秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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みんな、想い出のなかで日常を生きている
におい、季節、風景、音楽、食べ物、生き物…ふとした瞬間に、五感のどれかで感じるなにかで、誰かを思い出す時がある。想い出す時もある。もう、同じ時間を共有することはないけれど、かつてそうだった頃がよみがえる。そんな日々をそっと手に取り、懐かしく思い、愛おしく思い、そしてまた今日を、明日を生きていく。人と人が出会う確率は0.0003%と知って、どんなことよりすごいのかはいまいちピンと来ないけれど、奇跡なんだってことは分かる。その奇跡を忘れないよう、“記憶”というものがあるのかもしれない。どんなふうに毎日生きていたとしても、歩いて21年で月に辿り着く。30年で地球を一周する。生きているとともに歩みを続けている。「ちゃんと進んでいるんだよ」という言葉になんだか安心してしまった。あと何回、月に行こうか。あと何回、地球を周ろうか。日常にころがる想い出たちを、これからも愛していけたらと思う。今日もどこかで、僕の大切だった人たちが、元気で暮らしていますようにと。
キャストと演技は良いが脚本が悪い
演技はみなさん上手だったが、原作を読んでいないと理解しづらかった。すれ違いが多く、あまり必要ではない場面が多かったため、途中で飽きてしまった。
また、元となった曲がエンドロールで流れなかったのも残念だった。
映画館で見るべき、凡人のための映画
なんていうか。
アニメ版のうわべをなぞってる感が強い
遠い日の甘い記憶が交差する
桜の落ちるスピードって秒速1メートルくらいじゃね?という突っ込みを入れてはいけません。あくまでも心で感じたスピードなのでしょう。
前半は話があまり展開しない忍耐の時間です。伏線回収のための学習時間です。
中盤以降のひとつのクライマックス(桜の木の下のシーン)できっとこうなるに違いない、いやそうなってほしいという思いをしっかり裏切られて驚きました。でも後になってそれで良かったのかなと思い知らされます。現実はそうそう思い通りにはいかないし、そこから折り合いをつけて生きていかなければならないことだらけです。前向きに生きましょう。
人生の速度は人それぞれ。
原作アニメ未視聴、事前知識ほぼなしで実写映画を観ました。原作ファンには改変等の気になる箇所が多々あったようですが、私は気になる点なく物語に引き込まれました。
観終わったあとの余韻がすごい。人は過去と共に現在・未来を生きていくことを丁寧に描いた心揺さぶられる物語。
過去が今のわたしを形作っている・思い出は日常だと生きている明里と、思い出に囚われ過去に取り残された貴樹との対比には胸が締め付けられた。
大人になり燻らせ続けていた貴樹が、
先生の『思い出を笑い話にしたり、オチを求めちゃだめ』
館長の『人が一生のうちに出会う言葉の数は5万語』
というめぐり逢いで出会った人に掛けられた言葉により過去に囚われた彼の秒針が少しずつ進み、最後には必死に駆け出していく姿がとてもいい。
あの音楽と共に3/26に約束の場所へと駆け出してから、プラネタリウムで館長に思いを吐露するシーンは涙せずにはいられない。
『もう一度話したかった。久しぶりとか元気だった?とか』
『僕は5万語もいらない、自分に必要な一言だけを…』
ここのセリフが本当に刺さる。
もう一度会いたい人・話したい人、言いたかったことって生きていれば誰しも存在すると思う。
でもその瞬間には二度と戻れない。自分にも重なる部分があり心の琴線に触れる今作の中で1番刺さる名シーン。
館長から代弁された『そんな約束を忘れてしまうくらい幸せな人生を歩んでいてほしい』という彼女の想いを聞いてやっと、お別れのホームでカバンから天文手帳を取り出そうとし辞めたこと、貴樹くんは大丈夫と伝えたこと。この時にはもう明里は、思い出を胸に未来へ進む決意をしていたことに気付かされた。
幼少期を演じた白山乃愛さんがとても可愛らしく自然な振る舞いで、貴樹の忘れられない人になるのも説得力がある。
また松村北斗さんの表情や哀愁漂う貴樹の雰囲気も本当に良く、納得のキャスティング。
というより上田悠斗くん、青木紬さん、松村北斗さんの貴樹を演じたお三方とも、それぞれの年代の貴樹が抱えるノスタルジーを繊細に表現していて名演技。
最後の踏切。
美しく切ない、だけど現実的なとてもいいラストシーン。どんな過去の思い出も抱きしめて生きていこうと思わせてくれる素敵な作品。
繊細な表情で紡ぐ北斗くんの貴樹
閉ざされた心に、ふっと風が通り抜けるような瞬間がありました。
それは北斗くん演じる貴樹が、たこ焼きを頬張りながら
少しだけ笑みを浮かべたあの場面。
この世界の音や光、風や人の気配を
久しぶりに“感じ取った”ような表情に、
思わず涙があふれました。
誰かのやさしさが、
長い時間をかけて凍っていた心を溶かすことがある。
その奇跡を、静かに、でも確かに見せてくれる作品でした。
忘れていた温度を思い出すような、
やさしい余韻が今も心に残っています。
松村北斗さんの喉仏に魅了される映画
俳優の魅力には色々ある。容姿だと目がきれいとか鼻の形がすてきとか。
「夜明けのすべて」でも感じたことだが、主演の松村北斗さんの魅力は喉仏だろう。正面や横顔を捉えた時に、彼の喉仏は見てくださいとばかりに主張する。
男性俳優でもそれほど喉仏に主張性の無い人もいるが、松村さんのは一際魅力的だ。
原作アニメとなる新海誠作品は、数年前に配信で見た。
初期作品にはその作家のエッセンスが詰まっていると言われるが、新海誠監督も例外ではない。
男女のすれ違い、健気さと純粋さの交差、落下する花びら・木の葉・雪への執着、踏切を通過する電車などだ。
アニメ「秒速5センチメートル」を経て、新海誠監督は、男女のすれ違いを「君の名は。」へと発展させていく
本作で、主人公とヒロインはつねにすれ違い、再会することはない。まるで宇宙に放たれたボイジャー1号と2号が永遠に交差しないように。
ただ観客のみが、もどかしくその様子を客観視している。
プラネタリウムで主人公が目にする金色のレコードは、ボイジャーに搭載されたゴールデンレコードのレプリカだ。
「星つなぎのエリオ」のレビューでも触れたが、ボイジャーに搭載されたゴールデンレコードの音声部分は配信サイトでも聴くことが可能だ。
本作は、原作アニメの良質部分を損なうことなく実写化出来た作品と言えよう。
こだわり抜かれたビジュアルと奥山由之監督の描く純愛
まずアニメーション版の映画を観た。誰も結ばれず恋愛映画としてどうなんだろうと思ったが、もうストーリーなんてどうでも良い。この世界観が好きだと思った。アニメも実写もきっと純愛を描いたのだろう。宮崎駿氏の純愛は「耳をすませば」や「風立ちぬ」などで解る通り、結婚だ。この映画の原作者の新海誠氏の純愛は告白すらしない、片思いでいる状態のことだと思う。
そして、いざ実写版の映画を観に行った。冒頭ででてくる水野のセリフ「私といると楽だけど楽しくないでしょ」。確かに楽(らく)と楽しいは全然違うのに何で同じ漢字なのだろうと思った。楽しいと明るいと、加えて好きは同じ漢字で良いと思った。奥山由之監督の描く純愛は楽しくて明るくて好きで、でも辛くて悲しくて、いつも相手のことを思いやる気持ちに溢れている。僕は奥山由之監督の描く純愛が好きだ。
アニメーションで出てくるキラキラした情景描写は実写版でこだわり抜かれていて、美しくて心に響いた。
何故タイトルが「秒速5センチメートル」なのかずっと考えていたが、僕なりに結論を得た。桜も雪も落ちる速度は一緒。秒速5センチメートル。それはただの数式。30年ひたすら歩いて地球を一周する計算も数式。遠くを眺め遠くに行くには数式が必要だ。でも愛は違う。愛は近くを見ることから始まる。今隣にいる人に自分の気持ちを伝えることから愛は始まる。主人公貴樹はいつも遠くを観ていた。でもきっと近くを見ることの大切さに気づいたのだと思う。僕自信にもそうした気付きがあってとても楽しくて素晴らしい映画でした。ありがとうござんした。
抱きしめたくなる作品
名作アニメの実写化なんだけど、単体の作品として完成度が極めて高い上に独自性を放っている一作
前作『アット・ザ・ベンチ』(2024)ですでに証明済みだったけど、奥山由之監督は本作でも、薄暮や雪、桜と言った、作り手がコントロールのしようのないものを作劇に取り入れる才能がずば抜けています。
おそらくは気が遠くなるほど緻密な構図と撮影計画を立てた上で、それでも思い描いた通りの状況が起きてくれないと絶対に撮れないような映像を捉えて見せる、その周到さと執念には圧倒させられます。
そこに実写だからこそ、の真正性が映像に加わわり、本作の一カット一カットが結晶のように輝いています。
冒頭のモノローグと映像のコラージュからしてすでに、奥山作品としての作風を強く印象付けているんだけど、じゃあ新海誠監督の原作アニメのファンが観たら別物と受け取るのかと言えば、ここまで独自色を打ち出しながらも、要所要所で新海作品との連続性を感じさせるなど、原作を観た人が違和感を抱かないような配慮も行き届いています。
原作はいくつかの独立したエピソードをつなげていたけど、本作は一つの大きな物語の中に各エピソードの要素をちりばめる、という構成になっています。そのつなぎ目を結び付ける登場人物たちがいるんだけど、主人公である遠野高樹(北村北斗)と篠原明里(高畑充希)と親しいようでそれほど近くない、という関係の距離感が絶妙。
吉岡秀隆の達観した長老感が特にすばらしいです!
まさしく決別、再出発の物語
この映画と出会えてよかった
せつなくて...
大人の事情が監督の魅力を削いで残念…
初見を舞台挨拶の時に観て、改めて2回目を観たアニメ派で映画好きの勝手な感想にて、すみません…。
映像美や子役の演技は監督の力量が存分に発揮されており素晴らしい。
反面、興収を考えた大人パートの有名配役は監督が活かし切れておられず、残念…。
舞台挨拶でも監督が(大人の)出演者に呑まれていた感が垣間見えていた様な…。
興収の為を考えると止むを得ませんが、監督に合った未だイメージの固まっていないフレッシュな配役の方が僭越ながら宜しかったかと…。
フジTV製作ですし、一般受けする為の忖度も仕方無しですね。
主題歌も、不幸にして(?)同時期公開となった同じ米津さんのアニメ映画の2曲に比べると取って付けた感は否めず、とても良い曲だけに残念…。
TVスポット等でも既存曲のイメージばかりな様な…
興収やPV繋がりや1991生まれ等々、大人の事情は止むを得ないとは思いますが…。
才能有る監督だけに大人の事情抜きで作られた映画を観たかったです。
そうであれば、アニメ派も改変追加マシ増しであっても許容出来るでしょう。
よって映像美☆1、子役演技☆1…
*追伸 ~ パンフはB5版で小さ目ですが、綴じ込み付録(?)付きで内容も充実…他に出版物が無いのでオススメです。
何故この作品はおっさんの心までを惹きつけて止まないのだろう
新海誠作品で本作品が一番好きな人も多いのでは?
聖地巡礼は好きなので、何故か惹きつけられて、渋谷、岩舟駅、そして種子島にも行ってしまうほどに。劇場版アニメの本作の切なさが大好きですが、実写化されると知って素直に嬉しかったです。それだけ魅力がある作品だということだろうから。でも、私にとっていまでもこの作品に魅力があるのは、未完成だったからかも?自分の人生にも重ねつつ、普通の大人になってしまった貴樹だからこそ最後には少しの奇跡が起こってほしかった。奇跡なんて自分には決して起こらないから。
この実写化作品は、ずっと欲しかった続きを見せてもらいました。ありがとう。5万語の中から選んだ言葉、奇跡だったらいいな。アニメ版を見てない方はぜひ見てください。もっと深く本実写作品に惹かれますよ。役者さんたちもみんな良かった!
全556件中、301~320件目を表示
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