがきっかけで心が通いあった幼き頃の恋をずーっと引きずっているもうすぐ30歳になる松村北斗が主人公で、奇しくも今の彼女を木竜麻生(彼女は電車に乗れない「夜明けのすべて」で松村北斗と同じ病のようだ)が演じていた。「一緒にいて楽(らく)だけど楽しくはない」という2人の関係性だったのでうまくは行かなかったが、、。
山崎まさよしの「One more time One more chance」は名曲だが、そもそも男の本質なんてこの曲の歌詞のように女々しいものである。なので松村北斗は時を経て約束の地である雪の栃木に向かう。そもそも女性の方が「昔のこと」を引きずらないので高畑充希は約束の地には向かわないし、松村北斗がいるプラネタリウムにもう行くことはないだろう。森七菜も高校生の頃の失恋などはいい思い出のひとつにしていくのだろう(それにしても彼女の役は輝いていた。今年は「フロントライン」や「国宝」にも出演。助演女優賞候補いけると思う)。
映画の画像はデジタル撮影した素材を16mmフィルムに焼き直す手法で作られたとのこと。最初は画質悪いなぁとか思ったが1991年から2009年の雰囲気を醸し出すうえには効果的であり、観ているうちにだんだん美しい映画だったなぁ、と思えてきました。
プラネタリウムの館長を演じた吉岡秀隆が人は生きてる間に5万語の言葉に出会うけれど、その中で一言何か残すとしたら何をを選ぶ?と問いかける。今、答えは出ないが生きているうちに自分の残す言葉を見つけておいておこうと思った、。
原作アニメには触れずの鑑賞。 別れと出会いの必然性。繋がりを軸に、...
素晴らしい出来ながら、大人パートの追加要素に感じる蛇足感
原作アニメは視聴済み。ものすごく好き、というわけではないですが、心に残っている作品です。
本作について、キャスティングや映像、演出などについては申し分ない作品だと思っています。主演の松村北斗さんに加え、森七菜さんや白山乃愛さんはとても印象的でした。
実写化するにあたって、大人パートから過去を振り返る構成にしたのもある程度納得はできます。
ただし、追加要素については、原作の持つ大きな余白部分に懇切丁寧に模範回答をされたような印象があり、見る側の解釈の幅を受け付けないものになっています。特に大人パートで追加された、貴樹と明里の度重なるニアミスやあまりにも都合がよすぎるプラレタリウムの出来事+館長の役回りは、正直興ざめしています。
原作はあまり多くを語らずにズバッと終わることで、エグさや歪さも備えた鈍器で断ち切られるような感触が醍醐味でした。しかし、本作では印象的なエンディングより前にクライマックスともいえる出来事を挿入し、その後に丁寧な種明かしもしてくれる状態になっており、終わり方はダラダラとした印象。万人にとって誤読をしにくい構成にはなっていますが、逆に言うとウェブメイドすぎて、深くは心に刺さらない作品になってしまったと思います。
結果的に、原作のよさを再認識させる、そんな実写化作品という印象がぬぐえません。
原作を知らずにこちらを先に見ればよかったのかもしれませんね。
P.S. レビューを投稿した後、読み返して気づきましたが、原作を川村元気的手法で薄めて見やすくしてるだけの作品なんですね。映像や演出は好きなだけに、安易な物語の作り方は非常に残念です。
綺麗な映画!!
惜しい!
かつて存在した家電量販店さくらや、PHSを使うなど監督の当時の再現への拘りを感じられた一方、電光掲示板に15両と表示していたはずの宇都宮線が3両だったり、小山駅が明らかにパチものと分かる手抜きさにはがっかりした。
カボチャ電車を使う拘りがあるなら、あの小山駅両毛線ホームの無機質感や、空腹を感じて駅そばを眺める描写もきちんと再現してほしかった。架空の駅なら別にいいけど、実在するのだから。
あと、種子島パートの澄田の心の描写が弱いかな。貴樹を好きになったきっかけ、不可能に近かった高校受験を頑張った描写、何故サーフィンに拘ったのか、貴樹が自分に向いていないと悟るに至った経緯、全てが分かり辛い。
原作を知っているから脳内補正出来たけど、初見だったら澄田が一方的にフェードアウトしただけに見えたと思う。
まぁ色々書きましたが、全体的にはよく出来ていたと思いましたし、見て良かったですよ!
映画に潜んでいるメタファー
3回鑑賞しました。1回目では、映画の持つ意味を受け止めきれず翌日に2回目を。それでもまだ十分理解したように思えず、1日空けて3回目を。
どこまで自分の中で消化できたのか、理解できたのか、甚だ心許ないところですが、感じたことをここに残したいと思います。
この映画では、貴樹と明里に関するメタファー、つまり、作者からのメッセージのようなものがいくつか潜んでいるように感じられました(あらかじめ言います、間違っていたらスミマセン!)。
一つは、ボイジャー1号と2号。この2つは、遥か昔に地球から旅立ち、もう二度と交わることはなく、それぞれが果てしない旅を続けて行く、と説明されています。あの時別離し、あるいは旅立ち、どこかに向かおうとしている2人のことを表しているように思えてなりません。ただ、それは決して孤独な旅路ではないともいえそうです。それぞれ「ゴールデンレコード」を抱えているから。地球での様々な言葉などを詰め込んだ「輝かしい記憶」であり、ボイジャーが未知のものに出会う時、自分を助けてくれるもの。2人が交わした言葉、好きな景色、その時の想い、そのような「輝かしい記憶」がある限り、新しい世界でも2人はきっと大丈夫、というメッセージなのではないかと。
もう一つは、太陽と月。これは小学生の時の2人の会話から明らかですよね。劇中、月が何度も登場します。大人になった明里がベランダで月を見ているとき、電車から月を見上げるとき、貴樹のことを、自分を照らしてくれる太陽のことを、いつもぼんやり考えていたのでしょうか。そんな時、貴樹は月が空に見えているにもかかわらず、対照的に、下をみて携帯でメールを書いているのですから、まったく心は通じていませんよね(笑)。プラネタリウムで登場する「月はかたちを変えてあなたを見守っています」というポップ(書店にもあったかな?)、そのような明里の貴樹への気持ちを表しているようにも感じられます。
これらのことが明里の気持ちを本当に表しているとすれば、当初、冷たいなと感じた、貴樹に対する明里の想い、想像以上に、深く、優しく、強いものなのではないかと、ある意味では貴樹以上に想いを持ち続けているのではないかと。この映画は、決して「片思いの男の物語」などではなく、それだけ愛された「幸福な男の物語」ともいえるのではないだろうかと。
そう思えた時、自分自身でもこの映画をようやく受け止められるようになりました。
繰り返しですが、ここに記載したこと、すべて間違っているかもしれません(笑)。そのときはごめんなさい。あくまで一つの解釈としてご参考になれば、と思います。
この映画には、他のメタファー、何かのメッセージが潜まだんでいるかもしれません。皆さんも探してみてはいかがでしょうか。私もまた映画館へ探しに行ってくるつもりです。
なんかモヤモヤ
原作(映画?)未見。
主人公の考え方なのか監督のそれなのか、運命とか奇跡とかに頼りすぎ。なんも行動してへんやん言う感じで見ていてずっとモヤモヤしとった。
しかもハッピーエンドちゃうし。
アレがハッピーエンド言う人には楽しめんねやろか
俺には合わんなぁ
逆に、アニメ版の感性と情緒の突出を証明してしまった実写版、、、
期待度△鑑賞後の満足度○ 原作アニメほどは感動しなかったけれども、2時間の映画にする為の脚色に付け足し感がなく世界観を壊していないので安心した。松村北斗の上手さにも驚いた(喉仏の大きさにも驚いたが)
①私は原作アニメの『秒速5匹センチメートル』が大好きである(新海誠監督作品では一番好きだと思う)。だから実写化なんて、もし原作アニメの世界観を壊されていたらたまらない、と思って観に行く気は無かったのたけれども、目に触れる記事から(細かく読んではいないけれ立ち尽くしているど)評判が良いようなので、鑑賞する気になりました。
②喪失感から人生に立ち尽くしている主人公を松村北斗が好演している(同じに名字だからといって甘いわけではありません)。
朝ドラ『ばけばけ』で変わってしまった時代・世界に立ち尽くしている父親を演じている岡部たかしが本作に出演しているのはご愛敬(勿論たまたまでしょうけど)
原作アニメはそこまでの描写で終わっているけれども(だからやるせないような甘酸っぱいような余韻が残るのだが)、本作はそこから先の主人公が一歩踏み出すところ(新しい自分)まで描いている。
ただ、一歩を踏み出した主人公にたちまちパートナーが出来るようなあるあるの都合主義の甘い展開ではなく、また喪失感を味わうことになるビターな展開が良かった。
されど、プラネタリウムのプログラミング・アナウンスという新しい道を暗示して終わる(そして子供時代の夢に近づく)前向きなエンディングになっている(これはこれで良いと思います)。
そういう意味では、冒頭が主人公が新しい人生を踏み出すば場所を訪れるシーンから始まっているのは構成として上手い。
③高畑充希は、私が原作アニメから受けたヒロインのイメージとはちょっと違うので評価としては微妙。
④宮﨑あおいも好助演。しばらく見ない間に若くてはつらつとした女の子から落ち着いた大人の女性になっていた、という感じの驚きがあった。
ただ、主人公の高校時代の先生が、大人になったヒロインの上司だという設定は偶然が過ぎるだろうという印象。
⑤映像は確かに美しいけれども、演出の方は悪くはないが映像におんぶにダッコしているのか、特にこの監督ならではの演出の特色や味があるとかというわけではなく普通。
実写にする必要性が感じられない
嫉妬心に火が付く作品
2007年に公開された新海誠監督のアニメ作品の実写版でした。アニメの方は観ていないので比較できないのですが、アニメ版の主題歌には山崎まさよしの「One more time, One more chance」が使われていたということで、なるほど本作でも重要な劇中歌として使われていた訳ですな。
お話の方ですが、松村北斗扮する主人公・遠野貴樹の小学校時代から高校時代、そして社会人になった現在と過去のシーンを横断する”ラブ”ストーリーでした。というか、本質からいきなり外れた話をするなら、少年時代から大人になるまでずっと可愛い女の子に恋い慕われている上、高校時代の美人教師(宮﨑あおい)からも気に掛けられるなんて、全く羨ましい限りだぜ。色男ってのは本人がどう思うかなんてことは関係なく、周りの女性が放っておかないものなんだなと、作中のキャラクターに嫉妬したあたくしでした。
でも興味深かったのは、貴樹の恋愛に対するスタンスが、小学生時代を頂点に、年を経るごとに右肩下がりしていること。親の転勤の都合で小学校時代に仲が良かった明里(高畑充希)と別れたのがトラウマになったのか、それとも若くして何かを悟ってしまったのか?ただ社会人になった現在も、理沙(木竜麻生)と付き合っていたので、決して恋愛をしないと決めている訳ではないようで、だからこそ理沙につれなくする貴樹には腹が立つんだよなあ。
そしてSEとして働いていた会社を辞め、上司(岡部たかし)に紹介されたプラネタリウムの運営会社で働くことになった貴樹。結局すれ違いになったものの、明里の痕跡を見たことでかつての記憶が蘇った貴樹に去来したものは、小学生時代に置いてきた他者に対する関心だったのか?結局明里とはすれ違いのままエンディングを迎えたものの、理沙に謝罪することで再生された貴樹の未来には、きっと幸があるのでしょう。というか、本作で最も感情移入出来たキャラクターが理沙だったので、彼女にも幸があって欲しいです。
以上、終始色男に対する積年の嫉妬心を抱えたまま観た作品でしたが、それを差し引いてみると、成就しない恋愛が続く展開が実に味わい深いものではありました。
また俳優陣も、「夜明けのすべて」や「ファーストキス 1ST KISS」で好演した松村北斗が、本作でもいい演技を魅せてくれました。明里役の高畑充希も同様に上手かったですが、2人の小学校時代の子役も非常に上手く、しかも松村や高畑っぽい雰囲気を醸し出しており、その点も評価できるところでした。
そんな訳で、本作の評価は★3.8とします。
誰しも
アニメ版を観たときは正直よく分からなくて…「本当にこれを実写化するの?大丈夫かな」と少し心配していました。けれど、実際に観てみるとその不安はすぐに消えました。映像の美しさと登場人物たちの繊細な感情が丁寧に描かれていて、気づけば物語に引き込まれていました。
誰しも、過去にいろいろな出来事を抱えながら今を生きていると思います。観ながら、自分の中で特別だった出来事や、大切にしていた気持ちを自然と思い出してしまいました。
貴樹のように中学生の頃の思いをいつまでも引きずることは、現実的には少ないかもしれません。でも男女の感じ方の違いや、時間の流れの中で変わっていく気持ちの対比がとても興味深く、共感できる部分もありました。
観終わったあと、静かに心が動くような作品でした。
映像が美しかったです
現代パートからまず高校編になった時は、え?となりましたが
後半に岩舟駅のエピソ-ドを持ってきて現代に繋げた事で
貴樹の心情が、より深く共感できるものになっていました。
前へ進みだす事ができた貴樹の表情が憑き物が落ちたみたいに
晴れやかになっていて松村北斗さんの演技に感服しました。
白山乃愛ちゃんが初恋の人の理想イメ-ジにピッタリでとても
良かったですね。
映像も美しくて実写化成功だと思います。
良いリメイク
すかしててナチュラルに回りを見下していて、
鼻持ちならないけどなんか可愛い子は寄ってくるという、
村上春樹的主人公は、どっかに生息してはいるんだろうけど、
僕らはだいたい、ヒロインにバーカと言われた、
モブ小学生の立場で、あんな淡い思い出なんてないのだけど、
なんとなくノスタルジーを感じてしまうのが不思議だ。
大事な一言を失ってしまった30の男が、
昔の一番美しい思い出に、
たったひとつでいいから言葉をかけてほしいと願うのは、
今作ならではの素敵なテーマだと思った。
別に再会して結婚したいとかじゃないんだよね。分かる分かる。
でも本来それはかなわないもので、
やっぱり自分で見付けないといけないものだけど、
今作救済措置として、人づてにその言葉をいただいて救われる形になっている。
そこがなんか安易でもったいないなと。それさえなければ満点だった。
あとアニメだと途中からヒロインに別の男をあてがっているけど、
今作はそんな気配ださずにいきなり歩道橋で露見させたから、
変にギャグっぽくなっていて、いらないシーンに思えた。
間をとってほしいところでさくさく先を急いだり、
盛り上がるシーンで(原作のBGMかかるとことか)
イマイチ盛り上げ切れてくれず、映画としては作り慣れてない感じがあったけど
総じて良いリメイクだったと思う。
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