エマニュエル

劇場公開日:

エマニュエル

解説・あらすじ

1974年に映画化され日本でも大ヒットを記録したエマニエル・アルサンの官能小説「エマニエル夫人」を、「あのこと」でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞したフランスのオドレイ・ディワン監督が、舞台を現代に移して新たに映画化。

ホテルの品質調査の仕事をするエマニュエルはオーナー企業から依頼を受け、香港の高級ホテルに滞在しながら査察をすることに。サービスも設備もほぼ完璧で最高評価の報告書を提出するエマニュエルだったが、ランキングが落ちたことが許せないオーナーは経営陣のマーゴを懲戒解雇できる理由を見つけるよう、エマニュエルにマーゴの粗探しを命じる。ホテルの裏側を調べはじめたエマニュエルは、怪しげな宿泊客や関係者たちと交流を重ねるなかで、自身の内なる欲望を解放させていく。

「燃ゆる女の肖像」のノエミ・メルランが主演を務め、「インポッシブル」のナオミ・ワッツ、「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」など監督としても活動する俳優ウィル・シャープ、「シャドウハンター」のジェイミー・キャンベル・バウアー、「インファナル・アフェア」シリーズのアンソニー・ウォンが共演。

2024年製作/105分/R15+/フランス
原題または英題:Emmanuelle
配給:ギャガ
劇場公開日:2025年1月10日

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(C)2024 CHANTELOUVE - RECTANGLE PRODUCTIONS – GOODFELLAS – PATHÉ FILMS

映画レビュー

3.5女性監督による“女の性の解放”を表現する試み。レア・セドゥ降板は残念

2025年1月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

「女性の、女性による、女性のための性事(せいじ)」というリンカーン大統領のゲティスバーグ演説をもじった駄洒落をレビューのタイトルに思いついたが、くだらないので踏みとどまった(けどここに書いてしまった)。1974年のシルヴィア・クリステル主演作「エマニエル夫人」を今の時代に観ると、外交官の若妻である主人公が夫の赴任先タイのエキゾチックな環境でさまざまな人々との出会いと導きによって自身の性を解放させていく、という女性が主体の物語ではあっても、明らかに男性の願望や妄想が投影された“性に奔放になっていくヒロイン”の描写だったことがわかる。原作小説の著者エマニュエル・アルサンは、外交官ルイ=ジャック・ロレ=アンドリアンと結婚したタイ出身のマラヤットのペンネームということに一応なっているが、実際に執筆したのは夫ルイ=ジャックとの説が有力だ。1974年の映画の監督も脚本もそれぞれ男性が担った。

一方、2024年フランス製作の本作「エマニュエル」では、監督がオードレイ・ディヴァン(長編第2作の「あのこと」でヴェネチア金獅子賞)、脚本もディヴァンとレベッカ・ズロトヴスキ(「美しき棘」「プラネタリウム」などで監督兼脚本)の共同で、いずれも女性が担っているのが対照的。半世紀前の官能小説を2020年代に改めて映画化するにあたり、女性の性の解放というテーマを女性の視点で語り直すことを当然意識しただろう。

1974年版と2024年版では、映画のルックも大いに異なる。オランダ出身のシルヴィア・クリステルは公開時21歳で、序盤のピュアで性的に未発達の状態からラストの化粧で妖艶に変貌するまでの外見上の変化がわかりやすかった。一方で今作のノエミ・メルランは本国公開時35歳で、ホテルの品質調査員として実績のある成熟した大人の女性を演じ、外見よりも内面の変化を表現しようと試みたようだ。ロケーションの点でも、1974年版が緑に囲まれた解放的なリゾートホテルを拠点に、プールで泳いだり、バンコクの水路でボートに乗ったり、田園地帯で馬に乗ったりと、自然との距離が近い環境で体を動かしたり移動したりする感覚が強調されていた。対して2024年版では、本編の大半が高級ホテルの人工的で無機的な屋内の閉環境で進行し、高度に文明化された管理社会で身体性を失いつつある現代人を象徴したように感じられる。

ディヴァン監督の狙いは、現代の女性が自らの意志で内なる官能を見つめ、どうやって解放するのかを映画で表現することだったろうし、そうした意図が女性観客にどう届き、どう伝わるかがより重要であるように思われる。興行面では本国をはじめ先に公開された各国で苦戦したようだが、こうした作り手の挑戦は意義のあることで、多様な性のあり方を考える一助になればと願う。

そうそう、本作の主演は当初レア・セドゥで進められていたそうで、降板してしまったのが個人的には残念。

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高森 郁哉

2.5性に悦び目覚めたエマニエル夫人から欲求不満解消のエマニュエルへ…

2025年5月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

知的

ドキドキ

1974年、世の男性たちを虜にし、開放的な性や愛の姿に特に女性たちを魅了。
それまでの男性が見る官能映画と違い、女性も見れる官能映画=“ソフトポルノ”として、社会現象&大ヒット。
主演シルヴィア・クリステルはスターダムに。シリーズ化や類似作品は数知れず。
映画史に残るセンセーショナルなヒロイン、エマニエル夫人が帰ってきた…!

リメイクではなく、現代リブート。オリジナル一作目を見たのはもう随分前だが、何もかも全く違うのは見て明らか。
舞台がバンコクから香港に。異国感と叙情溢れた作風からスタイリッシュな都会センスに。
外交官の妻ではなく、そもそも“夫人”じゃない。現代的なキャリアウーマン、エマニュエル!

オーナー企業から依頼を受け、ホテルの査察をするエマニュエル。
今回の滞在先は香港の高級ホテル。ホテル格付けのランキングが下がり、オーナー企業から支配人マーゴを懲戒解雇する粗探しを命じられていた。
エマニュエルは欲と感情交錯するホテルで、マーゴや様々な宿泊客と知り合う内に…。

新エマニュエルに、『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルラン。繊細な感情演技は勿論、フルヌードや大胆なラブシーンを披露。それ以上にドレスアップ姿に魅了。
監督に『あのこと』のオドレイ・ディワン。シリアス題材から禁断の世界へ。
近年注目された女性監督&新進女優で、性と愛に踏み込む。
美しい映像、新しい解釈、現代視点。それらは悪くないのだが…、
でも決定的に、インパクトや魅せるものが薄れてしまった。

ゴージャスなホテルもいいが、バンコクの異国叙情感が性と愛を開放させる何かを駆り立てる。
そこでウブなヒロインが内なる性に目覚める。そこが、かつて世の女性たちを共感させた。
しかし新たなエマニュエルは、すでに成熟された女性のように見える。キャリアウーマンでもあり、ちょっと近寄り難い印象も受ける。
作風もだが、ヒロイン像の違いも大きい。
当初はレア・セドゥだったらしいが…。いや、何も言うまい。

オリジナルも客観的に見れば平凡な官能映画だが、アンニュイな雰囲気がまた魅力でもあった。
今回はちと何を描きたいのか分からない点も。ストーリー自体がオリジナルに比べあまり面白くない。
ナオミ・ワッツは元より、アジアの名優アンソニー・ウォンの無駄遣い。

性の目覚め、悦びが我が身を快感で包んだ。
だけど今回は…。ただの欲求不満解消映画だった…?

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近大

1.5タイトルの割にはがっかり

2025年5月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

配信(dmmTV)で視聴。
エマニュエルは気になっていたが、令和版エマニュエルとしては興味深い。
しかし、作品全般は平凡な作品だし、タイトルの割には物足りない。
今のご時世なら精一杯かもしれない。
エマニュエル役のノエミ・エルランはよく頑張ったがタイトルの割にはがっかりした作品。

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ナベウーロンティー

1.5不感症のエマニュエルはいつもへの字口

2025年5月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

むっつりドスケベなキャリアウーマンはセックス依存症だけど不感症でいつもへの字口。
自分主体でして欲しいことをされ、気になる男に視られながら、やっと快楽を味わうクーガーレディ。
それまでのモヤモヤもやもやモヤモヤ。

って、欲求不満・セックス依存症・不感症ってある種の病気だから、御自身にとってみたら大変なことですよね。
ヤッてもヤッても、男が自分に引っ掛かるスリルは味わえるけど、ヤッても感じない気持ちよくないって、
つまらないよね。
って快感快楽もないなら、
エマニュエルを名乗る必要はない作品。

エロティック(エロ)な演出って、監督がどういうエッチをする人なのか分かり易い。
表れやすい。
キスだけでも、ただ唇と唇が触れているだけなのか、
唇の感覚が体中に響くのか、演出や構図で分かる。
オードレイ・ディヴァン監督もこの作品みたいに
つまらない方なのかもしれない。

2025年になっても1970年代に社会現象を起こした
『エマニュエル夫人』のジュスト・ジャカン監督と音楽のピエール・バシュレとシルヴィア・クリステルの凄さ(影響力)を改めて認識するなんて。
あの、甘やかでくすぐったく快感が漂う映画の凄さ。
(小学生の頃、日曜に有楽町に行く度映画館みゆき座の前には『エマニュエル夫人』観るために並ぶ列の長さに、毎週の様に驚かされた。
学校でも早熟なクラスメイト女子が『お姉さんが観てきたんだけど〜』と様々なシーンを口頭で教えてくれた。
映画に力がある時代である。)
こんなへの字口のエマニュエルがエマニュエルなんて、
名乗ってはいけません。
エマニュエルはエレガントで可愛くて美しく、快感にとけていく、そのふれあいを当たり前に分かっているレディであるのだから。

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なかじwithみゆ